スペインのバルセロナにある「サグラダ・ファミリア」という有名な世界遺産をご存知だろうか。天才建築家「アントニ・ガウディ」が設計した建築物で、城のような見た目だが実際は巨大な教会だ。バルセロナといったらサグラダ・ファミリアというくらい有名である。
2016年に、そのサグラダ・ファミリアがずっと違法建築工事を続けていたと大々的に報道されたので、そのニュースでサグラダ・ファミリアを知った人も多いだろう。
しかし違法建築工事を続けていたというが、そもそも建て始めた当初に建築許可を申請しなかったのだろうか? 130年以上工事を続けていたのに、途中で許可がないことに誰も気付かなかったのか?
日本ではなかなか考えられない事態だが、大らかな人が多いスペインではありえることなのだろうか? というわけで、今回はサグラダ・ファミリアの違法建築工事について調べてみたので、雑学として紹介していくぞ! 世界遺産なのにみんなけっこうテキトーだった事実にびっくりすること間違いなし。
【世界雑学】サグラダ・ファミリアは1885年以降の建築許可を取っていなかった
【雑学解説】130年以上、サグラダ・ファミリアは違法建築状態だった
「サグラダ・ファミリア」は初代建築家「フランシスコ・ビリャール」によって、1882年から建築が開始された。
二代目建築家に就任した「アントニ・ガウディ」は1885年に、当時の地元自治体サン・マルティー町から建築許可を得たが、サン・マルティー町がバルセロナ市に吸収合併されたことで、必要な更新がされなかったらしい。
2006年にはサグラダ・ファミリアの地下にトンネルを掘るという計画がもち上がり、中止を求める教会側と強行したいバルセロナ市で揉める中で、実は無許可だったという事実が2016年に明らかになった。
許可が失効したとされる1885年からおよそ131年が経過しているわけだが、「バルセロナ市の許可が必要だ」と主張する市側と、「1世紀以上もそんな要求はなかった」と主張するサグラダ・ファミリア側で意見が対立してしまった。
1世紀以上にわたって放置されていたのなら、もうそのままでもいいんじゃないかと思うが…バルセロナ市はもっと早く気付け。
協議にはなんと2年かかり、2018年にはサグラダ・ファミリアがバルセロナ市に対し、その年以降10年にわたって3600万ユーロ(日本円で約46億8,000万円)を支払うことで、建築を合法化することにお互いが合意した。
ペナルティ(解決金)として科される金額は莫大だが、10年分割ならいけるという教会の支払い能力はすごい。
教会はバルセロナ市に460万ユーロ(日本円で約5億6,000円)を支払い、2019年6月7日に正式な建築許可が下りたので、137年にわたる違法建築状態はやっと解消された。
市はもちろんこのお金をそっくり懐に入れるわけではなく、教会へのアクセス改善や混雑解消、教会周辺道路の再開発などに使うとしている。
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【追加雑学】サグラダ・ファミリアはガウディの設計構想をその時代の建築家が予想して建築している
サグラダ・ファミリアはガウディが設計したとされているが、実はガウディの設計を忠実に守って建設されているわけではない。ガウディの死後に始まったスペイン内戦によって、ガウディが残した設計図や模型、ガウディの弟子たちが残した資料すらなくなってしまったのである。
職人の口伝と外観のデッサンくらいしかないので工事を続けるか揉めたそうだが、結局その時代の建築家がこんな感じだろうと予想して建築することになったそうだ。あの巨大建造物を途中で建設中止にするわけにもいかないから、そうするしか方法はなかったのだろう。
サグラダ・ファミリアは着工から完成するまでに300年以上かかるといわれていたが、IT化でスムーズに工事が進むようになったので、ガウディ没後100年の節目となる2026年に完成予定だ。
一番高い塔は172mになるらしいが、宗教建造物には高さの競い合いみたいなものがあるのだろうか…
雑学まとめ
サグラダ・ファミリアについての雑学をご紹介してきた。130年以上建築許可がないことに気付かずに工事を続けるとは、なんとも壮大な違法建築工事である。そのあいだに、バルセロナ市が無許可状態に気付かなかったこともすごいが。
ガウディの設計構想を予想して建築を続けているというのは意外だった。外観デッサンとだいたい合っていればOKということだろう。サグラダ・ファミリアは建築許可の件も含め、意外とテキトーな感じで物事が進んでいるようだ。