食事のマナーは色々ある。守らなくても食事を取ることはできるが、なるべく守ったほうがいい。マナーが悪いと一緒に食事する人に不快感を与えるだろうし、育ちが悪いと思われてしまう。
しかし、こうした食事のマナーは学校で教えられるものではないし、意外と知らないマナーは多い。たとえば「食べ終わった汁物のフタは閉めて戻す」のがマナーらしいが、知っていただろうか。今回の雑学ではこのマナーについて詳しく説明していく。
【食べ物雑学】和食で食べ終わった汁物のフタは閉めて戻すべき
【雑学解説】お椀を傷つけないためにフタは閉めて戻す
和食では汁物がつきものである。味噌汁・けんちん汁・とん汁など種類はさまざまだが、だいたい定食屋にいくと何かしらの汁物はついてくる。
そしてこの汁物、高級店に行くとフタがついていることが多い。筆者は外食では牛丼チェーン店を利用するのであまりフタ付きの汁物には出くわしたことはないのだが、敷居の高いお店ではよく出てくるらしい。
フタがついていれば、ゴミが混入することはないだろうし、熱も保たれアツアツの美味しい汁物がいただける。
当然、食べるときはフタを外すのだが、問題は食べた後。皆さんはこのフタを今までどう扱っていただろうか。
大きくわけるとフタを閉めるか閉めないかの2パターンだが、フタを閉めるパターンはさらに「そのまま閉める」・「ちょっとずらして閉める」・「さかさまにして閉める」の3パターンが考えられる。
なんとなく閉めたほうが良さそうだとは思うが、そのまま閉めてしまうと食べたか食べてないか分からなくなってしまうのではと気を遣い、ずらしたりさかさまにしたりする方も多いようだ。
このシチュエーション、正解は「そのまま閉める」こと。理由はお椀を傷つけないため。
「さかさまにしたくらいでお椀が傷つくのか?」と疑念を抱くかもしれないが、お椀には繊細な漆が塗られて細かな装飾が施されているので、丁重に扱うことが必須。
きちんと元通りに閉めるのが、正しいマナーなのだ。これを機に覚えておこう。
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【追加雑学①】外国人には“フタ”の意味が理解できない
外国人からすると、日本の汁物にフタがされていることは不思議でしょうがないらしい。筆者の外国人の友人も、フタを開けたはいいものの「これを取り皿にして食べるのか?」としばらく悩んだそうだ。
考えてみると海外のスープにフタがされていることなどないし、汁物にフタがついているのは和食ならではの風習である。ただのカバーだと話すと、友人も面食らっていた。
外国人にとって和食のマナーは、我々がフォークとナイフのマナーを覚えるよりずっと難しそうである。
【追加雑学②】意外と知らない間違った食事のマナー①手を受け皿にして食べる
料理を器から取り上げて口に運ぶとき、箸からこぼれないよう、箸の下に手を添えて口元までもっていく人は多い。一見、上品に見えるこのしぐさ。女性などでよくやっている人を見かけるが実はマナー違反。
正しくは「器を手に取り、自分の胸元あたりまで持ち上げて食べる」のが正しいマナー。たしかに添えているとはいっても、手に食べ物が落ちてしまうのは見た目上、良くない。それにしても、食べる位置まで指定されているとはマナーは奥が深い…。
さらに難しいのは、何でもかんでも持ち上げればいいのではないというころ。持ち上げていいとされる器は「茶碗・汁椀・小鉢・刺身醤油の小皿・揚げ物などのつけ汁の器」など。逆にだめなのは「焼き魚や煮魚の皿・刺身の皿・煮物の大鉢」などだ。
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【追加雑学③】意外と知らない間違った食事のマナー②箸を食器の上に置く
何の気なしにやっている人が多い、箸を食器の上に置くという行為。実はこれもマナー違反。料理を「またぐ」という意味にとられ、失礼にあたってしまう。
じゃあどうするのという話だが、お盆がある場合はお盆の左ふちに箸先をかけて置く。あるいは箸袋を二つに折って箸置きを作るといいらしい。
箸袋の作り方だが、いろいろと種類があり、以下の動画のように「ウサギの箸置き」なんてものも作れるのだ。
しかしこれはかなり難しいので、まずはシンプルに二つに折るタイプに挑戦したほうがいい…。
【追加雑学④】食事のマナーは異性とのコミュニケーションにも重要
昨今、日本の婚姻率は減少傾向にあり、厚生労働省のデータでも低下しているのがわかる。これは結婚を重要視しない人が増えたのもそうだが、男女共にパートナーに求めるスペックが高くなっていることもあるだろう。
しかし! デートの際の食事は、デキる男・女感を演出する絶好のチャンスである! マナーをしっかり身に付けておくことが、婚活にも影響してくるはずだ。
しかし自分は正しいマナーなど、親から教わらなかったし…という人も落胆するのは早い。
現在はあちこちでマナー講座が行われており、なかには料亭で食事をいただきながら…なんてものもある。料金は基本的に1万円以上とお高くなっているが、おいしいご飯が食べられるなら、難しいマナーもとっつきやすそうだ!
またYouTubeにも以下のようなマナー動画がたくさんあるので、それらをチェックするのも手である。しかし…動画だと実際に食べられないしなあ…。
【追加雑学⑤】室町時代から続く「小笠原流礼法」
日本文化を巡るこうしたマナーは、果たしていつの時代に生まれたものなのか。古来より続く礼儀作法を辿ると「小笠原流礼法」というものに辿り着く。
小笠原流礼法はなんと室町時代から続く礼儀作法で、将軍足利義満の命により、小笠原長秀・今川氏頼・伊勢憲忠両の3名が作ったもの。なんでも武士の一般教養を目指した「三議一統」を編集したのが起源なのだとか。
小笠原流礼法では食事から日常生活まで、あらゆることが網羅されているぞ! それにしても「礼法を作ろう」という働きかけがあったからこそマナーは生まれたのであって、やはり最初からみんなが意識していたわけではないのか。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。和食で汁物が出てきたときは、食べたあとにフタをもとに戻しておくのがマナーなのだ。理由はお椀を傷つけないため。
これは意外と知らなかった人が多いだろう。人と食事に行ったときに、このマナーを教えてあげれば感謝されるかも。
でも、食事は会話を楽しむものでもあるので、あまりマナーに気を使いすぎない方がお互い気持ちよく食事できるかも。場を選んで、不快にならない程度に注意するようにしよう。
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