アンパンマンといえば、空を飛び回り、おなかをすかせた人に自分の顔を分け与えるヒーローだ。
しかし、アンパンマンは最初から今のような存在ではなかったということを、あなたは知っているだろうか? 実は、アンパンマンは最初のころは人間だったのだ!
今回は、意外と知らないアンパンマンについての雑学を紹介しよう。
【面白い雑学】アンパンマンの初期設定は人間だった
【雑学解説】アンパンマンはどういう人間だった?
アンパンマンの原型の話が載っているのは、やなせたかしが作成した「十二の真珠」という童話集だ。そこに掲載されているアンパンマンを見ると、たしかに小太りのおじさんが、空を飛んでアンパンを配っている話が…。
今となっては、おなかをすかせた人にアンパンでできた自分の顔を分け与えれば、「ありがとう! アンパンマン!」と感謝されるアンパンマン。しかし、おじさんだったころのアンパンマンは…
「アンパンよりもソフトクリームが良い!」「(アンパンしかないといわれて)カッコワリィ! あんなのダメだな!」
といったように、アンパンを断られたり、あろうことか罵倒されたりしている。
それでもアンパンおじさんは、おなかをすかせた子供たちにアンパンを配り続けた。そして、物語は意外な結末へと向かっていく。
ある日、アンパンおじさんは戦争地域へと飛んでいき、おなかをすかせて死にそうになっている子供たちにアンパンを配った。
「しっかりするんだ、死んじゃいけない! 私は何度でもアンパンを運んでくるぞ!」
そういって、子供たちを元気づけるアンパンおじさんだったが、大きな音と共にアンパンおじさんの胸から白い煙が…! なんと、アンパンおじさんは戦闘機と間違われて爆撃されてしまったのだ…。
このように、アンパンマンの原型の話は、なんともいえないバッドエンドな話となっている。
なぜやなせたかしはこんな話を描いたかというと、テレビのインタビューにて以下のように答えている。
ヒーローというのはみんなカッコイイわけですよ。しかし本当の正義の味方っていうのはね、そんなにカッコイイもんじゃないと僕は思ってたんでね。
「中居正広の怪しい噂の集まる図書館」より
アンパンを配っていたおじさんは、カッコイイわけでもないが、人知れず飢えた子供たちにアンパンを配っていたヒーローだ。
切ないストーリーながらも、本当のヒーローについて、やなせたかしはこの話を作ったのかもしれない。
スポンサーリンク
【追加雑学】なぜアンパンマンは人間じゃなくなったのか?
さて、それではどうしてアンパンおじさんは現在のアンパンマンになったのか? 作者のやなせたかしはテレビのインタビューでこう語っていた。
丸顔のおじさんが、飢えた子供たちにアンパンを配っていく。それだったらアンパン自体が飛んで行ったら、さらに面白いと思って、アンパンマンになったんです。
「中居正広の怪しい噂の集まる図書館」より
たしかに、子供向けとして作品を出すなら、普通のおじさんよりもアンパン自体が飛んで人助けをするほうが面白い。アンパンマンがパンになったことで、長いあいだ子供たちに愛される名作になったのかもしれない。
ちなみに、現在の形になったアンパンマンも、原作ではどこか小汚い。これも、おじさんだったアンパンマンのころのように「本当の正義の味方は、そんなにカッコイイものじゃない」というやなせたかしの考えが反映されている。
アンパンになってからも、アンパンマンには、やなせたかしの哲学が込められているのだ。
おすすめ記事
-
アンパンマンがご飯を食べなくてもいい理由とは?あんこが大事!
続きを見る
アンパンマンの雑学まとめ
今回は、アンパンマンに関する雑学を紹介した。
今となっては、子供たちに大人気のヒーロー・アンパンマン。しかし、初期のころは誰かに感謝されるわけでもなく、ときに馬鹿にされるおじさんだった。
だが、初期のアンパンマンの話を読むと「本物のヒーローとは何か」について、なにか感じるものがあるのかもしれない。
少なくとも私は、「たとえ感謝されなくても、困っている人を助ける」という愛情が、本物のヒーローの証だと思うぞ。
おすすめ記事
-
かわいい裏切り…!アンパンマンの"チーズ"はバイキンマンの手下だった
続きを見る