好きな人にはたまらない嗜好品・チーズ。苦手な人はチーズ独特の匂いがダメなことがほとんどだが、あの乳臭さがワインなどにとてもよく合う。
そう、チーズは「乳」が原料だ。日本における乳とはほとんどが牛乳で、牛しか想像がつかない。だがしかし、世界的にみれば乳を牛だけに頼っているわけではないのだ。つまりチーズの原料にもさまざまな種類がある。以下より解説していこう。
【食べ物雑学】実はラクダまで?チーズに使う乳にはいろんな種類がある
【雑学解説】圧倒的に効率がいいのはやっぱり牛
げいぐうていもく。なんのことだ? と思うかもしれないが、簡単にいうと「クジラやイルカ」と「ひづめのある動物」のことだ。クジラやイルカ(鯨)がひづめのある動物(偶蹄)と遺伝子的に同列とされているのだから、なんとも不思議な話である。
大まかには、これら鯨偶蹄目から獲れた乳が、チーズの原料とされる。では、クジラの乳のチーズも…? クジラの乳は寒い海中に耐えられるように、乳脂質が豊富でめちゃくちゃクリーミーらしい。しかし人間がしぼるのは不可能だ。
現実的に考えると、陸上のひづめのある動物から乳しぼりをするのが妥当である。
形状を想像すると分かるとおり、チーズは乳から水分を取り除いて固形化してある。たんぱく質・脂質・ミネラルなどを固形化するのだが、もっともポピュラーなのは、やはり牛の乳から作られるチーズだ。
牛の乳は9割が水分でできているため、チーズ作りには大量の牛乳が必要になる。だからチーズの価格は割高なのだ。
日本人は特にクセの少ない牛乳を飲み慣れているので、牛のチーズがいちばん食べやすいだろう。チーズ好きにはクセの強いヤギ乳のチーズなども好まれる。牛・ヤギ・ヒツジの乳が世界的にもっとも普及率の高いチーズといえる。
【追加雑学①】ラクダのチーズは超高級!珍しい乳原料のチーズをご紹介
牛のチーズを食べ慣れている我々日本人にとっては、ヤギやヒツジのチーズですら珍しいといえる。最近人気のモッツァレラチーズの原料が「実は水牛の乳です」といえば、「えっ? 水牛!?」と驚く人もいるくらいだ。
しかし、世界的に見るともっと変わった乳のチーズが存在する。まず、食べたことがある人の方が珍しいだろう「ヤク乳のチーズ」。ヤクは牛の仲間で、モンゴルやチベット、ブータンに生息し、その乳でバターやチーズが作られている。
ヤクは寒い山間地で放牧される長毛牛なので、濃厚なヤク乳チーズは日本人でもおいしく食べることができる。
そして筆者が調べていて特に驚いたチーズは、なんとラクダの乳のチーズ! お金持ちの国として印象が強いアラブ首長国連邦のドバイでは、ラクダチーズを世界で初めて商業販売する会社が現れたのだ。
もともと乳脂質が牛の半分しかないラクダ乳で、チーズを作るのは非効率的で大変だそう…。それでも、ビタミンCが牛乳の5倍は含まれているといい、超高級なヘルシーチーズとしての販売が促進されているようだ。
ちなみに世界一希少で高価なチーズは「ロバ乳で作ったドンキーチーズ」。セルビアでしか作られておらず、1kgあたり軽く12万円を超えてくる。恐ろしい…。
【追加雑学②】馬も偶蹄目だけど馬乳でチーズは作れない?
馬は、牛やヒツジに負けないくらい普及している「ひづめのある家畜動物」だ。しかし、馬乳のチーズなんて見たことも聞いたこともない。
実は馬乳、乳脂質が極端に少ないのだ。このため、作るには大量の乳が必要になる上に効率を考えてもメリットがない。商業目的に作る会社がないのが現実である。
乳脂質は牛に比べて半分と、実は前述のラクダ乳と同じくらい。ラクダで作れるなら、物理的には馬でも可能なはずだ。「作れない」というよりも「作らない」のである。
雑学まとめ
筆者は無類のチーズ好き。青カビ系からクセの強いヤギ乳のチーズまで、なんでも食べられる自信がある。しかし、さすがにラクダやロバのチーズは食べたことがない。おいしいのだろうか?
いつか食べてみたいものだが、ラクダはともかくロバチーズはお値段が怖くて手が出ない。100gでも1万2千円以上…! ロバチーズを食べたことがある人は、ぜひ感想を教えて欲しいものだ。