玄関や目につく軒下などに、いつの間にか巣を作るツバメ。しばらくすると卵からかえった小さなヒナが、そろって黄色いくちばしをあけ、ピーピー鳴く声が聞こえるようになる。
田舎育ちの私にとっては、また夏がやってくるなぁ~なんて、季節を感じる光景だ。
夏の終わりになると、成長したヒナたちは巣立ち、にぎやかだった巣は空き家になる。そしてまた翌年の春、いつの間にかまたツバメがやってきて、子育てをはじめるのだ。
こうして毎年やってくるツバメだが、じつは同じツバメが帰ってきているということをご存知だろうか。最近では、玄関先にツバメの巣がある家は少なくなってしまったような気がするが…
どこかの軒下に巣を見つけたら、そっとしておいてあげたくなるような、ツバメの巣に関する雑学を紹介しよう。
【動物雑学】巣を作ったツバメは同じ家に戻ってくる
【雑学解説】ほとんどのツバメは、自分が作った巣に毎年戻ってくる
ツバメは、日本が冬のあいだは暖かい国へ渡って冬を越し、春になると日本に戻ってきて夏までは日本で過ごす。この間に巣作りをし、卵を産んで子供を育て、秋になって日本が寒くなる前に、また暖かい国へと移動する渡り鳥だ。
こちらの動画では子育てから巣立ちまでの様子が見られる。子供から成長し、ここから飛び立っていくのだと思うとなんだか感慨深い。
冬を過ごす国は、フィリピンや台湾。ツバメの移動距離は3,000kmといわれている。あの小さな体で、海を超えて飛び続けることも驚きだが、もっとすごいのは、春から夏まで過ごした自分の巣に戻ってくるということだ。
戻ってきたときに巣が壊れていれば修復し、なくなっていれば、またすぐ近くに巣作りをするのだという。自分が一度決めた場所にこだわるようなのだ。
動物の帰巣本能のことは聞いたことがあるが、なんせ3,000kmの空の旅である。360度おなじ景色の大海原のうえを飛ぶツバメが、元の巣までどうやってたどり着けるのか、興味をそそられて調べてみた。
ツバメは自分の巣までの道のりを覚えている?
ツバメは、日中の太陽が出ている時間帯に移動することから、太陽の位置を目印にして、方角を定めながら飛ぶといわれている。しかし、太陽の位置だけでは、自分の巣へ、ピンポイントに戻ってくることはできないだろう。
はっきりと解明はされていないようだが、海岸線や、自分が住んでいた巣の近くの地形・山並み・目印などを覚えているのではないかといわれている。
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【追加雑学①】ツバメはあえて人目につきやすい場所を選んで巣を作る
ツバメの巣は、人目につくところによく作られる。人間が頻繁に出入りするような場所に巣を作ることで、カラスなどの外敵を寄せ付けないようにしているのだという。
あえて人間の身近な場所に巣を作り、人間をガードマン代わりにしているというわけだ。
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【追加雑学②】子ツバメは、親とは違う地域で巣を作る
親ツバメが作った巣で成長し、巣立ったヒナたちは、翌年その「実家」には帰ってこない。
そもそもツバメは群れをなして行動する鳥ではなく、海を渡るときも「個人」の判断で行動するのだそうだ。大勢で行動すれば、それだけ外敵にも発見されやすい。
また、長距離を飛んで移動する際に、それぞれの身体能力に差があるため、群れでの行動は厳しいといわれている。
一人前になったヒナは、飛び方やエサのとり方など、生きていくすべを教わったあとは、単独で海を渡る。そして日本に帰ってきてからは、親とは違う地域で自分のテリトリーを決め、巣をつくり、親になっていくのである。
雑学まとめ
今回は、毎年やってくるツバメは同じツバメか? と、ふと気になる雑学を紹介した。
最近では、めっきりツバメの姿を見なくなったのだが、高速道路のサービスエリアのトイレの入り口に、ツバメの巣を見かけたことがある。
巣の下には、ツバメのフンで汚さないようにダンボールが敷かれ、「ただいま子育て中」と書いた看板が置かれてあり、こういう人の温かさを感じると嬉しくなる。
人が常に出入りするサービスエリアを選んで、ここなら大丈夫と巣を作ったのだろう。
また来年、その場所を目指して遠い国から飛んでくるのかと思うと、できればそのままにしておいてあげてほしいな…。
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