伝統あるスコッチ・ウイスキーを製造している国、スコットランド。そのウイスキーは世界中から愛され、日本でも多くの人が愛飲していることだろう。
そんなウイスキーを守る猫が、醸造所に存在するというのだ。「ウイスキーキャット」と呼ばれるその猫の正体についての雑学を解説していこう!
【動物雑学】スコットランドの醸造所ではウイスキーキャットと呼ばれる猫が飼われている
【雑学解説】特殊なネコ「ウイスキーキャット」の役割とは?
ウイスキーキャットとは、スコットランド地方の醸造所で、害獣の駆除を目的に飼われている猫のことである。ウイスキーやビールの原料となる大麦は、ネズミや鳥の餌となる。それら害獣から原料を守るため、醸造所で飼われているのである。
ウイスキーキャットには別名もある。蒸留所の猫という意味の「ディスティラリーキャット」、ビール醸造所の猫という意味の「ブリュワリーキャット」、蒸留所のネズミ捕りという意味の「ディスティラリーマウザー」などと呼ばれることもあるようだ。
【追加雑学①】駆除剤などを使用しない理由は?
ネズミの駆除は猫に任せる、という古来の方法が使われているのはなぜか。その理由は伝統あるウイスキーを醸造してきた、製造元のこだわりにあった。
駆除剤を散布することによって、原料である大麦の香りが損なわれる。それにより品質を保てないという大きな問題が発生する。それらからウイスキーを守るため、この方法が選ばれているのだ。
こういったこだわりのおかげで、日本でもおいしいウイスキーを堪能できるのである。
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【追加雑学②】ギネスブックに載った有名なウイスキーキャット
ウイスキーキャットの中で最も有名だといわれている猫「タウザー」。ウイスキーキャットとしての役割を担ってから死ぬまでの24年間で、駆除したネズミの数はなんと28,899匹! ギネスブックにも載っているという。
さらにエリザベス女王2世と同じ誕生日であったことから、タウザーの名前で女王宛にバースデーカードが送られ、女王から「(人間の年齢に換算して)161歳の誕生日おめでとう」と返事までもらったそうだ。
タウザーの死後、飼われていたグレンタレット蒸留所にはタウザーの銅像が立てられ、今なお愛され続けている。
【追加雑学③】現在のウイスキーキャット
現在もウイスキーキャットとよばれる猫は存在する。しかし昔のように害獣駆除のためだけに飼われているわけではないようだ。醸造所を見学に訪れる旅行者に対し、マスコット的存在のような意味合いで飼育されていることも多いという。
その背景には、貯蔵技術の向上により害獣の被害を受けにくくなったことや、食品を扱う場所で生き物を飼うことへの規制が厳しくなった結果といった理由がある。
衛生面での規制により醸造所内で猫を飼えなくなったとしても、ウイスキーキャットと共にウイスキーを作ってきた人々にとって、その存在はなくてはならないものに違いない。醸造所のPR役を務め、作り手を癒しながら存在する猫は、現代のウイスキーキャットの姿なのであろう。
雑学まとめ
ウイスキーキャットについての雑学を紹介したが、いかがだっただろうか。
ウイスキーキャットとは、原料を害獣から守り、変わらぬ品質のウイスキーを私たちに届けるために存在する猫のことである。
古くから伝わる手法で、伝統あるウイスキーを作り続ける人と、その品質を守るため人知れず活躍する猫。スコットランドのウイスキーが評価されるのには、さまざまな理由があることがわかった。
残念ながら現代のウイスキーキャットは、かつて与えられたものとは違う役割を担っていることが多いようだ。それでもウイスキーキャットとよばれる猫の存在が、今も昔も最高のスコッチ・ウイスキーを作り出す理由のひとつであることに変わりはない。
愛飲者も初めて飲む機会が訪れた人も、そのときは…。
今は亡きタウザーに、その一本のウイスキーを作るために頑張ったウイスキーキャット達に思いを馳せながら飲んでみるといいかもしれない。今までとは違った味が楽しめることだろう。
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