一円玉。あなたの財布の中におそらく1枚は入っているであろう、現在流通している日本の硬貨の中で一番価値が低い金属の塊だが、こんな噂を聞いたことはないだろうか?
「一円玉は水に浮く」
さぁ、コップの中に水を溜めて、一円玉を水面と平行にして静かに置いてみてほしい。うまくできれば、金属が水に浮くという不思議な現象を見ることができるはずだ。
今回の雑学ではこの現象に関してわかりやすく説明しよう。
【生活雑学】一円玉が浮く理由は?
【雑学解説】一円玉が水に浮く理由は大きく分けると3つ
一円玉が水に浮く理由は大きく分けると3つある。1つ目はその素材であるアルミニウムの特性によるもの。2つ目は浮力によるもの。3つ目は表面張力によるものだ。
それぞれに関して説明していこう。
素材の特性
1つ目は一円玉に使われる素材の特性によるものだ。
ご存じの方も多いと思うが、一円玉はアルミニウムでできている。このアルミニウムの特性は「非常に軽い金属」であるということ。普段使い慣れている私たちは感じないが、日本の硬貨を知らない外国人が一円玉をさわると「おもちゃのお金?」と思うそうだ。
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それくらい軽い素材でできている一円玉だが、密度は2.7g/㎤となり、密度がほぼ1g/㎤の水よりはもちろん重い物体なので、これだけでは水に浮く説明はできない。
浮力
2つ目は浮力だ。
浮力とは「水などの流体中にある物体に対して重力とは反対に働く力」のことである。たとえば金属の船が水に浮かぶ理由は、この浮力によるものだ。
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しかし同じ金属であっても、中が空洞になっている船と違って、一円玉は金属の塊。この浮力だけでも水に浮く理由とはならない。
表面張力
3つ目は表面張力だ。
表面張力とは「液体の表面ができるだけ小さな面積をとろうとする力」のことである。
…うん、わかりにくい。もう少し簡単にいうと、液体の表面に物体が置かれたとき、(できるだけ面積を小さくするために)液体から物体に向かって働く力のことだ。
一円玉はアルミニウムでできていると先ほど説明したが、その表面は空気中の酸素によって酸化アルミニウムの膜で覆われている。この酸化アルミニウムは親水性(水をはじかない)だが、普段使われていることで人の皮脂や油分が表面に付着しているため、疎水性(水をはじく)になる。
水は疎水性の物体が入ってくると(できるだけ水表面の面積を小さくするために)それを押し出すような力が働く。これが表面張力だ。
一円玉は「重さ」と「浮力+表面張力」のバランスがつりあっているため、水に浮くことができるのである。
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【追加雑学】一円玉を沈めるためには?
では逆に、一円玉を水に沈めるためにはどうすればいいのだろうか? 一円玉の素材を変えることはできないし、浮力も変えることはできない。
しかし、表面張力は変えることができる。水に洗剤を入れればいいのだ。洗剤の主成分である界面活性剤は表面張力を弱くする特性があるため、簡単に一円玉を沈めることができる。
実際に洗剤を入れている動画を見てみよう。
洗剤を一滴入れるだけで一円玉が沈んでいく様子はとても不思議な感じがする。
一円玉の雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。どこの家にでもある物を使って簡単にできる実験なので、お子様がいる家庭では洗剤で一円玉を沈めるところまで含めて、夏休みの自由研究などでやってみてもいいかもしれない。
そういえば昔、池に浮かんでいるアメンボに洗剤をかけて沈めたことがあった。あれも表面張力を弱くすることで浮くことができないようにしていたんだな。(最近の子供はアメンボを知らないかもしれないが…)
ちなみに「世界の硬貨の中で水に浮かぶのは日本の一円玉だけ」という間違った噂があるため注意していただきたい。
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