トリック・オア・トリート! でおなじみハロウィンの主役といえば、渋谷でのコスプレ…ではなく、カボチャに顔をあしらって作ったジャック・オー・ランタンではないだろうか。
不気味な首にほのかな光。これこそハロウィンの真の主役と呼ぶにふさわしい存在感。
ジャック・オー・ランタンといえば色鮮やかな黄色のカボチャをくり抜いて作ったものを想像させる。だが、古代ヨーロッパではなんとカボチャを使用せず、別の野菜でジャック・オー・ランタンを作っていたことをご存知だろうか?
そう、黄色い鮮やかなジャック君は、もともとは白い不気味なジャック君だったのだ。
【生活雑学】ハロウィンのランタンは、もともとカボチャではなくカブだった
【雑学解説】ハロウィンのランタンがカブだった理由とは?
そもそもハロウィンはお菓子をもらったりいたずらされたり、意味なくコスプレをしたりする祭りでは断じてない。そのルーツは古代ケルト人と呼ばれる民族の祭りにある。
古代ケルト人は10月31日に年末を迎え、この日には死者が現世にやってきて生者を連れ去っていってしまうと信じていた。そのために死者のふりをするためにコスプレをしたりジャック・オー・ランタンを身代わりとして用意し、やりすごそうとしていた。これが原始ハロウィンである。
ただ意味のないコスプレをするのではなく、死者のふりをするのが正しい作法であるといえる。とすると、現代のゾンビコスなんてのは、実はハロウィンの基本理念とがっちり一致するのだ。
おすすめ記事
-
ハロウィンの起源は古代ケルト!紀元前からのお祭りだった
続きを見る
ジャック・オー・ランタンについて
そもそも、あの不気味な生首のジャック・オー・ランタンは何者なのであろう。その詳細は、古代ケルト人の伝承にある。
生前に堕落して、天の神様から「あんたはこっち来ちゃダメー」と、天国の入国を拒否された人々が困ってるところに悪魔がやってきて「ほら、うろうろすんのにもこれ必用だろ?」と地上をうろうろできるように種火をくれたのである。
その種火をそこらへんに転がっていた「ルタバガ」というカブに灯したものがジャック・オー・ランタンなのだ。
大晦日の日にこの悪霊がウロウロしているのでその悪霊を欺くために、人間が悪霊の仲間だと見せかけるために作ったのがジャック・オー・ランタンとなるわけである。
よく、盆と正月が一緒に来たような大騒ぎと表現するが、ハロウィンとはまさにその通りなのだ。
スポンサーリンク
ルタバガの正体とは?
古代ケルト人がジャックオーランタンを作るときに使っていたのが「ルタバガ」という名前の野菜である。
ルタバガは古代ケルト人の言葉でカブという意味なのだが…。後世の調査の結果、ルタバガはアブラナの仲間だということがわかった。
なんてこった、彼らがカブだと思っていたのはカブではなかったのだ。
つまり、ルタバガはアブラナの仲間だが、古代ケルト人は「あれはカブだ」と信じて疑わなかったということだ。
日本でも似たようなことはある。たとえば「タラバガニ」。タラバガニは、じつは蟹ではなくヤドカリの仲間だった。
いまさら「間違えてました、これからタラバガニはタラバヤドカリと呼びます」なんて言い出せない。そう考えればだいたい問題ない。
【追加雑学】アメリカ大陸とジャック・オー・ランタン
時は進み、コロンブスがアメリカ大陸を発見する。すると、カボチャも発見され、次第にその加工のしやすさからジャック・オー・ランタンはカブからカボチャに変わっていった。
同じように、ハロウィンも子供向けのイベントへと変貌してゆき、おなじみの仮装した子供がトリック・オア・トリートと叫びながら町をうろうろする、子供のための祭りとなっていった。
こちらは、実際にジャック・オー・ランタンを作っている動画だ。
さすが本場のカボチャ、サイズ感が段違いだ! そして、思っていたより重労働のようだ…!
雑学まとめ
今回は、ジャック・オー・ランタンはかつてはカブで作られていたということを説明させてもらった。
日本のハロウィンではあまりなじみのないジャック・オー・ランタンだが、やはり、そこには古くから伝わる民族の言い伝えが脈々と受け継がれてきているのだ。
最近の日本のハロウィンは渋谷の騒動などで悪者にされがちだ。でも少し見方を変えると、コスプレを着て町をウロウロして、盆と正月が来たような大騒ぎをするのがハロウィンの本質だとしたら、そのエッセンスを色濃く継いでいると考えることは出来ないだろうか。
とにもかくにも、あそこまでの大騒ぎではなく、ハロウィンは平和に楽しみたいものだ…。