「春はあけぼの〜」などと詠われるように、日本では古来から季節や気温の移り変わりを楽しむ文化がある。現在でも日本を紹介する際によく使われるのが「四季がハッキリしている」という表現だ。多くの日本人がそれぞれの季節に魅力を感じているといえるのではないだろうか。
では想像してみてほしい。もし夏が50度を超えるような暑さだったら…。冬がマイナス80度近くまで冷え込むとしたら…。おそらく季節の変化を楽しむどころの話ではなくなってしまうであろう。
しかし、実際にそんな世界が存在することをご存知であろうか? 今回の雑学では地球上で記録されている最低気温・最高気温についてお伝えしよう。
【自然雑学】地球の最低気温と最高気温は?
【雑学解説】地球上での最低気温はマイナス98度・最高気温は57度
ご存知の通り、地球は広大だ。日本という狭い範囲でさえ夏と冬では気温が大幅に異なる。まして地球規模でみた場合、我々が想像しているよりもはるかに大きな差が生じる。緯度や経度・日照時間や降水量・風・海流など、多くの要因によって地域ごとの環境が作り上げられている。
今回のテーマである気温にスポットライトをあててみると
・最低気温マイナス98度
・最高気温57度
断っておくが人工的に作られた環境ではない、自然界で記録された気温である。地球で最も寒い地点と最も暑い地点での温度差、なんと159度。数字だけ見たら揚げ物がカラッと仕上がりそうだ。
そんな極限の環境についてこれからご紹介していこう。
地球上での最低気温は南極
このマイナス98度という最低気温を記録したのは地球の最南端、南極だ。2018年6月25日、国際的な地質学の専門誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ (Geophysical Research Letters)」に、地球上で最も低い気温が観測されたとの論文が発表された。私はコトバのイメージ的に北極の方が寒そうな気がしていたのだが違うらしい。
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南極が北極よりも気温が低いのは次のような理由による。
・標高の問題。北極が平均標高10メートルに対して南極は2500メートル。
・北極は海や氷の集まりなので一定以下の気温になりにくい。南極は陸地のため、際限なく気温が低下する。
・南極付近をぐるぐる回っている海流(南極海流)の影響により流れ込んでくる暖流(暖かい海流)を跳ね返してしまう。
高所にあり、海流でバリアを張り巡らせる地球最南端の大陸。まるで要塞のようではあるが、ペンギンが暮らしているぐらいだから平和なのであろう。
マイナス98度ってどんな世界?
マイナス98度の世界とはどのようなものであろうか?イメージできるレベルから比較してみよう。身近なところで言うと冷凍庫がマイナス20度前後である。
- マイナス20度 まつ毛や鼻毛が凍る
- マイナス40度 お湯が一瞬で凍る
- マイナス60度 釣った魚が一瞬で凍る
- マイナス90度〜 数回深呼吸したら肺出血により死亡
呼吸するだけで死亡…。いくら無呼吸のギネス記録保持者でも、滞在中にずっと息を止めることは不可能だ。このようなマイナス90度近い環境では、専用のマスクで息を温めながら調査するとのこと。酸素を取り込むのも命がけなのだ。
コチラがマイナス60度の世界。なにもかもが凍ってしまう。お湯が一瞬で凍る衝撃映像をご覧あれ。
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地球上での最高気温はアメリカ
地球上での最高気温は、アメリカのデスバレー国立公園で1973年7月10日に記録された57度だ。デス(Death)バレー(Valley)日本語にすると「死の谷」だ。名前からして尋常じゃない。
デスバレー国立公園がこれほど高温になる理由は主に二つ。
・年間降水量が非常に少なく、水がほとんど存在しない
・広大な盆地になっていて、太陽の熱で温められた空気が逃げにくい
夏場には月の平均気温が40度を超えるなど、まさに灼熱の大地。それにも関わらず、デスバレー国立公園は人気の観光スポットでもある。アメリカの国立公園の中で最も広く、面積は福島県と同程度。観光案内所など一部の建物を除いて人工物がほとんど存在せず、市街地からも遠く離れているため、満点の星空を眺めることもできる。
【追加雑学①】デスバレーの由来
ゴールドラッシュ時代に、金鉱山へ向かっていた一団が近道をしようとしてこの谷に迷い込み、暑さと水不足で命を落としたことに由来している。ただし、その一団以外に死者がでた記録はない。
57度ってどのぐらい暑い?
気温50度といわれてもイメージがしづらいであろう。参考までに、私が過去にデスバレー国立公園に行った際の体験談をお伝えしておく。ちなみに時期は7月、気温は40度代後半であった。
まず日差しが強烈。強いではない、もはや痛いと言ってもいいレベルだ。ペットボトルの水はすぐにぬるま湯と化し、地面は焼けるような熱さ。車のボンネットをフライパン代わりに目玉焼きが作れるんじゃないか、と考えたがタマゴを持っていなかったのが悔やまれる。
清涼感を与えてくれるはずの風も、デスバレーでは一味違う。全然涼しくない。辺りの砂を巻き上げながら熱風が襲ってくる。その熱さときたら、まるで地獄から風が吹いてきているのではないかと思わされるほどであった。
とはいえ、前述したように観光スポットとしては素晴らしい。極限の自然を体験でき、非日常の世界に浸ることができるため、文句なしにおすすめできる。もし訪れる機会に恵まれた場合、くれぐれも大量の水をお忘れなく。
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【追加雑学②】日本の最低・最高気温と観測地点
日本国内における最低気温と最高気温についてもお伝えしよう。
・最低気温は1902年1月25日、北海道の上川測候所(現在の旭川地方気象台)で観測された氷点下41.0度
・最高気温は2017年7月23日、埼玉県熊谷市で観測された41.1度
最低気温が長年変わらないのに、最高気温が毎年のように更新されているのは地球温暖化の影響なのであろうか。日本がデスバレーのようにならないことを祈るばかりだ。
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雑学まとめ
今回の雑学では、地球の最低気温と最高気温と観測地点についてお伝えしてきた。季節の変化を楽しむどころか、生活することすら困難な地域である。
好奇心あふれる読者は挑戦してみてはいかがだろうか?準備さえしっかり整えて挑めば不可能ではない。きっと一生物の冒険談が待っているであろう。