歴史の教科書の年表には世界で起こった様々な出来事が並んでいるが、日ごとで見てみても、世界中で起こる事件や、著名人の生誕など、世界では毎日何かしら起こっている。
そんな中、イギリスの情報学者ウィリアム・タンストール=ピトー氏により、興味深い事実が発表された。ピトー氏が開発したアルゴリズムにより、歴史上一番何事も起きなかった日が特定されたのだ。
それが「1954年4月11日」。
この日は世界的に見ても大きな事件は発生しておらず、また、著名人の生誕もトルコ人学者・アブドゥッラー・アタラル氏(この人物が著名人かどうかの判断は読者に任せるとして)ただ一人。ほか、重要な著名人の死亡などもなく、歴史上一番何事も起きなかった1日として発表された。
今回はそんな、ある意味不思議ともいえる1日「1954年4月11日」についての雑学をご紹介しよう。
【歴史雑学】歴史上一番何事も起きなかった日は「1954年4月11日」
【雑学解説】「歴史上」何もない1日の見つけ方
気象庁のデータによれば、1954年4月11日は東京では最高気温が20℃を超える、ぽかぽか陽気の日曜日であった。おそらく平穏無事を絵に描いたような快晴であったに違いない。
そもそも、なぜ「歴史上」一番何事も起きなかった日が導き出されたのか。
情報学者のピトー氏は「人・場所・ビジネス・出来事」について過去の事実データを詰め込んだアルゴリズム「True Knowledge」を開発。現代を生きる我々の様々な質問に答えてくれるソフトウェアを制作した。
ピトー氏はこのソフトウェアを使って、日付別に歴史上の重要度を客観的に計測できるのではないかと考えた。出来事が多かった1日の方が、出来事が少なかった1日よりも歴史的に重要な1日であったと判断する。
そんな目論見の中、運悪く見つかってしまったのは1954年4月11日だった。この日は前述したトルコ人学者の生誕のほか、ベルギーでの選挙、サッカー選手の死亡の3件の出来事のみヒットとなり、歴史上何事も起きなかった1日として特定されてしまった。
ベルギーの選挙で戦った人や、サッカー選手のご家族を思えば、「何事も起きなかった」というのは、酷な言葉だが、あくまでも「歴史上」であることをここで強調してお伝えしておこう。
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【追加雑学】質問回答エンジン「True Knowledge」とは?
「歴史上一番何事も起きなかった1日」を発表したことで一躍有名になった「True Knowledge」だが、そもそもこのシステムの本職は、あらゆる事実データからユーザーの質問に答える回答エンジンだ。2012年以降は「Evi」という名前に変更されたので、こちらの名前で知っている人の方が多いかもしれない。
たとえば、「ジョージ・W・ブッシュの生年月日はいつか?」という質問には、「ジョージ・W・ブッシュは人間である」、「ジョージ・W・ブッシュは大統領である」など、複数の事実データを分析し、質問の本質を理解したうえで「アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュの生年月日は1946年7月6日」と回答してくれる。
上記は簡単な質問であるが、今回表題となった「歴史上一番何事も起きなかった日は?」という複雑な質問では、実に3億件を超える事実データを用い、回答を出している。
ちなみに、この会社は2012年10月にAmazonに買収され、Amazonの企業グループの一員となっている。その技術チームは最近話題のスマートスピーカー「Amazon echo」の開発に携わっている。
「1954年4月11日」の雑学まとめ
今回の記事では、歴史上何事もなかった1日についての雑学をご紹介した。
その日に生まれたトルコ人学者が気の毒になるような話であったが、今のところ、1954年4月11日が歴史上一番何事も起きなかった1日として認識されている。
ある意味ここで脚光を浴びたことで、どこかで重大事件が発生した日よりも知名度は上がったのかもしれない。
もちろん、この先の未来にこれ以上に何事も起きない日が来るかもしれないので、今は暫定といったところか。何もない毎日に退屈を感じたら思い出したい1日になりそうだ。