「いろんな服装に合って便利!」という人から、「かっちりとしたきれい目コーディネートには欠かせない…」というこだわり派まで、今や日本人にも当たり前になっているチノパン。
あまりに当たり前すぎて考えることも少ないかもしれないが、このチノパン…そもそもなんでチノパンと呼ぶのか知っているだろうか。
チノパンのチノはある国のことを表していて、その起源を辿ると、これまた意外な事実が浮かんできた! 今回はそんな馴染み深いファッションアイテム、チノパンの雑学だ!
【生活雑学】チノパンの「チノ」は中国のこと
【雑学解説】チノパンのチノはスペイン語で「中国人」
チノパンの「チノ」はスペイン語で中国人を意味する「Chino」が語源だ。
…チノパンに中国人のイメージなどないが…しかもスペイン語ってことは、スペイン生まれなのか? スペインなのに中国人? どっち! …となるが、実はこれは第一次世界大戦時に、アメリカ軍が作った軍服に関係がある。
さらにややこしくなりそうだぞ…と思っていたら、これが意外と単純。当時フィリピンに駐屯していたアメリカ軍は、軍服を作るための「チノ・クロス」という生地を中国から買ったのだ。それによって作られた軍用パンツが、今のチノパンの由来になったとされている。
もっともこのチノ・クロス…もともとはイギリスのマンチェスターから中国へ輸出されたものだというから、中国のものではないような気もするのだが…。
フィリピンでは中国系農民もチノパンを愛用
このときフィリピンではアメリカ軍以外にも、中国系農民がチノパンを履いていたとのこと。よってアメリカ兵の間では、チノパンは軍服であると同時に、中国人が履いているイメージがあったのだ。
当時のフィリピンはスペインの植民地で、公用語はスペイン語だった。中国人が履いているパンツを形容するのに、スペイン語が使われたのも自然な流れだったのだろう。
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その後、1898年にアメリカ軍は米西戦争に臨むが、スペイン語のチノパンを履いてスペインと戦争をしていたというのも、なんだかカオスだ。
そして戦後、フィリピンから帰国した兵士によって、チノパンは全米に広まっていくこととなる。
【追加雑学】チノパンに多いカーキ色の起源
チノパンの色といえば、まずカーキ色を思い浮かべる人が多いだろう。このカーキ色が主流になった起源にも、実は戦争が関係している。
これも1800年代末の話。当時インドに駐屯していたイギリス陸軍の制服は、もともとは白色だった。これに対して連隊長のハリー・ラムスデンが、白い服は戦場に向かないとして問題視したのだ。
まず白は目立つので狙われやすい。それに加えて汚れが目立つ点も、植民地を統括していく立場として、風格が損なわれてしまうと判断したのである。
その2つの欠点をなくすため、ハリー氏は、白い生地に「桑の実ジュース」・「コーヒー」・「カレー」を混ぜた迷彩色を編み出したという。これがいわゆる「ブリティッシュカーキ」と呼ばれる色の起源だとされている。
ちなみにカーキはヒンドゥー語で「土」を表す。チノパンがそうであったように、ここでもまた、誕生した土地の言語が使われているのが興味深い。
雑学まとめ
チノパンに中国人のイメージなどまったくなかったが、中国から輸入した生地を使ったことと、中国人がよく履いていたことがその起源にはあった。
民族衣装から普段のファッションまで、洋服にはその国による特徴が表れるものだが、身近なチノパンまで、民族特有の服装と捉えられていた時代があったとは…。
単にオシャレをするだけでなく、今回のようにその洋服が作られた背景を辿っていくことで、ファッションもより楽しくなるだろう。