みなさんは木が切り倒される瞬間を見たことがあるだろうか。筆者は1度だけチェーンソーで伐採を体験したことがあり、大木がミシミシと音を立てて倒れる光景は、なかなかの迫力だったと思い出す。
切り倒すときに木が痛がったりなどということは、もちろんない…。しかし今回こんな話を耳にしたのだ。
世界には驚くべきことに、切られると「血」を流す木があるらしい…と。
血を流すと聞くと腰が引けてしまうが、怖い物見たさというものもある。勇気を振り絞って詳細を調べてみたぞ!
【自然雑学】血のような樹液を出す木がある
【雑学解説】血のように赤い樹液を出す「竜血樹」とは
血を流す摩訶不思議な木。それは「竜血樹」という木である。なんだかファンタジーにでも登場しそうな名前だ。竜血樹は主にアフリカの北西や大西洋の島々で育つ樹木。学名では「ドラセナ・ドラコ」と名付けられている。
竜血樹は切られると、その断面から真っ赤な「血」を出すことで知られる。
以下に動画でその様子を紹介しておこう。ただし本当に人間の血のように見えるので、グロテスクな光景が苦手な人は閲覧注意である。
思わず、「うわぁ…」と引いてしまうほど、血が噴き出している。だが、厳密には血ではなく、赤い色をしたただの樹液だ。いや、樹液ということは木にとっては血と一緒なのだろうか?
それはさておき、この樹液は赤いだけではなく、なんと薬として扱われているのだ。はるか昔から鎮痛や止血の効果があるとして、世界各地に流通したといわれている。名前だけでなく、その用途まで、まるでファンタジー世界の回復アイテムではないか!
中世では本当に魔術や儀式のアイテムとして使われたこともあるのだとか。なんだか聞けば聞くほどに怖さを感じる。
ただしこの竜血樹、意外にも日本で育てやすいことから観葉植物として人気が高い。種や苗木も普通に市販されているのだ。知らないだけで、実は身近な場所に植えられているかもしれない。
もし見かけることがあったら本当に樹液が赤いのか試してみたい…が、誰かの所有物を切り倒すわけにはいかない。興味がある人は自分で育ててみよう。
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【追加雑学】まだまだあった!赤い樹液を出す木
調べてみると、先述した竜血樹以外にも赤い樹液を出す木があることがわかった。そのいくつかを紹介しよう。
レッドガム
学名「Corymbia calophylla」というオーストラリア原産の木。和名はないが、竜血樹のように赤い樹液を出すことから「ブラッドウッドツリー」と呼ばれることがある。
こちらの樹液も古くからオーストラリアの先住民族に薬や染料に使われてきた歴史があるそうだ。
サングレデグラード
南米アマゾン周辺に広く自生する植物。その赤黒い樹液は現地の人たちにとっては由緒正しい薬だという。ペルーやエクアドルでは「竜の血」とも呼ばれる。
種類は違えど、役割や歴史は竜血樹とほぼ同じだ。
アカミノキ
主にメキシコなどを原産とするマメ科の低木・「アカミノキ」。こちらは樹液ではなく、切った断面が赤い色をしている。煮出すことで赤い成分を抽出できるため、古くから染料として使われてきた。
学名は「Haematoxylum campechianum」と名付けられているのだが、「Haematoxylum」はギリシャ語で「血の木」という意味だという。
以上が、赤い樹液や断面をもつ血をイメージさせる樹木たちだ。どの種類も薬として使われていたり、血にまつわる異名があるのが面白い。人間みな考えることは一緒ということだろうか。
雑学まとめ
今回は見た目にはちょっと怖い、赤い樹液を出す木について紹介した。何も知らずにその辺の木が赤い樹液を出すのを目撃したら、筆者は思わず腰を抜かすかもしれない。本当の血だと勘違いして、通報してしまいそうだ。
みなさんも、もし木が赤く濡れているのを見かけても、落ち着いて樹液かどうか判断してほしい。