刺身にしても炒めても揚げても美味しいイカ。タコと並ぶ軟体動物の代表選手である。
イカとタコの違いといえば、足の数だ。イカは10本足でタコは8本足。今さら確認するまでもない。しかし、イカの10本のうち2本は「触腕」といわれる足だと聞いた。足なのに触「腕」?
ということで今回の雑学記事では、イカの足について調べてみた。
【動物雑学】イカの足10本のうち2本は「触腕」といわれる足
【雑学解説】イカの触腕は他の足より長い!
イカの10本の足をよく見ると、長さに違いがあることがわかる。他の8本の足と比べて、2本の足が長い。それが「触腕」である。触腕の先端は木の葉状になっていて、そこに吸盤が密集している。長い触腕を自在に動かして、吸盤でエサを絡め獲るのだ。
次の動画をごらんいただきたい。
1分9秒あたりで、画面左から出てくるイカが小魚をとらえた。この素早くのびた部分が触腕である。素早すぎてよく見えないくらいだ。
エサを腕で引き寄せるように見えることから、その2本の足は「触腕」と呼ばれている。
ただし、種類によっては成長によって触腕が失われ、8本足になるものもいる。その代表格が、テカギイカ科のタコイカの仲間だ。見た目は完全にイカなのに、足が8本しかないため「どっちだよ!」と突っ込まれそうな名前をつけられてしまった。
そういう種類がいることを考えると、エサを獲るという重要な役割をはたしている触腕だが、必要不可欠というわけではないのかもしれない。
【追加雑学①】イカの血は青い
人類をはじめ、脊椎(せきつい)動物の血液は赤い。これは血液中のヘモグロビンという色素に由来している。
ヘモグロビンは、ヘモグロビン内にある鉄と酸素を結合して酸化させることで、体内に酸素を運んでいる。鉄の酸化=サビであり、サビの色が血液の色なのだ。
一方で、イカの血液ではヘモシアニンという色素が酸素を運んでいる。
ヘモシアニンには鉄ではなく銅が含まれており、酸素と結合すると青くなる性質がある。そのため、イカの血液は青く見えるのだ。
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【追加雑学②】セピアはイカ墨色のこと
セピア色という色がある。古く色あせた写真のような、どこか懐かしい印象を受ける色だ。そのセピア色のもとになったのがイカ墨である。耐光性・耐水性のあるイカ墨は、かつて漬けペン用のインクとして利用されていた。
古代ギリシャ語でコウイカをさす「sepia」という単語から、その独特の色味を「セピア」と呼んだのである。
万年筆にもイカ墨由来のインクが使われた。しかし、色の粒子が大きいため万年筆が詰まることが多く、自然と使われなくなった。現在のセピア色はイカ墨ではなく、酸化鉄や酸化マンガンから作られているものが多いという。
【追加雑学③】イカは貝の仲間
イカは軟体動物であり、貝の仲間だ。貝殻もないのに貝の仲間!? と思ったのだが、イカの貝殻は体内にあるという。
コウイカという種類のイカは、胴体の中に船型の甲(こう)をもっている。これが貝殻の名残(なごり)なのだ。スルメイカなどでは、軟甲(なんこう)と呼ばれる薄い骨のようなものを見ることができる。これもさらに退化が進んでいるが、もとは貝殻だったと考えられている。
【追加雑学④】英語だと体内の甲の有無で呼び名が違う
スルメイカとコウイカは、どちらも日本では「イカ」である。胴体の中に甲があってもなくても、「イカ」は「イカ」だ。
しかし、英語ではそうではない。スルメイカのように甲がないものは「Squid」、コウイカのように甲があるものは「Cuttlefish」と呼び分けるのである。
【追加雑学⑤】イカの数え方は状態によって違う
イカには、状態に応じて3種類の数え方がある。生きているイカは「匹」・水揚げされた後のイカは「杯(はい)」・干されたイカは「枚」で数えるのだ。
今まで「イカを数えるなら杯!」と思っていたので、この事実を知ったときにはちょっと恥ずかしい気持ちになった。
雑学まとめ
食卓にだされる機会も多いイカだが、知らない雑学がたくさんあった。足なのに触腕。なんともややこしい。
そして、イカの仲間でも足が8本しかないものがいるというのも驚きだった。なんとタコイカという種類のイカもいるんだとか。
またまたややこしい!!
血の色やイカ墨の色も、今まで気にしたことがなかった。今度イカをさばくときは、じっくりと観察してみよう。