嵐の二宮和也さんが主演で話題となったテレビドラマ「フリーター、家を買う」。中谷美紀さん主演映画の「阪急電車」。これらの作品は見た人も多いと思うが、とある共通点があることをご存知だろうか。それは共に原作者が同じということである。
2つの原作者は作家の有川浩(ありかわひろ)さん。有川浩さんの著書は他にも「県庁おもてなし課」「旅猫リポート」などがあり、どれも映像化されている人気の作家だ。皆さんのなかにも、ドラマや映画を見て有川浩さんのファンになった人もいるのではないだろうか。
そんな数々の名作を生み出している有川浩さんだが、デビュー作品はなんと「ライトノベル」なのである。筆者は10代のころ、その作品を読んでとても衝撃を受けた。ぜひ、その魅力を皆さんに伝えたいと思う。
【サブカル雑学】「フリーター、家を買う」「阪急電車」の原作者はライトノベル出身
【雑学解説】有川浩さんは「第10回電撃ゲーム小説大賞」で作家デビュー
今では数々の著書が映像化されている有川浩さんはアスキー・メディアワークス主催の「第10回電撃ゲーム小説大賞」で大賞を受賞し、作家デビューとなった。受賞作品は「塩の街 wish on my precious」。
「塩の街」はそのままライトノベルでは大手レーベルとして知られる電撃文庫から刊行された。表紙はライトノベルらしい美麗なイラストで飾られている。
が! 後にライトノベルとしては異例とされるハードカバー(分厚い表紙の本)や、レーベルの違う角川文庫で文庫本が再出版されることとなった。本来は出版社も最初からハードカバーで出したかっが、さまざまな経緯で最初は文庫本としての出版を余儀なくされたらしい。
ライトノベルといえば若者向けのイメージが強いが、そういった経緯からもわかるように「塩の街」はどんな世代が読んでも面白いと感じられる圧巻の内容だったのだ。
ネタバレになるので、あまり詳しいことは書けないが、内容は現実世界の街が塩に覆われていくという架空の災害のなかで、さまざまな人間模様が描かれるラブファンタジーである。筆者は何度も読み返して購入した本がボロボロになってしまった。
映像化作品の影響もあって一般文芸作家のイメージがある有川浩さんだが、他にも「海の底」「空の中」といった現実世界にSFファンタジーの要素を取り入れた作品がある。書店で見かけたら、ぜひ手にとってみてほしい。
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【追加雑学】「源氏物語」や「南総里見八犬伝」はライトノベルという説がある
ライトノベルに関する話をしたが、実は「源氏物語」や「南総里見八犬伝」もライトノベルではないかといわれている。「源氏物語」はいわずとしれた紫式部による長編小説。「南総里見八犬伝」は曲亭馬琴(きょくていばきん)による伝奇小説だ。
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どちらもライトノベルという概念がない時代に書かれた古典文学だと思うのだが、なぜライトノベルだという説があるのだろう。その理由を調べてみたところ、意外なことを発見した。
なんと、そもそもライトノベルという定義は決まっていないのだ。
今ではアニメ風のイラスト表紙にファンタジーな内容というイメージが強いライトノベルだが、そういうテイストだからといってライトノベルとは限らないのである。
出版社や作者、あるいは読み手の受け取り方の問題ということだろうか…。
ただし、やはりライトノベル特有の個性あふれるキャラクター性というのは誰もが感じるところだろう。そのキャラクター性という面で「源氏物語」や「南総里見八犬伝」はライトノベルなのではないかという議論があるようだ。
たしかに「源氏物語」の主人公はかなりイケメンという設定だし、「南総里見八犬伝」は少年心をくすぐるような登場人物がたくさんいる。
しかし、だからといってジャンルがライトノベルになるかどうかはどちらでもいいような…。筆者としては面白ければなんでもいいというスタンスだ。そんなことは気にせず純粋に読書を楽しもう。
雑学まとめ
今回は有川浩さんのデビュー作品とライトノベルにまつわる雑学を紹介した。有名な作家さんでも意外なジャンルの作品を書いてあることもあるので、好きな作家さんがいたら作品リストをくまなく読んでみるといいだろう。
ちなみに筆者も、学生のころは作家になろうと小説を書いてみたことがあるのだが、大人になって読み返してみるとかなり恥ずかしい。皆さんも似たような人がいたら作品の保管はくれぐれも厳重にするように!
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