ボクシングの試合などを見ていると、ボクサーたちはパンチを打つたびに「シュッ! シュッ!」と声を出していることがわかる。
…選手たちはみんな当然のようにやっているけど、あれってマンガの必殺技と同じで、相手に攻撃のタイミング教えているようなもんじゃないか? なんでわざわざ声を出してパンチするんだ?
単にかっこをつけるためにそんなデメリットを追うとは思えない。今回はそんなボクシングの「シュッ! シュッ!」に関する雑学である。
【スポーツ雑学】ボクシングでパンチを打つときに声を出す理由とは?
【雑学解説】ボクシングで声を出すのは力を抜くため
ボクサーがパンチを打つ時に「シュッ! シュッ!」と言っている理由はいくつかあるが、なかでも一番重要なのは「力を抜くため」というものである。
攻撃するのに力を抜いてどうするんだ? と思うところだが、ガチガチに力を入れた拳で素早いパンチを打つことはできない。柔軟に鋭く攻撃するためには、パンチの初動の際、脱力していることが大切なのだ。
そして人は息を止めると力が入り、息を吐くときに力が抜ける性質をもっている。よってボクサーはパンチを打つ時に「シュッ!」と言うのだ。正確には声を出しているのではなく、息を吐いている音なのである。
また初動の瞬間には脱力が大事といっても、ずっと脱力したままだと当たっても痛くない。そう、ボクサーはパンチの初動こそ脱力しているが、当たる瞬間には力を入れているのだ。
そしてこれにも、あの「シュッ!」という息の吐き方が関係している。
試しに息を素早く吐いてみよう。…次の瞬間、自然に吸っていることがわかるはずだ。なるほど! 短く息を吐くことで次の瞬間にはすぐに力が入れられるということか!
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以下はカネロ・アルバレスとフロイド・メイウェザーが2013年に世界スーパーウェルター級王座を争った際の一場面だ。「シュッ!」音もはっきりと響いている!
声を出すのは他にも理由がある
「シュッ!」音には力を抜くこと以外にも、以下のような意味が込められているぞ。
- リズム感を補うため
- スタミナの消費を抑えるため
ボクサーの連続パンチはリズム感が命。そしてリズム=音楽と考えれば、何か音を出していたほうがリズムを感じやすいこともわかる。
またスタミナの消費を抑えるという理由は一見矛盾しているように感じるが、息を止めて運動をすると筋肉に乳酸が溜まって疲れやすくなる。考えてみれば筋トレでもなんでも、息を吐きながらやるものではないか。要するに適度に呼吸を整えるためにも、「シュッ! シュッ!」は重要なのだ。
ちなみにボクサーは試合中マウスピースをくわえていて、息がもれる歯の隙間が小さくなるため、あれだけ大きく「シュッ!」音が鳴っているというぞ。
【追加雑学】ボクシングでは声を出さないこともある?
冒頭でも触れたように、「シュッ! シュッ!」はやはり相手を攻撃する合図にもなっている。ボクサーは相手をよく見ると同時に、この音にも耳を傾けて攻撃を防いでいるのだ。
よって上級者になると、わざと声を出さずにパンチを打つ場合もある。相手が音を頼りに攻撃を防いでいれば、パンチの精度が落ちていても意表をつけることがあるのだ。
ちなみに息を吸うタイミングでボディを打たれると相当に効くため、そういった意味でも彼らは相手の呼吸に耳を澄ませている。打ち終わりを狙うカウンターパンチには、そういう意味合いもあったのだ!
雑学まとめ
ボクサーはパンチの初動を速くするため、「シュッ!」という声を出して力を抜いている。ただかっこをつけているわけではなかったのだ!
パンチを打ってから当たる瞬間まではコンマ数秒を争う世界なのに、その間に力加減を操るボクサーはやっぱりすごい。高度なテクニックにただただ感心させられるトリビアだった!