八百万(やおよろず)といわれるほど数の多い日本の神様。しかし、そんな日本の神様も一枚岩ではない。実は、日本の神様は大きく2種類に分類されるのだ。
「神様なんてどれも同じ」と思えるかもしれないが、日本の神様にもいろんな神様がいる。
今回は、知っているようで知らない、日本の神様にまつわる意外な雑学を紹介しよう。
【歴史雑学】日本の神様は天津神と国津神の2種類に分類される
【雑学解説】天津神と国津神
日本の神様は、天津神と国津神の2種類に分かれるが、どちらが上かというのはない。個人的には、アマテラスが分類されている天津神が偉い気がするが、どちらも平等に偉いのだ。
「天津神」
「天津神」というのは、簡単に言うと天上にある「高天原」出身の神様だ。代表的なのは、日本神話の最高神であるアマテラスだろう。アマテラスの他にも、
- イザナギとイザナミ:日本を作った夫婦神
- ツクヨミ:アマテラスの弟で月の神
- タケミカヅチ:鹿島神宮などに祀(まつ)られている雷神
- アメノウズメ:芸能の神
- アマテラスの子孫
など、さまざまな神が天津神に分類される。
「国津神」
それに対して、もとから地上にいたのは「国津神」。中でも有名なのは、大国主(おおくにぬし)だろう。大国主の他に国津神に分類される神は以下の通り。
- タケミナカタ:諏訪大社どなに祀られている風神
- ウカノミタマ:「お稲荷さん」で親しまれる稲作の神
- コノハナサクヤ:アマテラスの孫・ニニギのお嫁さんになった桜の神
- オオヤマツミ:山の神で、コノハナサクヤの父親
- ワタツミ:海の神
「この神様はどっちに分類されるのだろう?」と思ったら、神様の名前をまず見て、その神様にまつわる神話を見てみると分かりやすい。
高天原で活躍していたら「天津神」、日本の地上で活躍していたら「国津神」となるので、そこでどちらに分類されるのかを見極めることができるので参考にしてほしい。
ところで、私は天津神よりも国津神の方に親近感を覚えるのだが、それはお稲荷さんなど身近な神様が分類されているからなのだろうか?
【追加雑学①】神社での天津神と国津神の見分け方はない
神社に立ち寄った際に、「この神社に祀られているのは天津神なのか国津神なのか」というのを見分ける方法はない。ネット上などでは、「屋根を見ると分かりやすい」とよく言われているが、これはあてにならない。
たしかに、神社の屋根は伊勢神宮に代表される「神明造(しんめいづくり)」や、出雲大社に代表される「大社造(おおやしろづくり)」などがある。しかし、神様の分類によって厳密に決まっているわけではないのだ。
神様の分類を見分けるには、名前と神話を見て判断するしかないのである。明らかに見た目の違いがあれば、また神社を見る楽しみが増えるのだが…。
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【追加雑学②】スサノオは天津神から国津神になったイレギュラー
実は、天津神から国津神になったイレギュラーもいる。その代表格と言えるのが、スサノオだ。
スサノオといえば、天津神であるアマテラスの弟で、そこから考えれば彼も天津神に分類される。もちろん、高天原を舞台にしたスサノオに関する神話もある。しかし、スサノオは天津神から国津神になってしまったのだ。
その経緯には、こんな神話が関係している。
高天原でアマテラスの厄介になることになったスサノオ。しかし、このスサノオはとんでもない男で、高天原で傍若無人(ぼうじゃくぶじん)の限りを尽くしていた。
何をしたのかというと、畑をめちゃくちゃにしたり、神殿に汚物をまき散らしたり…。とにかく高天原の神たちを困らせることばかりやらかしていたのだ。
あまりにもスサノオが手に負えないので、アマテラスが天岩戸(あまのいわと)に引きこもってしまう事件まで起きてしまう。事件の原因となったスサノオは高天原から追い出され、地上に降りて天津神から国津神の身分になってしまったのだった。
スサノオの他にも、天津神から国津神になったイレギュラーとして、海の神であるワタツミがいる。しかし、神話として読んでて面白いのはスサノオの方だと思う。
ちなみに国津神になった後のスサノオは、ヤマタノオロチを倒すヒーローになっている。「不良が更生して良い奴になる」という展開は、今となってはベタだが、神話の時代から存在していたのか。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。日本の神様といえど、一枚岩ではない。偉さではどちらも一緒だが、高天原の天津神と地上にいる国津神の2つに大きく分かれる。
神社の見た目でどちらなのかを判別することは難しいが、神話を見ることでどちらに分類されるかを知ることができる。
もしも日本神話に興味があったら、「この神様はどっちに分類されるんだろう」と考えてみると面白いかもしれない。
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