哺乳類は別名、「けもの」という。これは、「毛が生えたもの」という言葉が語源となっている。そして、われわれ人類も哺乳類の仲間であり、よく見れば全身に細い毛がびっしりと生えている。
しかし、どうして人間の髪の毛は、ほかの部位の毛と比べてこれほどまでに目立つのだろうか? おしゃれな髪型にして、顔面偏差値を上げてちょっとでもモテようとする本能からなのか?
だが、きれいな女性芸能人の髪形を真似しても、だいたい爆死する。どうやら髪の毛の存在理由は別にあるようだ…。今回はそんな髪の毛にまつわる雑学をご紹介していこう!
【人体雑学】髪の毛は何のためにある?
【雑学解説】頭部のガードマン、髪の毛
頭部には、脳がある。脳は我々の身体の至るところをコントロールする、きわめて重要な器官である。しかし、ここを守っているのは、頭がい骨のみだ。
つまり、脳の周りには、脂肪や筋肉といった脳を保護するクッション材になるようなものがなく、硬い盾のような頭がい骨があるだけなのである。そして、脳は豆腐並みの柔らかさだ。そのため、もし頭部にダメージを負ってしまうと、ダイレクトに脳もやられてしまう可能性がある。
我々の頭部は隙だらけだ。筆者は何度激しく頭を打ったことであろうか? ちなみに筆者は、小学生のときに鉄棒で自ら頭を打つのがマイブームだった。女子なのに。
今思えば、頭を打った後の軽いフラフラ感にハマっていたのだと思う。そんな筆者の属性は、Mである。
それはさておき、われわれの髪の毛は、脳に直接衝撃を与えないようにするクッション材なのである! 頭をさんざん強打してきた筆者がまともに生きていられるのは、髪の毛のおかげといえるかもしれない。
「髪の毛って、そんな強いもの?」という疑問をもたれる方もいるかもしれない。しかし、成人日本人の平均的な髪の毛の本数は10万本前後だ。1本1本は細い髪の毛でも、これだけの量があれば、日常生活において頭部の衝撃吸収材としての効果を十分発揮することができる。
実はいろいろな役目を持っている髪の毛
そのほかにも、髪の毛は地肌を紫外線から守るという役目もある。日本人の髪の毛は基本的に黒色が多いが、これはメラニンという色素を多く含んでいることに由来する。人体に影響がでないように、髪の毛のメラニンが紫外線を吸収しているのである。
また、繊細な脳を気温の変化から守る働きをもつ。熱いところでは頭の温度が上がりすぎないよう、寒いところでは頭の温度が下がりすぎないよう調節する効果があるのだ。
また、意外に思われる方もいるかもしれないが、髪の毛は人体に害のある重金属類を排出するという働きももっている。重金属というのはカドミウム・鉛・水銀・ヒ素などのことで、われわれは日ごろの食事によって、知らず知らずのうちの摂取してしまっている。髪の毛の隠された役割とは、これらの有害物質を体の外に出すことなのである。
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【追加雑学】それではいったい無駄毛は何のためにあるのか?
頭に生えている髪の毛は、頭を守る役割を担っている。それでは、脇や陰部に生えているいわゆる無駄毛は、いったい何のためにあるのであろうか?
実は無駄毛は、我々の本能に訴えかける大切な役目があるのだ。それは、「フェロモンを周りに発散させる」というものである。
脇や陰部にあるアポクリン汗腺という汗製造工場は、われわれの体の匂いを作る役割も担っている。この匂いはフェロモンの役目を果たし、異性を引き付ける力をもっている。そして、そのフェロモンを周りに発散させるのが無駄毛の役目なのである。
ただ、長い進化の過程で、人類の野生の嗅覚は失われてしまった。生後1~2年で人間の嗅覚は退化してしまうといわれており、もはやわれわれにはフェロモンをかぎ分ける能力はなくなってしまったのである。
なので、今生えている無駄毛は、本当にただの無駄な毛となってしまったのだ…!
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雑学まとめ
今回は、髪の毛にまつわる雑学をご紹介した。われわれの頭というのは、意外に無防備である。髪の毛は、そんなノーガードな頭部の衝撃を和らげたり、紫外線や寒暖差から人間の頭を守る役割を持っている。
一方の無駄毛は、本来は異性を引き付けるフェロモンを発散させるツールだったものの、嗅覚の衰えた現代人にとってはただの無駄な存在となってしまった。
今後科学技術の進化が進み、人類の頭部を髪の毛でガードする意味がなくなったとき、髪の毛も無駄毛と呼ばれてしまう日が来るのかもしれない…。
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