敵を威嚇する大きな角をもつサイ。その角で攻撃されれば、どんな動物でもひとたまりもないだろう…。
サイの角が「毛」だといわれても、にわかには信じがたい。固くて立派そうにみえるサイの角は本当に「毛」なのだろうか? 角どうしをぶつけ合ってあいさつをしているが、実は意外とソフトタッチだったりするとか!?
今回は、サイの角が「毛」でできているという雑学をご紹介するぞ!
【動物雑学】サイの角は「毛」でできている
【雑学解説】サイの角は爪や毛と同じような成分でできている
サイと同じように角がある動物というと、たとえば牛が思い浮かぶ。
牛の角は、頭蓋骨から骨の芯のようなものが生えており、その骨のまわりを角質が覆ってできている。鹿やキリンなども、形状は違うにせよ、角は骨が土台になっており、材質はカルシウムだ。
ところがサイの角は、骨とはまったく関わっておらず、「ケラチン」という繊維質のたんぱく質が固まってできている。ケラチンは人の髪・爪・皮膚を形成している硬たんぱく質の一種で、髪の99%はこの物質でできているのだ。
つまりケラチンが固まってできたサイの角は、私たちの髪や爪と同じ物質で形成されていることになる。ちなみに髪の毛と同じようにずっと伸び続け、何かの衝撃で折れたとしても、また生えてくるそうだ。
まさか毛のかたまりだったとは…。それなら勝てるかも…というのは無理だ。どれだけ頑丈にできているかは、以下の動画からも一目瞭然である。30秒を過ぎた辺りで、サイが角で攻撃する様子が見られるぞ!
ぶっ飛ばされて宙を舞うイノシシ…。サイの角が毛のかたまりであることは違いないが、この映像を見る限り、やはり恐ろしい武器である。
サイの角は一生伸び続けるので、自分で角を木などにこすり付けて角の手入れをしているそうだ。自分でお手入れしているので、同じ形の角はないのだそう。運がよければ、動物園でサイが壁に角をこすり、お手入れしている様子が見られるかもしれないぞ。
もし自分がサイならどうしようかな…? 太く長く立派な角に仕上げたいかな? どうせならサイ界のイケメン目指したいぞ!
【追加雑学①】サイの角は金より高い!?
家にある古物を鑑定してもらい、その査定金額に一喜一憂するTV番組があるが、2013年の放送で、サイの角に500万の鑑定額が付いたというのだ。
実は、サイの角は漢方薬として流通した時代があり、乱獲された。角は「がんに効く」「はしかに効く」「解熱作用がある」などといわれ、高額で取引きされていたそうだ。その価値は金より高いといわれていた。
現在は、サイの角に漢方薬としての薬効はないとわかっているし、乱獲するような取引はしてはいけないと、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引における条約)で保護されている。
しかし、皮肉なことに「密漁されないように、あらかじめサイの角を切り落としておく」という本末転倒な処置がとられる事もあるのだそう…。サイ、かわいそうすぎる。
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【追加雑学②】角を狙う密猟が原因で絶滅寸前…
金より高い値段で売れるのだから、密猟者たちがサイの角を狙わないわけがない。結果サイはどんどん殺され、今ではとうとう絶滅危惧種になってしまった。
そこで近年では、前もって角を切っておくという先回りの措置を行う保護団体もある。またアフリカの自然公園では、IoT機器をサイの角に埋め込み、サイの動きを把握する取り組みも行われている。
IoT機器とは、インターネットを介した通信機器のこと。以下の動画で角に埋め込んでいる様子を見ることができる。
通信機器が発達した現代ならではの取り組みに、心底感心する。しかしここまでしなければならない現状には胸が痛む…。
【追加雑学③】サイは時速50キロで走る
サイは足が速い。時速50キロで走るというから驚きだ。サイの体のサイズは、日本のコンパクトカーと同じくらいで、大きい固体だと体長3~4m・高さ1.5~1.9m・重さ1.4~3.6トンといわれている。
その巨漢が50キロのスピードで走るというのだから、おっかない。追いかけられたら車で逃げるしかなさそうだな…なんて想像していたら見つけてしまった、サイが車をあおる動画を! ぜひご覧いただきたい。
【動画】怖いぞ!サイがあおるあおる!
ときには気が立ったサイが、車を威嚇することもあるのだそう。
いかがだったろうか? 車と同じくらいの大きさなので、ドライバーも危機を感じ、慌てて逃げている様子が恐怖を物語っている。
もう一つ動画をご紹介しよう。ライオンvsサイの動画である。
縄張り争いなのか、子供を狙われたのかはわからないが、怒ったサイがライオンをすごい勢いで追いかけまわし、大きな身体で機敏にターンをして走る姿にはとても驚いた。
雑学まとめ
今回は、サイの角は「毛」という雑学をご紹介したぞ。
「毛」と同じ成分といえども、長年手入れをしながら磨き上げたその角はすごく立派である。とても「毛」には見えない。
今回は少しサイの攻撃的な一面をお見せしてしまったが、侵入者には厳しいだけで、普段は温厚だそうだ。動物園などで見かけたら怖がらずに、あの立派な「角」を見てほしいぞ。