「@(アットマーク)」はメールアドレスの区切りの部分に使われているという常識。とりわけ、ガラケー・スマホ・パソコンを使用する人にとっては、アドレスの中に組み込まれた記号として、当たり前のものだろう。
目にしたことがない人を探す方が難しいかもしれない。しかしみなさんは、この@が実はなんなのか、いったいいつ、どこから現れた記号かを考えたことはあまりないのではないか?
当記事では、アドレス以外に使用されるこの「@」の「本来の役割」や、その由来とされる説も雑学として紹介しよう!
このありふれた記号のエピソードを知ったら「@」が、今までと違うイメージのものに見えてくるかも知れないぞ。
【生活雑学】@(アットマーク)の本来の使い方と由来とは?
【雑学解説】「@」は単価を表す記号だった!
@は本来、商品の値段を会計上で表記するときの記号として使われる。さらに、現在のJIS(日本工業規格・JIS X 2013)でも定められた、れっきとした記号でもあるのだ(みなさんが使うパソコンの中にも文字コードとしてちゃんと登録されているぞ)。
ちなみにコマーシャルアットというのが正式名称なのだが、アットマークという呼び方は日本での通称として広く使われている。なのでこれからも、アットマークと呼んでなんら差しつかえはない。
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会計での「@」の表記のしかた
会計上、たとえば請求書などで次のように表記されている場合→商品10個@$1=$10。全然難しい話ではないのだが、この場合は商品10個・単価1ドルで小計10ドルになるということだ。
日本円にしたとしても、商品1個@100円。通貨単位がちがっても、これは商品1個あたりの単価が100円という意味である。
今でこそ、メールのユーザー名とドメインを区切る部分に使用されている@だが、本来はシンプルに単価を表す記号として使われているのである。
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【追加雑学①】世界で最初に「@」が見られたのはいつ?
まず@の起源だが、中世の修道士が聖書を書き写す作業のときに、原型となった略式記号を使ったという説がある。
当時、ラテン語「ad」のaの周囲をdの円になっている部分で囲む記入法がとられていたそうだ。これがデザイン化された@の元になったといわれている。
ちなみに上記の「ad」は英語の「at」に当たるとされている。
話を戻すが、今のようにワープロソフトでの文字入力が主流の時代から比べると、昔は用紙に直接文字を書くのが当たり前だった。
聖書は布教を目的とし、およそ膨大な数の写本が必要となる。おなじことを延々と書き続けることは、正直苦痛であっただろう。
こんな状況下では、写本の際に手を痛めてしまうのも無理はない。手作業の負担を少しでも軽減するためかどうかは定かではないが、作業を進めるうちに上記のような文字を簡略化する手段がとられたということだ。
想像するに、修道士が「あー手首が痛い…そうだ! こんな感じでdを〇みたいにしてaを囲ってもわかるだろう」くらいの感覚だったのかもしれない。
adといちいち記入するより、一筆で@と書く方が楽なのは一目瞭然だ。試しにみなさんも手元に紙とペンを用意して、この二つの文字を交互に書いて比べてほしい(どちらかを続けて書いてもいいが)。
adとⓐ、数多く書き続けたらどちらが速くて楽だろうか?
フィレンツェの商人が用いたのが確認されている
1536年、フィレンツェの商人・フランチェスコ・ラピという人物が、文の日付を書く際に@を使用した。
これが、@が歴史上最初に使われた記録として確認されているのだ。商人だということで、解説での「会計表記」として使われた話の元としては、よりマーケット的で近しいエピソードとなっているだろう。
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【追加雑学②】「@」をアドレスとして使用した最初の人物
メールアドレスの一部として世界で@を最初に使用したのは、アメリカのプログラマー、レイ・トムリンソンという人物だ。
このトムリンソン氏は1971年頃、別々のコンピューターでユーザー同士がメッセージのやり取りを出来るようにした。
いわば、現在の電子メールシステムを造った実に凄い人物でもある(ちなみに同氏は2016年3月に亡くなってしまっている)。
このトムリンソンがユーザーとホストとを区別する目的で、@を文字列内に組み入れたのが元となり、やがてメールアドレスの一部として世界中で常用されることとなった。
しかし、@を世界で初めてアドレスに使ったという凄いエピソードの持ち主にもかかわらず、トムリンソン本人が同僚にこのメールシステムを紹介した際「べつにこれは我々が取り組むようなことではないから口外しないでほしい」などと話したらしい。
つまりはあまり大したことのように考えていなかったのである。もっともトムリンソン自身、この記号の使用が全世界にまで広がるとは想像が付かなかったのかもしれない…。
【追加雑学③】世界各国での「@」の呼び方
日本では@をアットマークと呼ぶように、世界地域によってはこの呼び方が全然ちがうものとなる。
アメリカでは「at sign(アットサイン)」だが、それ以外の国はあだ名のように呼んでいるのだそうだ。たとえばイタリアでは「カタツムリ」、韓国では「巻貝」。
さらにドイツ・ブルガリア・ポーランドなどでは「猿」と呼ばれているのだ。なんとなく想像がついたと思うが、形がその生き物に見えるということでそう呼ばれているのだと推測出来る。
カタツムリと巻貝は、まあ…見たまんまだ。猿に関してはしっぽがヒョロっと伸びているありさまから名付けられたのだろう。
ちなみにロシアだと「犬」だ。これもしっぽの感じから呼ばれているのだろう。そう考えてみると、本当にその動物(または一部)に見えなくもない。
日本の「アットマーク」や、アメリカの「アットサイン」よりも、こうしたほかの国の呼び名の方が遊び心が利いている気がする。
「@(アットマーク)」の雑学まとめ
身近になっているものほど、いつ出来ていつから使われたか? などの由来を知らないことは意外に多い。@もその一つだろう。調べてみると元は作業を少しでも楽にするために、文字を略した説が出てきたのは大変ユニークな話だ。
現在ではたった1文字の記号に落ち着いた@だが、その1文字にこれだけのエピソードが詰まっているということ、これは驚くべき雑学だと思えないだろうか?
最後になるが、文中にはしつこいくらい多くの「@」を書いてきた。しかし、その中に実は1つだけちがうものを@としてまぎれこませたのだが、読んでいて解ってもらえただろうか(ただの書き間違いとも思われたかもしれないが)。
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