医学用語を辿ると病名というのは星の数ほどあり、「どんな病気なの?」と聞いて、聞き慣れない病名を告げられることはままある。
とはいえ病名を聞いただけで、「ふざけてるのか?」と思わされるような病気は少ないだろう。今回紹介するのは、聞いた人が思わず眉間にシワを寄せてしまうような、奇抜な病名が付けられた2つの病気だ。
「アリス症候群」に「サタデーナイト症候群」…。その症状から病名の由来まで、詳しく辿っていこう。
【人体雑学】「アリス症候群」「サタデーナイト症候群」という病気がある
【雑学解説】ものの見え方がおかしくなる「アリス症候群」とは?
アリス症候群とは、ものの形が歪んで見えたり、遠近感がおかしくなったりする病気だ。おとぎ話『不思議の国のアリス』で、アリスの体が大きくなったり小さくなったりすることになぞらえて、この病名が付けられている。
その症状も人によってさまざまで、単にものが歪んで見える人と、以下のような特殊な見え方をする人がいるぞ。
- 人の顔だけがおかしく見える
- 天井が迫ってくるように見える
- 時間の進み方がおかしく感じる
またこれらの症状には偏頭痛を伴う場合が多い。不思議の国のアリスの著者であるルイス・キャロルも偏頭痛に悩んでいたらしいので、彼も実は…?
アリス症候群の原因は?
一説では上気道炎やEBウイルスなどの、感染症の直後に発症する例が多いという。
どちらも症状は風邪に似たもので、EBウイルスに関しては日本の子どものほとんどが感染している。そう考えると、アリス症候群は珍しい病気に思えて意外と身近なのかも…。
ただほとんどのものは一過性で自然に治るので、万が一発症しても安心してほしい。
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【雑学解説】土曜の夜…恋人の腕枕で発症?「サタデーナイト症候群」とは?
サタデーナイト症候群の正式な病名は「橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)」だ。英語の原文では「Saturday night palsy」なので、そのまま訳すと「土曜の夜の麻痺」となる。
麻痺という言葉のイメージ通り、サタデーナイト症候群には以下のような症状が挙げられる。
- 手の甲がしびれて上手くうごかせない
- 指を伸ばす、手首を反らすなどができない
症状は腕の周りをグルっと覆っている橈骨神経を長時間圧迫することで発症する。この神経は手の甲に繋がっているものなので、手のひらには異常が出ないのも特徴だ。
腕枕のシチュエーションで発症しやすい
気になるのはどうして土曜の夜なのかということだ。土曜に特別発症しやすいということはなく、これはそのイメージからのネーミングである。
腕を覆う橈骨神経を圧迫するシチュエーション…つまり、恋人を腕枕して眠ったときなどに発症しやすい症状なのだ。
「次の日の仕事もないし、土曜の夜は恋人とゆっくり…」といったところだろうか。ハネムーン症候群と呼ばれることもある。どちらにしても、診断を受けたときはちょっと恥ずかしそうだ…。
ちなみに酔っぱらって変な格好で寝ていて発症するケースもあるぞ。本当はそんな理由なのに「恋人に腕枕とかしました?」なんてお医者さんに言われたら目も当てられない!
雑学まとめ
世の中には変わった病名もあるものだな~なんて思っていたら、どちらも身近な症状でちょっとびっくりである。
横文字でなんとなくカッコイイので、「いやあ、サタデーナイト症候群でさ…」なんて言ってみたいものだが、アリス症候群に関してはそんな余裕もなさそうだ…。
いやいや、やはり健康第一! 十分な睡眠と栄養を摂って風邪をひかないように、そして恋人との腕枕もほどほどにだ!