どんな人にも動物にも、いずれは死ぬ瞬間がやってくる。どんな死に方がいいかなんてまだまだ考える歳ではないが、筆者はできれば穏やかに死にたい。痛かったり苦しかったりするほうがいい、なんていう人は少ないはずだ。
しかし動物のなかには、その特殊な生態のせいで死に方を選べない者もいるらしい。今回はマヌケというか可哀想というか…なんだか複雑な気持ちになる動物の雑学をお届けしよう。
【動物雑学】「バビルサ」というイノシシは、自分の牙が成長しすぎて死ぬことがある…ってホント?
【雑学解説】バビルサの牙はなぜこんなにも長い?
今回紹介する「バビルサ」は、インドネシアに生息するイノシシの仲間。現地の言葉でバビは「豚」、ルサは「鹿」を意味している。
どんな姿をしているのかは、以下の動画を確認してほしい。
動画を見てもわかるように、その牙は日本のイノシシの比ではないくらい長い。しかも自分の頭に向かって生えているため、バビルサは自分の牙が刺さって死んでしまうという噂があるのだ!
たしかに牙が伸びてくればそのままグサッといきそうだし、下手すれば転んだだけで大惨事…なんてこともあり得そう…などと思っていたが、自分に刺さって死ぬというのは、どうやらその異様な姿から考えられた冗談のようなものらしい。
長く伸びた牙は、自分に刺さる前に曲がるようになっている。そりゃ、自分が死ぬように牙を生やす動物なんているわけないだろう…。
自分に向かって生えている牙の実用性のほどは定かではないが、なんでもこの牙はメスへのアプローチに一役買うらしい。バビルサのオスは、牙が長ければ長いほどモテるのだ。
男らしさ…強さの象徴といったところだろうか。立派な牙を生やしたオスと結ばれれば、さらに優秀な子孫を残せるということか…。ただ、その牙使い道ないですけどね!
【追加雑学】バビルサの好物は有毒の果実
バビルサはインドネシアのスラウェシ島と周辺のいくつかの島々の水辺に住んでいる。木の枝や根っこ、果実などを食べて生きており、なかでも「パンギノキ」という果実は大好物だ。
実はこのパンギノキ…新芽や葉に毒が含まれており、食べると頭痛やめまい、嘔吐などの中毒症状を起こす、大変危険な果実である。インドネシアの人々もこれを食用にしているが、毒を中和してから食べるから無事なのだという。
一方、バビルサはそのまま食べてしまうのだが…彼らの住む湿地帯の泥水には、温泉の成分が含まれており、解毒作用があるのだ。バビルサはこの水を飲んだり浴びたりしているため、パンギノキをそのまま食べても平気なのである。
自然とは本当によくできているものだ…。
ちなみにパンギノキは非常に栄養価が高く、バビルサの1日の栄養分はこの果実を1~2個食べれば十分事足りてしまうらしい。毒を除けば栄養満点のスーパーフードなのかも!
雑学まとめ
自分に刺さりそうな牙をもっていたり、毒のある果実を喜んで食べたりと、一見危なっかしそうな生態をしているバビルサ。
しかし牙は刺さらずに曲がるし、毒を食べても温泉で中和するので大丈夫だ。変な噂は立てられてしまったが、本人たちは何も気にせず生きている。
しかしあの牙がメスへのアプローチ以外、何の役に立つのかはまったくの謎である…。