カマキリのオスが、交尾をしたメスに食べられてしまうのはけっこう有名だろう。
子供を作るためだけに利用され、用が済んだら食べられてしまうとしたら悲しすぎる! カマキリのメスはなんと凶暴で恐ろしいのだろう。
しかし、イメージと違いカマキリのオスはタフなのである。今回は、カマキリのオスの交尾に関する雑学についてご紹介しよう。
【面白い雑学】カマキリのオスは、交尾後にメスに食べられるのをがんばって回避する
【雑学解説】カマキリのオスは簡単には食べられない!
カマキリのオスは、交尾をするとメスに食べられてしまう話はけっこう知られているだろう。メスの栄養になるため、オスが自分から犠牲になるという話まである。カマキリはオスよりもメスの方が体が大きいので、捕まったら抵抗できない。
オスはメスにとって、子孫を残して食べられるだけの都合の良い存在にも思える。なんとも悲しい話に聞こえるが、事実はまったく異なるのをご存じだろうか?
カマキリのオスは、実際はメスに食べられないように全力で逃げ回っているのだ。さすがに望んで食べられたりはしないのである。
カマキリのオスが食べられることは意外に少ない
つまり、カマキリのオスがメスに食べられないケースの方がはるかに多い。
データによって多少のばらつきがあるが、カマキリのオスが食べられる可能性は平均して20%くらいである。多いデータでも、70%以上のオスは交尾後も生き残っているのだ。
この動画ではカマキリの交尾の様子が撮影されている。メスがオスを食べるつもりがあるようには見えないだろう。カマキリの種類にもよるが、メスがオスを食べようとすることは意外に少ないのだ。
そもそも、カマキリのオスはメスの背中にしがみついて交尾をするため、ポジショニングに気をつければ食べられる危険性は少ない。そのため、食べられるオスはどんくさい可能性もあるかも…。
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【追加雑学①】カマキリのオスは頭が無くなっても交尾をやめない!
オスがメスに食べられるといっても、交尾が終わったあとだと考える人が多いかもしれない。だが、カマキリのメスは交尾中だろうと、関係なくオスに噛みついて食べようとする。
交尾中でも、オスが気を抜くことは許されない。カマキリの顔は真後ろまで回るため、交尾中にメスの頭に体を近づけると、後ろにいても噛みつかれてしまうのだ。
しかし本当に驚くべきなのは、オスが交尾中に襲われて頭が無くなっても交尾を続けることが可能だということだ!
上の動画では、メスに食われながらも交尾を続けるオスの様子を見ることができる。
もちろん、頭がなくなったら死んでしまうが、その後も数時間は生きているのだ。すぐには死なない。カマキリの恐ろしい生命力がわかるだろう。それどころか頭を失ったオスはより交尾に熱心になる…。
子孫を残そうとする恐ろしい執念だが、オスの悲しい習性と思う人もいるかもしれない…。
【追加雑学②】カマキリのオスが交尾で生き延びると子孫の数が少なくなる?
カマキリのオスは食べられるのが嫌なので、一生懸命逃げながら交尾を続けようとする。だが、メスのカマキリに食べられると、その栄養でメスの産んだ卵から生まれる子供の数は2倍から3倍多くなることがわかっている。
これが、「オスはメスにわざと食べられる」と言われる根拠でもあるだろう。たしかに一度しか交尾できないなら、メスに食べられた方が子孫を残せるのは事実だ。
だが、生き残ったオスにはさらに子孫を残せるチャンスもある。
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カマキリのオスは何度でも交尾できる
虫に限らず、交尾が終わると死んでしまう生き物は少なくない。
カマキリのように、クモには交尾中にメスに食べられてしまう種類がいるが、そもそも一度しか交尾できないのである。蜂のオスは交尾した直後に死んでしまう。
しかし、カマキリのオスは交尾を何回も繰り返すことができる。生き延びることができれば、さらにメスと交尾をしてさらに子孫を残すチャンスがあるのだ。
もちろん、生き延びても交尾前に死ぬリスクはあるが、何度も交尾をした方が結果として多くの子孫を残すことができる。
カマキリのオスはけっこうたくましいのである。
【追加雑学③】カマキリのメスは、交尾中のオスが動くから食べているだけ?
カマキリのオスは、交尾とは無関係にメスに食べられることもある。
オスは交尾のためにメスに近づかなければならない。しかしメスが空腹だったりすると、交尾する前につかまって食べられるケースもある!
カマキリは個体の識別能力が低いため、動いている相手を襲っているだけという学説もあるのだ。オスは命懸けで交尾をしようとしているのに、「目の前で動いた」というだけの理由でメスに食べられてしまうのだとしたらなんとも切ない話である。
【追加雑学④】カマキリはオスよりメスのほうが大きい
カマキリはオスよりもメスの方がかなり大きいことが多い。
カマキリの種類によっても体格差はまちまちだが、日本でよく見られるオオカマキリの場合、オスとメスの体長の差は2〜3cmあるのがふつうだ。
オオカマキリのオスは大きくても8cmぐらいといわれており、10cmに達する個体はメスのオオカマキリと考えてまず間違いない。体の太さも違うため、メスのオオカマキリはオスよりもはるかに大きく見える。
実は、生物はメスの方がオスよりも体が大きくなる傾向にあるという。人間を含む哺乳類は逆なので勘違いしやすいが、爬虫類や両生類などはメスの方が大きい。
カマキリのメスは体が大きいだけでなく、オスよりも凶暴なことが多い。交尾中にオスが抵抗したとしても、とうていメスには敵わないのだ。
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【追加雑学⑤】交尾でメスの体の一部になる生き物がいる
食べられることでメスの養分になることもあるオスのカマキリだが、もっとすごい交尾をする生き物がいるのをご存じだろうか?
それはアンコウだ。アンコウの交尾は、オスがメスの体に噛みつき、だんだんと体が吸収されてしまうのだ。
アンコウのオスは、メスに比べて非常に体が小さい。
交尾でメスと一体化したあとは自分の意志で動くことはなく、メスの体の一部になって精子を卵にかけるだけの器官になってしまうのだ。この状態になっても死ぬわけではなく、メスが死ぬまで生き続けることになる。
上の動画では、オスがメスと一体化する様子が解説されている。メスに完全に頼り切りにも見えるため、究極のヒモ生活などと言われることもある。
しかし、目も内臓も脳すら失って、メスの体の一部になってしまうのは一種のホラーだろう。その光景はカマキリのオスが食べられることよりも、よほど恐ろしくも感じられる。
雑学まとめ
今回は、カマキリの交尾にまつわる雑学についてご紹介した。
カマキリのオスは意外にたくましく生きており、メスも積極的にオスを食べようとするわけではないようだ。そもそも、虫が共食いするのは珍しいことではない。カマキリの交尾も驚くほどのことではないのだろう。
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