言葉・語源

"スーツ=背広"の語源は"背中が広い"ではない!【サヴィル・ロウ】

雑学カンパニー編集部

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「背広」の由来はイギリスの紳士服店街から!という雑学

世間では、働く人の服装としてはスーツ姿が一般的だ。日本の伝統だからといって、和服で仕事に挑むのは限られた職業の人たちだろう。

そんなスーツだが、日本に普及したのは西洋文化が本格的に流入してきた明治時代以降であり、やはり日本人の体型では似合わないな…と感じることもある。

やはり「背広」というくらいだから、背中が広い=肩幅が広い欧米人のような体型じゃないと、スーツを着こなすのは難しいのだろうか?

しかし、ここでわかったのだが、「背広」の語源は「背中が広い」という意味ではなかったらしいのだ! そんなわけで、ここでは「背広」の語源についての雑学を紹介していきたいと思う。

【世界雑学】「背広」の語源はイギリスの地名から!?

ロバート
ハァ~!オレの背広姿ってなんてキマってるんだろうな!!
エイミー
ロバート、ちょっとその背広、ちょっと大きすぎるんじゃない?ところで、「背広」っていう言葉の語源って、イギリスの高級紳士服街にあるらしいわよ。

【雑学解説】「背広」の語源にまつわる話

「背広」の語源にまつわる話についてのトリビア

サヴィル・ロウ

スーツのことを「背広」と呼ぶ語源については諸説あるが、有力な説としては、イギリス・ロンドンにある高級紳士服店街「サヴィル・ロウ(Savile Row)」が訛って「せびろ」→「背広」になったというものがある。

では、このサヴィル・ロウとはどんな場所なのだろうか? サヴィル・ロウは1700年代に開発された場所であり、当時の領主だったバーリントン伯爵の婦人であるドロシー・サヴィルが語源となっている。

サヴィル・ロウはもともと軍の関係者や政治家などが住む街であったが、1800年代に入って、当時ファッションの権威だったジョージ・ブライアン・ブランメルが、サヴィル・ロウで仕立て屋を始めたことをキッカケに、続々と仕立て屋がオープンすることになったそうだ。

エイミー
軍関係者や政治家が住む街なら、いい仕立て屋さんが必要になりそうね。

その後、腕のいいテーラーたちが集まったサヴィル・ロウには、王室御用達の「HENRY POOLE(ヘンリープール)」や、ナポレオン3世やウィストン・チャーチルなどの歴史的な人物が服を仕立てた店が軒を連ねている。

ロバート
セレブ仕立て屋が勢ぞろいってわけなんだな!!

そんな高名な紳士服店街であるから、日本にスーツが流入してきた際には「サヴィル・ロウで作られたスーツこそ最高の1品である」と、話題になったのは間違いないだろう。

それゆえ、「背広=サヴィル・ロウ」と考えるのは、有力な説だといえる。

「背広」の語源に関する諸説

ここまでは「背広=サヴィル・ロウ」が語源とする説を説明してきたが、ほかにも興味深い説がいくつかある

市民服を意味する「civil clothes」から

外国から流入してきた洋服だが、最初は軍隊などで使われるものが主流だった。その後、市民にも洋服が浸透してきたことから「civil clothes(市民の服)」という英語が訛って「背広」となったとする説。

しかし、市民の服はスーツだけではないので、いささか不自然かも!?

英語「sack coat」から

英語でゆったりとした男性用上着のことを「sack coat」というので、これを訳した言葉が「背広」だという説。

だが、訳語であるなら、語源について諸説出ることはないのでは? と考えるので、こちらも違和感がある。

素材の産地から

スーツに使われる羊毛・服地の産地であるスコットランド「Cheviot(チェビオット)」に「背広」という漢字をあてたという説。

チェビオット製の服地はさまざまな服飾製品に使われているため、スーツ限定の言葉として使われる可能性は低そうである。

以上のような説があるものの、「背広」はスーツのことを指す言葉であり、「サヴィル・ロウ由来説」ほどしっくりこないものが多い。ここはやはり、サヴィル・ロウが「背広」の語源だという説を推したいものである。

ロバート
なんか、どれもこじつけ感があるぜ…。

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【追加雑学】意外な由来が多い!身につけるものの語源あれこれ

意外な由来が多い! 身につけるものの語源あれこれについてのトリビア

背広以外にも、日本語としてお馴染みだと思ってた言葉外国語由来だったり、逆に外国語由来だと思っていたもの日本語由来だったりする。ここでは、それらを紹介していこう。

合羽(かっぱ)

雨のときに羽織る合羽は、もともとポルトガル語の「capa」であり、戦国時代にポルトガル人の宣教師が羽織っていた外套(がいとう)が語源となっているそうだ。

水辺に住む妖怪・河童とは全然関係ないので気をつけていただきたい。

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襦袢(じゅばん)

着物の下着である襦袢もポルトガル語が由来だが、もともとはアラビア語で「袖の広い上着」を意味する「jubbeh」が語源とのこと。

日本固有の着物にまつわる言葉なのに、アラビア発だとは…。

ワイシャツ

「ホワイトシャツ」が短くなった言葉が「ワイシャツ」。日本では白くても柄物でも「ワイシャツ」と呼ぶが、本来の意味からすると完全な誤用である。

エイミー
そもそも、英語では「ホワイト」っていう発音はしないわ。

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カッターシャツ

西日本では、ワイシャツのこと「カッターシャツ」と呼ぶところも多いが、これはスポーツメーカーの美津野(現・ミズノ)が商標登録したスポーツ用シャツが語源。スポーツ用品だけに「勝った」をもじって「カッターシャツ」となったらしい。

美津野は大阪が本社だったため、西日本でこのように呼ばれることが多いそうだ。

雑学まとめ

"スーツ=背広"の由来は"背中が広い"じゃない!イギリスの町名からだったという雑学まとめ

今回は、オシャレな皆さんに役立つ衣類の語源雑学をお届けしてみた。この雑学なんか、とっくに知ってたよ…というオシャレさんならば、いずれはサヴィル・ロウでスーツを仕立てることをオススメしたい

とはいえ、サヴィル・ロウでオーダーメイドスーツを作ると軽自動車1台分くらいのお値段がかかるとのこと。ちょっとイギリス旅行のついでに仕立ててみる…というのは難しそうだ。

いつかはサヴィル・ロウでスーツを仕立てられるくらいのお金持ちになりたい…と願うのは、見果てぬ夢なのだろうか?

ロバート
軽自動車1台分の値段のスーツか…。オレ位のハンサムガイはそれくらいのスーツを着ないとバランスが悪いよな?
エイミー
あなたにはおもちゃの車くらいの値段のスーツで十分だと思うわ!

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