生物はさまざまな進化の果てに、現在の姿と形に落ち着いている。それは私たち人間も同様である。人類は生物学上ではホモサピエンスに分類されているが、ホモサピエンスについて、こんな雑学があることをご存知だろうか。
「アフリカ系の人々は純粋なホモサピエンスの遺伝子を保持している」
この記事では、アフリカ系の人々がホモサピエンスの純粋な直系である真相に迫っていく。
【歴史雑学】純粋なホモサピエンスは何人が引き継いでいる?
【雑学解説】非アフリカ人はネアンデルタール人との混血
世界にはさまざまな地域で人間が生活している。人類の起源をさかのぼると、現生人類の発祥はアフリカ大陸の「サブサハラ」といわれる、サハラ砂漠以南で発生したことが分かっている。
かつての文化人類学的な区分でいうと「ネグロイド」と称されるものである。この大陸に留まった人々(アフリカ系)と、それ以外の大陸(非アフリカ系)の人々とを、遺伝子レベルで比較すると興味深い事実が浮かんでくるのだ。
非アフリカ系の人々の遺伝子を調べると、わずかながら、ネアンデルタール人の遺伝子が1~4%混入しているのだという。
つまり、非アフリカ系の人々はネアンデルタール人との混血によって生まれたことになり、ネアンデルタール人の血を引いていることになるのだ。
これは10万〜5万年前頃、ごく少数の人類がアフリカ大陸を出た後、ネアンデルタール人との交雑がおこったことを示しているのだという。その後、人類はアジアやオーストラリアやヨーロッパに広がり、さらに世界各地に広がっていたことになる。
別の言い方をするとこのようになる。アフリカに残った人類は、ネアンデルタール人との接点がないために、純粋なホモサピエンスの血を引き継いだことになる、と。
アフリカ系の人々は、ネアンデルタール人との交雑がおこなった非アフリカ系の人々と比べると、ホモサピエンスの直系の遺伝的を保っていることから、原型により近いといえるのだ。
ちなみに、人種によって異なる肌の色は、外的要因によって短期間で変化することから、「人種」として区別することはできないという。ご注意願いたい。
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【追加雑学】黒人の水泳選手が少ない理由とは?
オリンピックや世界大会で開催される陸上競技を観ていると、アフリカ系のマラソン選手や中長距離選手が多いことに気付くだろう。
しかし、水泳競技に目を移すと、他の競技に比べて、黒人選手を見かける機会は少ない。当然ながら、なかには黒人選手もいることは事実である。
下の動画は、リオオリンピックでアメリカ代表として初の黒人女性選手が金メダルを獲得した際の動画である。
黒人選手の金メダメリストが生まれているものの、全体の数からいうと極めて少ないといえる。では、その理由はどこにあるのだろうか。
黒人の水泳選手が少ない理由は、プールや海水浴場という場所が、黒人選手にとって人種差別を受ける場所になっていたからである。
そのため、黒人の人々はそうした場所に恐怖心を抱き、水泳を学ぶ習慣がなかったといわれている。ときには、遊泳している黒人が有色人種に暴力を振るわれることもあったという。
白人のなかには黒人に対して不衛生だといった誤った思い込みがあり、全米各地の遊泳場であからさまな人種差別を受けた歴史があったのだ。
ある調査によると、アフリカ系アメリカ人の子供の64%、ヒスパニックの子供の45%が「ほとんどもしくは全く」泳げないという調査結果も出ているほどだ。また、黒人の子供たちが溺死する確率は、同年代の白人の子供の3倍近くなるという調査結果もある。
そのため水泳大国・アメリカ国内では、水泳の普及とともに水難防止の観点からも、黒人のオリンピック金メダリストが、黒人の子どもたちを対象に水泳教室を開いているという。
黒人の水泳選手たちが少なかったのは、こうした人種差別の不幸な歴史が深く関わっていたのである。なんて悲しい歴史なのだろうか。
雑学まとめ
以上、アフリカ系の人々だけが純粋なホモサピエンスの遺伝子を保持していること、黒人の水泳選手が少ないことについてご紹介してきた。
アフリカ系の人々がホモサピエンスの直系であるといわれても、あまりピンと来ないのが正直なところだ。むしろ、生まれもった肌の色で人種差別が生じる方がよっぽど問題ではないだろうか。
世界から一刻も早く人種差別がなくなることを願っている。