春になると春分の日があり、秋になると秋分の日がある。名前がとても似ているこの2つの日が、具体的にはどういう日なのか知っているだろうか?
おそらく多くの人は「お彼岸の時期」や「昼と夜の長さが同じ日」などと答えるだろう。私も以前までならそう答えていた。しかし実のところ、この2つの日は似ているようで全く違う意味をもっているのだ!
今回の雑学ではそんな多くの人が意外と知らない、春分の日と秋分の日の違いについて迫っていこう。そこには日本人ならではの、季節のとらえ方が隠されていたぞ!
【生活雑学】春分の日と秋分の日の意味は正反対
【雑学解説】春分=豊作祈願・秋分=収穫のお祝いと感謝
春分の日と秋分の日は、もともとは農業と深い関わりがある。この2つの日に、昔の人は土地の守り神を祀る神社へ足を運ぶ習慣があったのだ。
春分の日の時期といえば、農業ではこれから作物を育て始める時期である。この日になると農業を営む人たちは「秋に多くの実りを収穫できますように」という願いを、土地の守り神に五穀の種を奉納することで祈った。
そして作物の収穫が行われる秋分の日の時期には、無事収穫できた感謝を表すために再び神社に参拝し、収穫したものを神様に奉納するのだ。
今では似たような日になっている春分の日と秋分の日だが、当初は神様への祈願と、その願いが叶った感謝という、それぞれ別の意味をもった日だったのである。
それにしても、どちらも農業に関連していたとは…さすが農耕民族といったところか、なんとも日本人らしい季節感が込められている。
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【追加雑学①】春分の日と秋分の日がなぜお彼岸と結びつくの?
春分の日と秋分の日は、それぞれ「お彼岸の時期」でもあり、墓参りに行く人が多い。どうしてこの日がお彼岸と結びついたのかというと、仏教思想が関係している。
この2つの日は、太陽がほとんど真西に沈んでいく日でもある。仏教の世界観で、西は極楽浄土のある方角だ。そのため、春分・秋分の日は、極楽浄土へと思いをはせる日となっているのである。
この習慣に、日本に昔からある先祖の霊を祀る文化が合わさり、春分・秋分の日とお彼岸が結びついたのだ。
お盆に比べると、春分・秋分の日の墓参りの印象は薄い。しかし、この習慣にも仏教思想と日本の文化に基づく、れっきとした理由が込められていた。このようにお墓参りの機会が多くあることからも、日本人の先祖の霊を大切にする精神を感じられる。
【追加雑学②】ぼたもちとおはぎってどう違うの?
お彼岸のお供え物といえば、ぼたもちやおはぎだ。春のお彼岸にはぼたもちをお供えし、秋のお彼岸にはおはぎをお供えする。
しかしこの2つ、どう見ても同じお菓子に思えるのだが…何か明確な違いはあるのだろうか…アンコの種類? それとも中身?
答えは、「どちらも違いは無い」である。
つまりこの2つは、季節によって呼び方が違うだけということになる。なぜ同じものなのに、呼び方が違うのだろうか?
その謎のカギを握るのが、花だ。春のお彼岸の時期には牡丹(ぼたん)が、秋のお彼岸の時期には萩(はぎ)の花が咲く。昔の人は、あのアンコに包んだお餅の形を花に見立て、春には牡丹に、秋には萩にちなんだ呼び方をしたのだ。
正直、牡丹や萩に似ているとするのは、ちょっと無理があると思うのだが…。いや、昔の人はきっと、今の私たちよりも想像力が豊かだったのだろう!
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春分の日と秋分の日の雑学まとめ
春分の日と秋分の日にまつわる雑学をご紹介してきた。春分の日と秋分の日は、もともとは農業を営む人たちの文化として根付いたものだった。
しかし時代が流れるにつれて、今では「お墓参りの時期」や「昼と夜の長さが同じ日」という認識しか残っていない。昔と比べれば、農業と関わりがない人のほうが多いことはわかるが、それにしてもちょっと寂しい感じもする。
春分の日・秋分の日には、こういったそれぞれの日の成り立ちに思いをはせるのもまた、良いのではないだろうか。
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