先日、地元食材を使ったおいしいバイキングに出掛けた。おいしい料理ばかりで、どれもこれも食べたくて、めちゃくちゃ食べた。当然ながらもう、おなかいっぱい…。しかし! ここのバイキングには、これまた地元食材をふんだんに使ったスイーツも並んでいる。もちろん食べたい!
スイーツも食べたいなら、お腹いっぱいになる前にスイーツの分の胃袋を残しておけばいいのに? ご心配には及ばない。なぜなら甘いものは「別腹」だからね。こうした「別腹神話」を信じている人は、私だけではないはずだ。
「別腹」といっても、もちろん2つ目の胃袋があるわけではない。お腹いっぱいで、もう胃に入らないはずなのに、なぜか甘いものは入ってしまう不思議現象を「別の胃袋」と比喩したものだ。
しかし、この「別腹」は実際に存在する! やったぜ! この都合の良い「別腹」のメカニズムについての雑学をご紹介しよう。
【面白い雑学】別腹は本当に存在する
【雑学解説】別腹が存在するメカニズムとは?
たとえば、居酒屋で長時間飲食して、まんぷくだし、そろそろお開きの時間…というときに再度メニュー表に手を伸ばしてデザートをオーダーしたり、ファミレスでハンバーグをお腹いっぱい食べた直後、デザートは何を食べようか? と食べる気満々! …心当たりがあるだろう。
また、「締めのラーメン」や「締めにお茶漬け・おにぎり」のように、甘いもの以外でも別腹が登場するパターンもある。どうやら「別腹」とは、甘いものに限ったことではなさそうだ。つまり、「好きな食べもの」は別腹に入っていく、ということなのだ。
実際胃袋はいっぱいなのだが、なぜ好きな食べものは胃袋に納まるのか? これには、脳の働きが関係している。なんと、実際の「満腹」と、脳が感じる「満腹」が違うというのだ! なるほど「お腹いっぱい」は脳も満足していなければ発動しないわけだな。
「もう食べられない」と理性的な指示を出すのは、脳の「満腹中枢」だが、逆に「これ食べたい!」と煽るのも、これまた脳の「摂食中枢」だ。このため、胃袋はいっぱいの状態であっても、摂食中枢の働きが満腹中枢の働きをかき消してしまえば「食べようぜ!」という指示が出る。
摂食中枢から指示が出ると、いうことをきかなければいけないのが胃袋だ! 「いや、もう入らないよ」とは脳に対していえない臓器、胃袋…。そこで、満席なのに「ハイでやんす、ただいまお席をつくりますんで」とスペースを増やしてしまう! これが別腹の正体だ。
【追加雑学①】都合のいい別腹のシステム
それでは、胃はどうやってスペースを増やしているのか? 実は胃が大きくなっているわけではない。なんと一生懸命働いて、すでに入っている食べ物をギューッと腸に送り出してしまうのだ! 「どうぞ~」といわんばかりだ。これはもう、笑ってしまう。
この働きをするのが、脳から出る「オレキシン」という物質なのだが、脳は勝手だ。まんぷくなのにもかかわらず、食べたいものを胃に入れるため、驚きの物質を送り込む。そして胃にスペースができると、「スイーツ、入りま~す!」と摂食中枢がGOサインをだすというわけだ。
また、「パフェはおいしい」とか「飲んだあとのラーメンは最高!」という経験や記憶も、「食べたい」という脳の働きにつながるため、満腹なのに毎回別腹が登場するのだ。
別腹をつくる働きをする「オレキシン」は、血糖値が低いと分泌されると思われていたが、最近の説では「うわ。おいしそう!」と思うと同時に分泌されるものらしい。「食べたい」と思っただけで、「それなら、ここにどうぞ」とスペースを作ってくれるなんて、実に都合のいいシステムだ。
男性特有の別腹
「甘いものは別腹♪」とは女性がよくいう台詞だが、男性にも男性特有の別腹が存在する。自宅でお腹いっぱい夕食を食べたあと、ついスナック菓子に手をのばす男性は多いのではないだろうか? この別腹は「食後の一服」つまり、たばこと同様の心理から来るものらしい。
男性の別腹は、女性のそれと若干違う。女子にとってのスイーツが「おいしい~♪幸せ」という高揚感を求めて別腹を発動するのに対し、男性は「はぁ…おいしい。幸せ」というようなリラックスを求めて別腹が発動するのだ。
最近は喫煙しない男性が増えているぶん、スイーツ男子や、スナック菓子で一服する男子が増えているのだろう。
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【追加雑学②】「別腹」でからだを壊さないために
脳と胃袋が結託して「ここにスイーツをどうぞ」なんて、ご親切な働きをみせる「別腹」…それに甘えて「では遠慮なく」と、どんどん胃に詰め込んでは、さすがにからだに良くない。この、食べたいだけ食べればいいじゃん、的な能力はあまりからだのことを思いやっていないのではないか?
そもそも別腹を登場させないようにすることが、健康を気遣ううえで大事だ。別腹とは脳の働きによってできるのだから、意識によってコントロールできるはずだ。努力のひとつとして、まんぷくになったら、もうメニューは見ないようにする! これくらいならできそうだ。
しかし、どうしても好物が脳裏をよぎって別腹が登場してしまう…という人は、脳と会話してくれたまえ。「胃はいっぱいだから、もう入らないよ」と脳を説得するのだ。胃の中がいっぱいなんだという真実を、映像として思い浮かべて脳に送ってやってほしい。
別腹のシステムを知らないと、まだ食べられるということは胃にスペースがあるのだ、と勘違いしてしまう。「食べたいから」なんて理由で無理やりスペースを作り出していることを、この雑学を読んで知っていただければ、ストップをかけることができる。胃にやさしいかもしれない!
別腹の雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。たしかに存在している「別腹」だが、胃袋が無理をして主の欲求に忖度してくれている現象だということがわかった。
「甘いものは別腹」なんて、どうりで都合がいい話なわけだ。食事のあとに甘いものを食べたくなり、次はまたしょっぱいものを…と、無限ループで食欲が湧いてくる私にはありがたい話だが。
これ、政治家の忖度の話とちょっと似ているかもしれない。自分に対して周囲が良くない忖度しているとわかっているなら、忖度を断るべきなのだ! 「胃にスペースを空けますんで、どうぞどうぞ」とすすめられても「いえ、からだによくありませんので」とキリっと断る勇気をもとう!
つまるところ、自分自身が「食べたい」と思わなければ、例の脳内物質は分泌されないのだから…しかし、それができないのが人間の弱いところだ。ゆえに、政治の世界の忖度もなくならないのかもしれない。
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