「わたし帝王切開で産んだの。」
「へぇそうなんだ! 大変だったね。」
などは、ママさん達のあいだでよくある会話。でも、この「帝王切開」って何? と聞くと、的確に答えられる人はそう多くはない。という筆者も、「ていおうせっかい」という言葉をよく使っていたものの、「ていおう」が「帝王」という漢字だということさえ知らなかったのである。
むしろ、「ていおうせっかい」ではなく「ていおせっかい」と、わけが分からないまま覚えた単語をいっていたことまであった。自然分娩が難しく、お腹を切開して産むことを「帝王切開」というのである。
今回の雑学テーマは、この「帝王切開」の語源について。深く掘り下げてみよう!
【人体雑学】帝王切開の語源は?
【雑学解説】帝王切開の語源には帝王学が関係している!
「帝王学」という言葉は聞いたことがあるだろうか。その言葉の通り、生まれたときから帝王になると決まっている人への教育のことである。
王家が王の座を守り抜くため、また子孫を繁栄させるために子孫を教育するための学問のこと。王の座を守るためにはどんな手段をも使う古来の中国では、占星術により誕生年月日までも決めていたというのだ。
自然分娩ではいつ何時生まれるか分からないので、気や風、星の位置などを総合的に判断して決められた日時に切開を行なっていたようである。
つまり、帝王としての人格を備えて誕生させるために人工的に出産させること、これが帝王切開の語源である。
昔は生年月日で一国の運命が変わっていた?
「そのためだけに妊婦のお腹を切開するなんて!」と非難の声も聞こえてきそうだが、当時の中国では一国の運命が左右するほどの重要なこと。
中国は古来より占いが普及していて、三国志の時代には占いが「算命学」として発展し、れっきとした学問となっていく背景がある。その「算命学」では、生まれてくる子どもの生年月日で、どのような人物になるか、どのような運勢を辿るか、など細かく知ることができる。
この生年月日が一日でもずれると、人物の質や運命が全く違ったものになってくるため、王の座を引き継ぐ子どもには運勢の良い日に生まれてきてほしかったのである。
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【追加雑学①】帝王切開の語源はヨーロッパから!という説も
一方で、「帝王切開」の語源はヨーロッパからきているという説もある。
ドイツ語で「帝王切開」のことを「kaiserschnitt」(カイザーシュニット)と書く。これを日本語に翻訳するときに、「kaiser」を「帝王」、「schnitt」を「切開」に分けてしまったために、「帝王切開」と誤訳してしまったようである。
誤訳とはなんとも味気ない語源であるので、筆者としては中国からの語源の方が有力であってほしいと願うばかりである。
【追加雑学②】帝王切開が増えているって本当?
「帝王切開」という言葉を耳にすることが多くなったなと感じていたが、実際に年々「帝王切開」の件数は増加しているという。「NHK 生活情報ブログ」の「増える帝王切開 求められるケア」によると、少子化の影響で出産数は減っているのに、「帝王切開」の件数は1984年から約2倍までになっているのである。
これは、帝王学を学んで「帝王切開」を希望している人が多いわけでは決してなく、昔よりも「帝王切開」のハードルが低くなっていることが考えられる。自然分娩には予期せぬ事故が起こる場合があり、そのことで訴えられる産婦人科医も多く、実際に産婦人科病院が減ってきている。
このようなリスクを避けた、産婦人科側の考えがあるのは否めないようである。
雑学まとめ
帝王切開についての雑学をご紹介してきた。お産はいつ始まるか分からないし、どんな子かも分からない神秘的なものである。それを現代では、最新の医療技術で赤ちゃんについて知ることができるので、良いか悪いかは別として、様々な情報が分かるようになってきた。
けれども、古代の中国ではすでにお産の日時までも子孫繁栄のために活用してきたというのだから、びっくりである。どの時代に、どの日時に生まれても赤ちゃんが生まれるというのは奇跡的なことであるし、尊いことであるということを肝に銘じておきたい。
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