「焼け跡から一人の遺体を発見」
「〇〇町で女性死亡、死体遺棄容疑で男逮捕」
そんな物騒なニュースが飛び込んでくる今日このごろ。
ん? ちょっと待てよ。最初のニュースは一人の「遺体」、そして次のニュースは「死体」遺棄容疑。
「遺体」と「死体」って同じ意味じゃないの? と、疑問に思ったので今回の雑学では「遺体」と「死体」の違いについて紹介するぞ!
【ルール雑学】ニュースの「遺体」と「死体」の違いは?
【雑学解説】ニュースアナウンサーの「遺体」と「死体」の違い
「身元不明の男性の死体を発見しました」
あれ? このアナウンサー今「遺体」じゃなくて「死体」って言った? そんな風に前文を読んだ人なら思うだろうが、これは実は間違いではない。
テレビの報道に関しては、
- 身元がわかっている場合 … 遺体
- 身元不明の場合 … 死体
というふうにされている。
ただし、近年では「死体」という言葉の表現がきつすぎるために、身元不明の場合でもあえて柔らかい印象にするために「遺体」という言葉を使うテレビ局も増えているみたいだ。
ちなみに、NHKでは「遺体」は「死体」より死者への敬意が込められた表現のため、放送でもできるだけ「遺体」を使うが、生死を極端に使う場面、つまり生死がそのニュースの主要な内容であるときには、「死体」を使う場合もあるということ。
たしかに意識をしてみれば、死体と言われるのと遺体と言われるのでは、イメージがだいぶ違う気がするのは私だけではないはずだ・・・!
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【追加雑学①】 辞書での「遺体」と「死体」
辞書で「遺体」と「死体」を引いてみると、次のような説明がでてくる。
- 遺体 … 魂が去って、遺された体。一個人としての人格を含めた主観的表現
- 死体 … 死んだ体、一つの物体として扱った客観的表現
となり、「遺体」は「死体」よりも丁寧な言い方で、さらに死者や遺族の方に対しての哀悼の意味も込めた表現になる。
ちなみに、地質学や生物学などの学術用語では、「生物遺体」・「植物遺体」・「動物遺体」といった言葉もあり、必ずしも人間に用いられるだけの言葉ではないということ。
そしてさらに、公共交通機関での持ち込み禁止手回り品については、鉄道・バス・タクシーでは「死体」、船・飛行機では「遺体」となるそうだ。これに関しては、「鉄道運輸規程・旅客自動車運送事業運輸規則 」と「海上運送法第9条第3項の規定に基づく標準運送約款(運輸省 国土交通省告示)」に従って、それをもとに規約を作っているためこのような違いがあるみたいだ。
そこは、どちらかに統一してくれればよかったのに、なんて意見は置いておいて、とりあえず、哀悼の意味を込めるには、人間に対しても動物に対しても「ご遺体」というのが正しいということだ。
「遺体」・「死体」と似た紛らわしい言葉
「遺体」・「死体」の違いだけでも紛らわしいのに、このふたつの言葉にはさらに紛らわしい言葉が何個も存在する。それが、以下の言葉である。
- 死骸 … 動物に対して使うことが多い
- 亡骸 … 遺体と同じく敬意を込めた言い方
- 遺骸 … 文章に使われるため、会話では使わない
- しかばね・かばね・むくろ・死屍 … 死者に対する敬意は含まれないので、日常会話で使われず、主に文学で使われる
うーん、紛らわしすぎる。ニホンゴムズカシイネ。
ちなみに、「死体」と「死骸」どちらも動物に使われる言葉だが、
- 死体 … まだ血液や体液などが残っている
- 死骸 … 血液や体液などがなくなり干からびている
と、人によってはこんなふうに使いわけている人もいるそうだ。
雑学まとめ
今回の雑学では「遺体」と「死体」の違いについて説明したが、いかがだっただろうか。
このふたつの言葉に限らず、日本語には紛らわしい言葉が何個も存在する。日本語はなんて難しい…いや、なんて魅力的な言語なんだろう!
そりゃあ、外国人も「WHY!? ジャパニーズピーポオオォォ!!」と叫びたくなるわけだ。日本人である私だって叫びたい。
そんな難しい日本語を母国とする私たち。難しいが、正しく使いわけられる大人はとてもカッコイイのだ。正しく使って、日本人として誇りをもとう。
とりあえず、今回の雑学テーマでもある「遺体」と「死体」。頭が混乱して、間違っても「ご死体」なんて言葉を使わないように気をつけたいところだ…!
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