炊飯器を開けると立ちのぼる湯気。湯気にのって炊き立てご飯の香りが辺りに漂いだすと、とたんにお腹が空いてくる。
お米はなんといっても日本人の主食であり、日々の食事になくてはならない存在だ。コシヒカリ・あきたこまち・ゆきひかりなど、さまざまな種類のお米が販売されている。
と、ここで本題である。今さりげなく登場したお米の品種、ひらがなで書かれたものとカタカナで書かれたものがあったことにお気づきだろうか。
そう。お米の表記にはひらがなとカタカナがあるのだ。「つや姫」のようなひらがなと漢字を合わせた変わり種もある。
そこで今回の雑学ではお米の品種の表記のしかたについて調べてみた。
【ルール雑学】お米の品種にひらがなとカタカナがあるのはなぜ?
都道府県が育成したお米はひらがなまたは漢字、国が育成したお米はカタカナで名前がつけられた。
【雑学解説】育成者を区別するためだった
育成者によってひらがな・漢字表記かカタカナ表記が決まっていたということで、調べてみればわりと単純な話であった。
日本では、明治時代からお米の品種改良がおこなわれるようになった。国主導の品種改良によって生まれた新品種は、当初「農林1号」のように番号で呼ばれていたそうだ。
しかし、品種改良がさかんになるにつれて、番号で管理するのが難しくなっていったのである。そこで、カタカナ6文字以内で名前をつけることになり、その頃に生まれたのが、コシヒカリやササニシキである。
時は流れて戦後。国だけでなく、都道府県がお米の品種改良に乗り出した。そのため、国主導の品種改良で生まれたお米と、都道府県主導の品種改良で生まれたお米を区別する必要がでてきた。
そこで考えられたのが、都道府県主導で生まれたお米の名前はひらがな、または漢字を使って名づけるという案である。あきたこまちやゆきひかりはこの頃に生まれたお米だ。
1991年、この名づけ方に変化が起きた。国主導で生まれたお米に「ひとめぼれ」という名前がつけられたのだ。本来であればカタカナで名づけられるべきものにひらがなの名前がついたのだ。
これを契機にとして、現在ではお米の命名にあたって考えるべきルールはなくなったのである。現在では自由に名前をつけることができるようになった。
そのため「つや姫」や「ゆめぴりか」のように公募によって命名されるお米や、「森のくまさん」といったユニークな名前のお米が登場しているのだ。
【追加雑学①】「米寿」は88歳をあらわす
60歳の還暦、70歳の古希(こき)のように、一定の年齢に達したことを祝う儀礼を賀寿(がじゅ)という。
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そして米寿(べいじゅ)は、数え年で88歳になったことを祝う賀寿の1つだ。
「米」という漢字を分解してみると「八十八」となる。そこから、数え年の88歳を米寿というようになったのである。
また、八という数字は末広がりで縁起がいいとされているため、米寿は八が2つ重なってめでたい年とされている。
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【追加雑学②】どんなお米でも無洗米にできる
ご飯を炊くためには、お米をとがなければならない。これは誰もが知っていることだろう。しかし、忙しい現代人のためにその常識をぶち壊したのが無洗米である。読んで字のごとく、洗わなくていいお米なのだ。
そもそもお米をとぐ理由は、白米に付着している「肌ヌカ」と呼ばれる粘着性の強いヌカを取るためである。しかし、無洗米はこの肌ヌカを事前に取り除いてから販売されているのだ。精米のあとに肌ヌカを取り除く無洗米加工をしたお米が無洗米となるのである。
つまり、もともとのお米がコシヒカリでも、ゆめぴりかでも、無洗米加工さえすれば無洗米になるのだ。無洗米加工といっても、加工に使っていいのは米・空気・水のみ。工場でお米をといでから出荷されている、といったイメージである。
また、無洗米として認証されるには、ヌカが取り切れていること・もとのお米と同等以上の食味があることなど、厳しい条件をクリアしなければならない。
無洗米というとなんとなくうさんくさいようなイメージがあったのだが、非常にクリーンな存在であることがわかった。忙しい時期には利用してもいいかもしれない。
【追加雑学③】収穫された年の年末までに精米されたお米を新米という
いつものお米よりも香り高くふっくらおいしい! と思ったら新米だった、という経験はないだろうか。どんな食べ物でも初物は喜ばれるものであり、新米もまた例外ではない。
しかしこの「新米」という表現は非常にあいまいに感じる。どこからどこまでが新米なのかわかりづらいのだ。
そこで調べてみると、明確な決まりがあった。「収穫された年の年末(12月31日)までに精米されたお米」が新米として認定されるのだ。
10月に収穫したお米を12月31日精米したら、それは新米である。しかし、同じお米を1月1日に精米したらそれは新米ではないのだ。
なかなかシビアである。収穫の翌年以降に精米されたお米は「令和〇年度の米」という扱いになってしまうとのこと。
新米と銘打った方が売れるに違いないが、お米も生鮮食品であるがゆえに精米すると劣化が早まってしまう。生産者としてもいつ精米するかは悩ましい問題に違いない。
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雑学まとめ
今回の雑学では、お米の品種を決める際にひらがなを使うかカタカナを使うかといった決まりがあることを紹介した。毎日のように口にしているお米だが、知らないことはたくさんあるものである。
そして、売られているお米が農林1号・農林10号とかだったら間違えて買ってしまう可能性大なので、早々に名前をつけてくれるようになってよかった。
かつて、お米を作るには八十八の手間があるといわれていたそうだ。機械化が進んでいる現在ではもう少し手間が減っているだろうが、それでも手間がかかることに違いはないだろう。
玄米でも白米でも無洗米でも、作ってくださっている方々に感謝しながら、味わって食べるようにしたいものである。