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天津甘栗の"天津"の意味とは?生産地じゃないぞ…!【動画】

雑学カンパニー編集部

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天津甘栗の「天津」は、「天津の港から出荷された栗」で生産地ではないという雑学

無性に食べたくなる「天津甘栗」。あの甘い香りが漂ってくると、胃袋を鷲掴みにされたような気分になるのは筆者だけだろうか。

ところで、あの甘栗はなんで「天津甘栗」って呼ぶんだろう。深く考えたことはなかったが、とりあえず中国の天津で採れた栗? それとも品種名? くらいに思っていた。

天津が中国だというのも、天津飯があるから知っている程度。そんな認識だったのだが、実は「天津甘栗」は日本でしか通用しない呼称だというからビックリだ。

実際の天津には栗どころか、栗の木すらないというこの事実! いったい「天津甘栗」の正体とは何なのだろう? 今回はこの雑学に迫っていくぞ!

【食べ物雑学】天津甘栗の「天津」の意味とは?

ぷよぷよくん
『天津甘栗』って天津名物じゃないの?
ガリガリさん
そもそも天津には栗山がないぞ。天津甘栗は天津から輸出された中国栗(シナグリ・アマグリ)の総称なんだぜ。

【雑学解説】天津甘栗という品種名はない!

天津甘栗という品種名はない、という事実。日本人側から見た名称。についてのトリビア

天津

「天津甘栗」のくせに、天津に栗山がない…初めて知ったときはちょっとショックだった。天津は港町で、栗山なんてない。むしろあるのは新鮮な魚介類である。

ぷよぷよくん
え、天津って港町だったんだ…知らなかったよ…

中国が栗の一大生産地であることは間違いない。広大な国土の中でも、河北省(かほくしょう)にある燕山山脈(えいざんさんみゃく)の周辺地域が名産地として知られている。

採集された栗は中国全土から天津港に集められ、そこから国外向けに輸出していた。「天津甘栗」は、天津から出荷された栗の総称なのだ。

ただこれも、中国人が自ら付けた名称ではない。他でもない日本人が、水飴をからめて香ばしく焼き上げた栗菓子を作るために「天津から栗を輸入していた」から「天津甘栗」。日本人が呼び始めた呼称なのだ。

天津甘栗を作っている動画

天津甘栗と呼べるのは、熱した小石などで焼いた焼き栗のことだ。ツヤ出し、破裂防止のために糖分を入れて、大きな釜で炒って作る。

下の動画では、実際に天津甘栗を作っている様子を見ることができる!

ぷよぷよくん
こうやってじっくり天津甘栗はできていくんだね…ボク、無限に眺めていられるよ…えへへ…

【追加雑学①】天津甘栗が中国栗な理由とは?

なぜ天津甘栗は中国の栗でなければいけないのか? それは焼き栗にした時に、日本の栗ではあの独特の甘みが出ないからである。

栗は世界的に見ておおまかに4大品種がある。日本栗・西洋栗・アメリカ栗・中国栗だ。

日本の栗は水分量が多くて固く、粘りのある食感が特徴。改良されて大粒化し、茹でて食べるのに向いている。上品だが甘みが少なく、渋皮も実にしっかりくっついているので、焼き栗にはむいていない。

対する中国栗は、小粒ながら甘みが強く、加熱すると豊富なでんぷんが糖に変化して、さらに甘くなる。渋皮の実離れもいいので、外皮を剥くだけでパクっと食べられるのだ。

中国の品種は、気候の関係から日本で栽培するのは難しい。美味しい焼き栗のために天津港からの輸入に頼ってきたからこそ、「天津甘栗」の名前が確立されたというわけだ。

ガリガリさん
西洋栗もアメリカ栗も、渋皮が剥きやすい品種なんだぜ。
ぷよぷよくん
西洋栗っていえば、マロングラッセの原料だよね…あの甘みたまらないよ…じゅるり…

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【追加雑学②】品質が向上している中国栗

天津甘栗という名称は、かつては中国全土から集めた栗を漠然と指していた言葉だったが、「日本で天津甘栗が大人気」という事実が中国側にも浸透。今では特別に指定された地域の栗が使用されており、品質向上も進められている。

特に河北省は栗の生育に向いていることから、品種改良や無農薬栽培が盛んに行われてきた。品種改良には、日本人研究者との共同開発も行われているのだそうだ。

なかでも「青龍県」では、2007年度産から村別に栽培・加工・流通・販売の流れを明確にすることで、品質を保証するシステムを作っている。

ガリガリさん
青龍県っていうのは、河北省の中でも特に栗の産地として有名な地域のひとつなんだぜ。

【追加雑学③】日本栗の新品種「ぽろたん」とは?

「渋皮煮」があるほど、実から渋皮が取りづらい日本の栗。これはどうしても変えられない性質だった。

ところが最近「奇跡の栗」と呼ばれている栗がある。それが、2007年に品種登録された「ぽろたん」である。

外皮にキズを付けてから加熱するというひと手間が必要なものの、最初にキズをつけるとびっくりするくらい「ポロっと」皮が剥ける。それも、渋皮ごと剝けちゃう。

ぷよぷよくん
『ぽろたん』…嫌いじゃないよ、この名前…たん…カワイイ…うふふ…
ガリガリさん
…いや…コレ、安易すぎないか?

これは、日本の栗歴史1万年の常識を覆すほどのことだそうだ。これを使えば大粒の日本栗でも焼き栗が楽しめてしまう!

天津甘栗の雑学まとめ

出荷場所かい!天津甘栗の中国"天津"は生産地ではないという雑学まとめ

天津には栗山がないにも関わらず、輸出産業の拠点だからこそついた名前「天津甘栗」。焼き栗の歴史を感じる雑学だった。

あの美味しい焼き栗は中国の品種でなければ作れない。だからこそ「天津甘栗」の名前が固定されたのだろう。

今はまだ流通量が少ないが、いつの日か品種改良された日本の栗で焼き栗が楽しめるようになるのだろうか? 天津甘栗と「ぽろたん甘栗」、食べ比べてみたいものである。

ぷよぷよくん
国産の大粒甘栗『ぽろたん甘栗』…早く商品化されないかなぁ…うふふ…
ガリガリさん
だからそのネーミングはどうなんだ…

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