画家エドヴァルド・ムンクの代表作である「叫び」は、「ムンクの叫び」という呼び名でお馴染み。
その有名なムンクの叫びだが、実は4種類あるのをご存じだろうか。そう、お馴染みのあの「叫び」以外にも、3種類の作品が存在しているのだ。
今回は4種類のムンクの叫びについて、それぞれをチェックしていこう。
【歴史雑学】「ムンクの叫び」は4種類ある
【雑学解説】似た構図・構成で描かれる「ムンクの叫び」
では早速だが、様々な「ムンクの叫び」を以下にリストアップしていく。どれも構図はあの有名な「叫び」と同じだが、描くのに使用された画材が異なっているのだ。
- 油絵
- クレヨン
- パステル
- テンペラ
上記4種類の画材で、4枚のそれぞれの叫びが描かれたのだ。また、4種に加えてさらにモノクロバージョンが大量生産された過去もある。
それに加え、有名な哲学者ニーチェの肖像画を「ツァラトゥストラの詩人」として描いているのだが、その絵の構図・背景・モティーフは「叫び」とかなり似た描かれ方なのである。
ニーチェから依頼され肖像画を描いたのはすごいが、それもそのはず、当時ムンクは肖像画家としてもかなり有名・人気を得ており、非常に数多くの肖像画作品を残している。
ムンクの叫び・関連作について
ムンクの叫びには、関連作が存在している。実は、ムンクが「叫び」の第一作として挙げているのは1892年の「絶望」という作品なのだ。
こちらは有名なムンクの叫びと同じような背景・モティーフが描かれている。また、1894年には「不安」という、こちらも同じような描かれ方の作品が製作されている。
このように関連作が多く描かれているのも、ムンクの叫びという作品の大きな特徴なのである。
では、「ムンクの叫び」において叫んでいるのは何か、理由などを簡単に解説していこう。
「ムンクの叫び」という作品は、中央に描かれている男性が叫んでいると勘違いされがちだが、実際は異なる。これは、男性が突然「幻覚・幻聴」に襲われ、恐怖や不安と戦っているさまが描かれているのだ。
この幻覚・幻聴はムンク自身が襲われた経験があるようで、そのときの様子が日記に残されていたりする。
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絵のタイトルは「ムンクの叫び」ではない?
日本では「ムンクの叫び」という呼称が一般的だが、実は絵のタイトルは「ムンクの叫び」ではない。
実際のタイトルは「叫び」という単語だけであり「ムンクの」という言葉は入らないのだ。本来は「ムンクが描いた叫び」という意味である。
「ムンクの叫び」は2度も盗まれている
1944年、オスロ国立美術館に保管されていたムンクの叫びは盗難被害に遭っている。このときは3ヵ月ほどで返ってきたそうだが、犯人は当時「お粗末な警備をありがとう」というメッセージを残していたそうだ。
よっぽど簡単に盗めてしまったのだろうか…盗賊も気持ち良くなってしまったのかもしれない。
そして、2度目の盗難被害は2004年のことだった。こちらは美術館が開館しているにも関わらず、武装した強盗によって「マドンナ」と共に盗まれてしまったのだ。
2度とも結果的に返ってきてこそいるが、やはり「ムンクの叫び」には何か人を魅了する特別な力・雰囲気があるのかもしれない。
【追加雑学】エドヴァルド・ムンクについて
ムンクは1863年に生まれ、1944年に80歳で死没している。
ムンクは、幼少期に母・姉を亡くしてしまっているのだ。これが後のムンクの作風に大きく影響しているとされている。事実、ムンクの作品には「愛」や「死」が題材とされているものが多く存在している。
ムンクはどこか、愛情に飢えていたのかもしれない。そして、「死」を恐れていたのだろうと考えられる。そんなムンクの作品の一部を、下の動画でご覧いただきたい。
「ムンクの叫び」の雑学まとめ
ここまで、「ムンクの叫び」に関する雑学を紹介してきた。
一口に「叫び」といっても、関連する作品が存在していることや、同様の手法が用いられた作品があるということは、ご存じない方も多いかもしれない。
ムンクは今回ご紹介した「叫び」が有名だが、他にも数多くの魅力あふれる作品を残している。興味のある方は、ぜひチェックし、さらなるムンクの魅力を確認してもらいたい。