「狸寝入り」という言葉からは、どんなシチュエーションを思い浮かべるだろうか。寝たふりをして大人の話に聞き耳を立てている子供。大人でも、飲み会で酔ったふりをして狸寝入りをしている人、いるよね。
狸寝入りとは、いわゆる「寝たふり」だ。人間のずる賢い行動の一つだが、なぜ寝たふりのことを「狸寝入り」というのだろうか? 実は「狸寝入り」とは本当にタヌキの行動からきている言葉なのだ。
そういえばタヌキはイヌ科だから、もしかしたら賢いのかもしれない。タヌキは本当に狸寝入りをするのか? 今回は、狸寝入りに関する雑学を紹介していく!
【動物雑学】タヌキは本当に「狸寝入り」をする
【雑学解説】タヌキが「狸寝入り」をする理由とは?
「狸寝入り」という言葉はタヌキの行動から生まれた言葉ではあるが、残念ながら実際のタヌキの行動は策略でもなんでもない。
真相は、彼らの臆病すぎる性格による気絶だった! タヌキは非常に気の弱い動物。猟師の鉄砲の音を聞いただけで…パタン!
猟師は弾が当たったと思い、近付くと…ハッと目が覚めたタヌキが一目散に逃げてしまう。このやろう、騙しやがったな! ずる賢いタヌキめ…と思われてしまったようだ。
誤解だよ、誤解。狸寝入りは、ただのビビりだったということだ。この気絶する習性は「擬死(ぎし)」というのだが、擬死の様子から「魂抜き(タマヌキ)」という言葉になり、タヌキの名前の語源になっているという説がある。
タヌキはとにかくおっとりしている。敵に襲われても戦うどころか威嚇すらしない。
そもそもタヌキは求婚のときしか鳴き声を出さない。それも静かに「ウーウー」と鳴くだけ。本当に気弱で臆病な動物なのだ。
このように、タヌキには「寝たふりをする」なんて作戦を考える余裕はまったくなさそうだ。臆病なタヌキの気絶の様子を、人間が勝手に「狸寝入り」というずる賢い策略だと解釈してしまっただけなのだ。
タヌキの動画を見つけたが、気絶しているものは見つけられなかった。あなたはどう思うか?
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【追加雑学①】昔ばなしのタヌキのキャラクター
勝手に「ずる賢いタヌキめ」とキャラ付けされてしまったタヌキは、昔ばなしによく登場する。
大きすぎず小さすぎないサイズのタヌキは、擬人化にちょうどいいのかもしれない。それにしても、ほとんどの話でタヌキは悪さをはたらくわりにおっちょこちょいで愛嬌がある。
見た目がふわふわで太っているように見えるせいかも知れないが、大きなお腹をぽんぽんとたたく仕草が描かれている。実際はたたかないと思うが。
有名な「かちかち山」では、タヌキは悪いことをして懲らしめられる役。「ぶんぶく茶釜」では、茶釜に化けたまま元の姿に戻れなくなっている。小学校の教科書にものっている「タヌキの糸車」では、いたずら好きだが人間の真似をして糸をつむぐ可愛らしいキャラクターだ。
山奥でよく目にする日本人になじみの深いタヌキは、臆病な性格とは裏腹に、いたずら好きで間抜けという愛されキャラになっていたのだ。
【追加雑学②】キツネより化けスキルが高いタヌキ
「キツネとタヌキの化かし合い」という言葉があるが、同じように化けて人間を騙すとされているキツネとタヌキ。タヌキの方にはどうも間抜けなイメージがついているが、「キツネの七化けタヌキの八化け」といって、実は化ける能力はキツネより一枚上手とされている。
というのは、キツネは美しい女性に化けて人間を騙すのがお決まりだが、タヌキは他の動物に化けたり、茶釜やお札に代表されるような「物体」にも、ときにはなんと建物にまで化けることができるのだ!
知恵比べでも、タヌキがキツネを自身の領土に寄せ付けなかったという物語が残っている。とぼけた愛されキャラだが、実はキツネよりスキルが高い! ちょっとかっこいいと思わないかい!
【追加雑学③】タヌキは海外で大人気!
昔ばなしによく登場するため、日本人にはおなじみのタヌキだが、実は世界的には珍しい動物だということをご存知だろうか。もともとの生息地は、日本・中国・朝鮮とロシアの一部地域のみ。最近は世界各地に輸出されるようになった。
タヌキが輸出されているのか! と驚かれたかもしれないが、実はタヌキは海外で大人気! アメリカのSNSなどでは「私たちはこのTANUに夢中!」なんて、耳慣れないニックネームまで付けている。
しかも、タヌキは外交にも一役買っているのだ。富山市の動物園がシンガポールにタヌキを送ったところ、交換でやってきたのはなんと、世界三大珍獣のひとつでパンダと並ぶ希少種「コビトカバ」だった!
え? いいの? こっちが送ったのはタヌキなんだけど…。
たしかにかわいいよ。もふもふだしさ。しかし、海外でのタヌキの扱いが、日本におけるタヌキのイメージとかけ離れすぎていて、なんだか複雑な気分になるよ…。
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「狸寝入り」の雑学まとめ
タヌキについての雑学を紹介してきた。
実際は、狸寝入り=気絶なのであって、人間の狸寝入りとはまったく事情が違うのだ。ちょっとしたことでビビってしまうタヌキの痛々しい習性を、人間のずる賢さの表現につかうなんて、ひどい話だ。
ちなみに夜中の高速道路などを走行するときは、タヌキが飛び出してこないか、十分に注意していただきたい。車のライトにビビってしまい、立ち止まったまま動けなくなって、事故に遭うタヌキがたくさんいるからだ。
もしも山の中でタヌキを見かけたら、どうかそっとしておいてあげてほしい。きっとタヌキは「寝たふりしよう」なんて考える余裕もないくらい、人間にビビっているはずだから。