今の若い人たちは知らない人もいるかもしれないが、かつて飛行機の客室乗務員を「スチュワーデス」と呼んだ時代があった。
今では使われなくなった呼び方だが、昔から客室乗務員は女性の憧れの職業で「スッチー」などという愛称で呼ばれていたことを覚えている。
そんな女子たちの憧れの的となっていたスチュワーデスだが、実はその呼び方には耳を疑うような語源がある。今回はそんなスチュワーデスという、客室乗務員の呼び方に関する雑学をお届けしよう!
【世界雑学】スチュワーデスの言葉の意味は「豚小屋の番人」
【雑学解説】古代ヨーロッパで豚小屋の番人は使用人のトップ階級。それに値する重大な責務という意味が込められている
スチュワーデスは、男性の客室乗務員を表す「スチュワード」の女性版の呼び方だ。そしてスチュワードの語源となった言葉は古代英語の「Stigweard」だ。
「Stig」は日本語では「豚小屋」。「Weard」は「番人」という意味をもっている。つまりスチュワードはもともと「豚小屋の番人」を意味していることになる。
これは客室乗務員に対する侮辱ともとれるし、「乗客を豚だというのか!」と怒る人もいそうだ。しかしスチュワーデスという呼び方に、そういった侮辱の意味は一切含まれていない。
古代ヨーロッパで豚は貴重な財産だった。それを管理するスチュワードは、使用人の中でも信用のおける者にしか任されないトップクラスの役職だったのだ。
つまり客室乗務員をスチュワード・スチュワーデスと呼んだのは、信用のおける者にしか任されない重大な責務を負っていることを意味している。
客室乗務員には乗客の安全を守る重要な責務がある。急病人などが出た場合も、対応するのは客室乗務員だ。そういった意味では、この呼び名がついたことにも納得がいく。
スチュワーデスと呼ばれなくなったのは、男女・政治的差別の問題から
スチュワーデスという呼び方に侮辱の意味があれば、現在は使われていないことにも納得がいく。しかし、その呼び方には侮辱どころか名誉な由来があった。
ではなぜ、現在は使われなくなったのか? その理由は、男女で呼び方が異なること、階級を表した言葉であることにあった。
1970年代、アメリカでは女性が性差別の問題を訴える「ウーマンリブ運動」が勃発。そしてスチュワード・スチュワーデスという男女で違う呼び方をしていることも、性差別に当たるとして取り沙汰されることになった。
また同時期に「ポリティカルコレクト」という「職業を表すのに政治的差別を含む表現はしない」とする意識が社会全体で高まっていた。スチュワードは使用人の階級を表した言葉だったため、このポリティカルコレクトの意識にも反していたのだ。
これにより、1970年代後半から、アメリカでは「フライトアテンダント」という呼び方が一般的になった。
ちなみに、日本で呼び方が変わるのはもっと後の話で、ANAは1987年、JALは1996年まではスチュワーデスという呼び方をしている。
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【追加雑学】海外でキャビンアテンダントという言葉は伝わらない?
現在では客室乗務員やフライトアテンダントの他、「キャビンアテンダント」という呼び方も馴染み深いものとなった。しかし、キャビンアテンダントは、実は日本ならではの言葉で、外国人には伝わらない。
キャビンは英語で「小屋」を意味する単語である。外国人からすれば「は? 小屋の案内人?」となってしまうのだ。
キャビンアテンダントというのは、もともとはJALが海外支社と通信するために使っていた記号のようなものだったという。
当時はインターネットが発達していなかった。そのため、テレックスという文字数に応じて通信料が課金されるシステムを用いて海外との通信を行っていた。
なるべく通信料を節約するために文字数を極力抑えて、客室乗務員を「C/A」という記号で表したという。今では日本人なら誰しも知っている言葉だが、当初は完全な造語だったのだ。
雑学まとめ
スチュワーデスについての雑学、いかがだっただろうか。スチュワーデスの語源である「豚小屋の番人」には、重大な責務が課される仕事であるという、名誉ある意味が込められていた。なんとなく不名誉に感じるのは「豚=太っている」のような良くない印象が豚についてしまっていることが原因だろう。
アメリカの映画などでも、悪口でよく「豚野郎!」などといっているイメージがある。考えてみれば豚に失礼な話である。
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