家族が出張で高知に行ってきた。そのとき食べたカツオのたたきが「もうスーパーのやつは食べられないくらいおいしかった」だそうだ。本場のカツオのたたきは明らかに味が違うらしい。
ところで、周囲が炙られ、薬味をたっぷりのせたカツオの刺身をなぜ「たたき」というのだろうか? ただの刺身はたたきといわない。ちょっと焼いてレアステーキになったあの状態を「カツオのたたき」というはずだ。
実は本場では本当に叩いて作っているから「たたき」というらしい。火で炙っただけじゃなかったの!? そこで今回の雑学では、本場高知の「カツオのたたき」についてご紹介しよう!
【食べ物雑学】カツオのたたきは本当に「叩いていた」からたたきという
【雑学解説】傷みやすいカツオを食べる漁師の知恵からうまれた
カツオのたたきの由来は、もともと漁師が船上で食べていたまかないからきているようだ。今でこそ冷蔵技術が進んだが、カツオは傷みやすく鮮度が命の魚。昔はこれを保存するのが大変だった。
そこで漁師はカツオに塩をふったり、軽く炙ったりして食中毒を防いだのだ。当時の土佐藩主・山内一豊が食中毒を恐れて生食を禁止したのも「たたき」の調理法がうまれた理由のひとつらしい。
昔は塩や調味料が貴重品。少しの量でもカツオの身の中まで浸透するように、地元では包丁や手を使ってしっかり叩き込み、味を染み込ませた。このように「叩いて作る」という調理法が、そのまま「カツオのたたき」という料理名になったのだ。
軽く焼くことで皮の固さがとれて、生臭みも抜ける。今では薬味をのせた上から包丁で叩くこともあるそうで、調味料と薬味の風味を叩き込まれたカツオのたたきは絶品なのだ。うう、食べたい!
本当にペチペチ叩いてる!本場のワラ焼きカツオのたたき
たたきの名にふさわしく、ペチペチされるかつお。本場のたたきはこうして作る…見たら食べたくなるので注意しよう(ヨダレ)。
スポンサーリンク
【追加雑学①】本場では「ワラで焼く」「塩で味付け」が一般的
出張先で食べた家族によると、高知の居酒屋さんはカツオを炙るときに「ワラ」を使っていたそうだ。一般家庭でワラ焼きは難しいが、本場ではワラで焼くのが当たり前だとか。
ワラは火をつけるとパッと短時間で燃えるので、燃焼温度が高いわりに中まで火が通り過ぎる心配がない。それに香ばしい独特の風味が加わり、たたきには最適である。
さらに本来のカツオのたたきは「塩」で食べるのが一般的だそうで、私たちが想像するポン酢ではないようだ。高知市内では「カツオのたたき専用の塩」が発売されている。結晶の大きさやニンニク風味をつけたものなど、こだわりの塩がたくさんある。
鮮度が命のカツオ、塩は味をごまかさないので「本当にいい生のカツオにしか使えない」究極の調味料なんだとか! ますます本場のワラ焼き塩味のたたきが食べたくなってきた…。
【追加雑学②】カツオのたたきとアジのたたきはどう違うの?
たたきといえばカツオのたたきを想像するが、同じ刺身には「アジのたたき」などもある。カツオが包丁でペチペチ叩かれるのと違い、アジは細かく切り刻む調理法である。
アジも鮮度が命とはいえ、包丁で細かく叩いて薬味を混ぜると若干長持ちするようになる。アジのほか、マグロ・イワシ・イサキ・トビウオ・サワラのたたきなどが有名だ。
いずれもネギ・シソ・ショウガなどの、殺菌効果がある薬味を包丁で叩くように切り混ぜて作る。カツオのたたきもアジのたたきも、保存技術がなかった昔の知恵が生んだ調理法なのだ。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。本場でカツオのたたきを食べた家族が自慢してくるのがうっとうしいのだが、こんなにおいしそうなワラ焼きを食べてしまうと、たしかにスーパーのカツオのたたきでは満足できないかもしれない…。
最近では生カツオの刺身を「さく」の状態で売っている。ワラを入手するのは難しくても、自分で直火焼きするくらいは挑戦できるかもしれない。調味料を手や包丁で叩きこむのをお忘れなく!