しかし、生鮮食品の場合、せっかく買った食材を腐らせてしまうという悲劇が起きることもある。フワフワとしたカビが若干生えた野菜を後悔しつつ食べていたのだが(※体に悪いのでマネしないように)、最近は「干し野菜」を作ることでそのような失敗を避けられるようになった。
しかも、天日干しをした食品は、栄養素が増えるというオマケまであるのだ! 今回はそんな天日干しについての嬉しい雑学を紹介していくぞ!
【食べ物雑学】天日干しをした食べ物は栄養が増える
【雑学解説】食べ物を天日干しするメリットとは?
まず単純に、食べ物を乾燥させると水分が抜ける。そうなると、その食べ物は同じ重さでも水分がなくなった分食べ物が凝縮され、栄養素が増える。
その分カロリーも増えてしまうが、干し野菜・果物にすると食物繊維も増えるし、何よりも味や香りもギュギュっと凝縮されて、新鮮な食材とはまた違った魅力があるのだ。
紫外線パワーで野菜中の栄養が増える
ただ食べ物を乾燥させるだけでも栄養は増えるが、太陽光にさらすことによって栄養素が増えるものもある。
これは、紫外線が一部の栄養素の含有量をアップさせるという効果をもっているからなのだ。嫌われ者の紫外線だが、我々の健康に役立つ一面もあったのである!
いくつか食べ物の例を挙げてみよう。
「切り干し大根」
生の大根には100gあたり23mgのカルシウムが含まれている。ところが、切り干し大根のカルシウム含有量は540mgにまで増えるのだ。なんと23倍の増加率。
カルシウムといえば、我々の骨を作る大切な栄養素である。近年、骨粗しょう症にかかる人が増えているので、積極的に摂取したい栄養素のひとつだ。
「干ししいたけ」
生のしいたけ100gに含まれるビタミンDは0.4μg(マイクログラム)である。それが干ししいたけになると12.7μgと、30倍以上もビタミンDが増えるのだ。
ビタミンDの働きは、カルシウムの吸収を助け、丈夫な骨を作ることである。つまり、切り干し大根と干ししいたけの煮物は強い骨を作る最強の一品というワケだ。わしゃ今日からモリモリ食うぞ!
ちなみに、切り干し大根も干ししいたけも、乾燥させる過程を経て、そのかさは1/10程度まで減少する。ことを考えてみても、これらの栄養素が増加していることがお分かりだろう。
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【追加雑学】干し野菜を実際に作ってみた【作り方】
「干し野菜って、なんか作るのめんどくさそう…」そんな声が聞こえてきそうだが、けっこう簡単に作れるものである。
今回、筆者は大量に購入したプチトマトで干しトマトを作ったので、その過程をご紹介したいと思う。
まず、干し野菜を作るとき、注意してほしいことがある。それは「天候」である。雨が続く日は避けること。湿気はカビの元となってしまう。
トマトは水分が多くカビが発生しやすい野菜なので、特に注意が必要である。今回は、早めに乾燥させるべく、なるべく小さめのプチトマトを用意した。
干しトマト作り1日目
まず、プチトマトを水で洗い、表面の水分をとる。その後、乾燥しやすいようにプチトマトを半分に切る。この過程をめんどくさがって丸ごと乾燥させようとすると、なかなか中身の水分が抜けずにカビが生えてしまう確率が高まるのでご注意を。
そして、さらに水分が抜けやすくなるように、切り口にパラパラと塩をふっておくことをおすすめする。こんもりと塩を盛るように乗せなくても、塩が数粒乗るくらいで大丈夫だ。しばらくすると、水滴のような水分が出てくる。
こちらが干し始めて5時間経過したトマトたち。最高気温36度の夏の晴れの日に干しはじめたので、もう切り口の水分が抜け始めている。
干しトマト作り2日目
2日目からは、特にすることはない。ひたすら干すだけだ。
筆者の場合、日の当たる自室の窓際にキッチンペーパーの上に乗せたトマトたちを置き、日光浴させている。大体朝9時くらいから日が暮れるまで、なるべく日が当たるように若干場所を移動させつつ基本はほったらかしだ。
表面は乾燥しているが、まだまだ中身は水分たっぷりである。
干しトマト作り3日目
3日目も、2日目と同じくひたすらトマトに日光浴をさせるだけ。
日没後、トマトの感触を確かめてみると、まだ若干中の水分は残っている。だが、「美味い出汁、出まっせ」というような、乾物特有の良い匂いが漂い始めた。フレッシュなトマトにはない不思議な香りだ。
干しトマト作り4日目
やはり4日目も放置プレイ。翌日は一日中雨という予報なので、この日で終了とする。
色が若干黒ずんでおり、ほとんど水分が抜けているトマトが多いが、中にはまだ水分が抜け切れていないトマトもある。このまま常温保存するとカビの元となるので、干し作業が終了したら冷蔵庫か冷凍庫で保存しておこう。
干しトマトに関しては、干し作業完了後はオイル漬けにするのが筆者のお気に入りだ。
空の瓶に完成した干しトマトを入れ、ひたひたの分量のオリーブオイルを注ぐだけ。こちらも冷蔵庫保存が良いだろう。
このオイル漬けは、そのままドレッシングやパスタソースに使える。ベーキングが趣味の方は、これでフォカッチャやケーク・サレを作るのも激ウマなので、超おすすめしておく。
完成した!
干し野菜の雑学まとめ
食べ物の天日干しについての雑学をご紹介してきた。食べ物を干すと水分が抜けて凝縮された分、栄養素が増える。さらに、中には紫外線に当てることにより、特別に栄養素が増すものもある。
また、干し野菜は案外簡単に作れるもので、カビが生えないような環境で日光に数日間当てるだけで完成する。なお、梅雨時期やくもり続きの時に干し野菜を作りたくなったら、オーブンを使うという手もある。
130~150度のオーブンで30分~1時間程度、焦げていないか時々確認しつつ乾燥焼きをすれば完成だ。紫外線による栄養素アップを期待する人は、最初の1日だけ日光を当て、あとはオーブンの力を借りて乾燥させるのもよいだろう。もちろん、この方法は果物にも有効だ。
うっかり生鮮食品を腐らせてしまう人は、今後は干して食品ロスをなくすようにしてみてはいかがであろうか?