陸上肉食動物ランキングの頂点に君臨する最強の哺乳類、クマ。その大きさとパワーは、百獣の王であるライオンにも引けを取らない。
だが、そんな最強な彼らにも苦手なものがある。寒さだ。寒いのが苦手な彼らは、基本的には冬眠をすることでやり過ごしている。
熱帯地域に生息するマレーグマやメガネグマは、そもそも寒くないので冬眠しないのはわかるとして、世界には極寒にも関わらず冬眠しないクマがいる。
今回はそんな、冬眠をしないクマ「パンダ」や「シロクマ」についての雑学を紹介していくぞ!
【動物雑学】パンダとシロクマは冬眠しない
【雑学解説】寒さに特化した冬眠しないクマたち
世間一般的に、クマは冬眠することで寒い時期を乗りこえていることは有名だと思う。
しかし、クマはクマでも、パンダとシロクマは冬眠しない珍しいクマだ。パンダやシロクマの毛は熱を集めやすく、かつ逃さない特殊な構造になっており、寒さ対策がバッチリなのだ。
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また、彼らには食糧問題が起きにくいというのも冬眠不要の理由の一つだ。冬眠するクマたちの主食は、昆虫や植物だ。しかしこのメインディッシュは、冬にはそのほとんどがなくなってしまう。
だが、パンダの主食である竹は冬でも枯れず、かつ大量に存在する。シロクマは泳ぎが得意で、真冬の海からでもエサを大量にゲットすることができる。だから冬眠が不要なのだ。
ちなみに、ホッキョクグマのメスは妊娠したときのみ冬眠する。
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【追加雑学①】生物学的には珍しいクマの冬眠行動
ここまでは冬眠しないことをメインに紹介したが、実はクマは、生物学的には冬眠するほうが珍しい。
冬眠とは本来、変温動物か小動物の専売特許のようなもの。クマのような大きな動物が冬眠をすることは非常に珍しいのだそうだ。ではなぜクマは冬眠を必要としたのか?
クマは本来、肉食がメインであったが、環境への適応と長い進化の過程でベジタリアンになった。1日の食事の9割が植物というほどに。そうなると今度は、冬は食べ物である植物がなくなるという事態に陥ってしまった。
その結果、食べ物のなくなる冬は、冬眠をしてやり過ごすことを覚えたというのだ。なにやら本末転倒にも思える。冬は肉オンリーでいこうとはならなかったあたり、徹底したベジタリアンっぷりである。
冬眠の効果はすさまじく、代謝が4分の1になり、排泄物を一切ださない状態になる。尿を膀胱壁から再吸収するなど、自給自足もすごい。冬眠は約4ヶ月続くので、代謝から考えて事前に溜め込むエネルギーは約1ヶ月分ということだろうか。以下は、実際の冬眠の様子だ。
人間で冬眠をすることを考えると
ちなみに、人間に置き換えて考えてみた。まず何もしなくても消費する基礎代謝を1,600kcalと仮定すると、その4分の1のエネルギーは400kcal。そして、4ヶ月分のエネルギーをキープしなきゃいけないので、事前に溜め込むエネルギーの合計は48,000kcal。
体脂肪1kg=約7,200kcalなので、約6.7kgの体脂肪を蓄えれば冬眠できる計算になる。許容範囲内か…?
もちろん、排泄物を一切ださず、尿を膀胱壁から再吸収できるようになる必要があるが…。
【追加雑学②】冬眠に失敗するクマもいる
冬眠という必殺技を覚えたクマも生物である以上、失敗することだってある。冬眠失敗の主な理由は、冬眠前に十分に食べることができなかった場合や、冬眠前に傷を負ってしまった場合だ。
前者は空腹により攻撃性が増し、後者は自己防衛機能がMAXになるために攻撃性が増すので、冬のクマには絶対に近づいてはならない。死んだフリなんかしたら容赦なく食べられてしまうだろう。
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雑学まとめ
今回は冬眠しないクマについての雑学を紹介してきた。愛くるしいクマ代表のパンダやシロクマも、過酷な環境に適応した結果だと思うと、今後彼らを見る目も少し変わってくる。
ちなみにくまモンは冬眠するらしい。当然寒さ対策…ではなく、単純に仕事納めでだそうだ。