自然現象

溺死…!砂漠での死因の9割は大雨がもたらす洪水だ…【動画】

雑学カンパニー編集部

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砂漠の溺死に関する雑学

日本を出なければ、一生関わることがないであろう砂漠。辺り一面砂…! という雄大な光景はまさに自然の脅威ともいえ、誰しも一度は「生で観てみたいなあ…」と憧れを抱くのではないか。

しかし当然のこと、砂漠には危険が付きものである。ある日突然そのど真ん中に立たされたとしたら、あなたは身を守るために、どんなことに気を付けなければいけないだろう。

やはり猛烈な暑さではないか? と多くの人が思うところだ。それも一理ある。

しかし…砂漠で一番の死因になっているのは、実は暑さとは別の要因だとご存知だろうか。今回はそんな砂漠における死因に関する雑学をお届けする。

【自然雑学】砂漠の死因の9割は「洪水による溺死」

ばあさん
砂漠での死因の9割は、溺死だといわれているんですよ。
じいさん
なんと!? 水がないのにか!?

【雑学解説】水のない砂漠での死因がなぜ「溺死」?

水のない砂漠での死因がなぜ「溺死」?についてのトリビア

まず砂漠というのは、以下のような条件が当てはまる地域のことである。単に暑くて砂だらけの場所かと思っていたら、意外ときっちり定義が決まっているものだ。

メモ

  • 年間降水量250mm以下、もしくは降雨量より蒸発する水分量の方が多い
  • 砂や岩石が多く、植物がほぼ育たない

砂漠ができる要因はもともとの気候もあれば、農業が展開された結果土地が荒れ、荒廃していったものもある。

有名なのはやっぱりサハラ砂漠。世界最大の砂漠とはよく言ったもので、アフリカ大陸の北側はほとんどこのサハラ砂漠である。

以下の地図で白っぽくなっているところが砂漠。サハラ砂漠はアメリカ合衆国と同じぐらいの面積だ。…マジで広大すぎる。

こういう事実を目の当たりにすると、地球の3分の1が砂漠といわれていることも現実味を帯びてくる。

さて…そんな砂漠で一番多い死因はなにかというと、"溺死"である。

…砂漠で溺死って。

…砂の渦に飲まれるとか? 蜃気楼で溺れる幻を見て、精神崩壊とともに死んでいくとか…? 

いやいや、そんな妄想の類ではなくて、砂漠の溺死は言葉の通り、ガチで水に溺れて死んでしまうほうの溺死である。

…でも、砂漠のような水の一切ない場所で、どうやって溺死しろと…?

砂漠の洪水は恐ろしい…

前述の砂漠の条件をもう一度思い出してみてほしい。砂漠の年間降水量は250mm以下だ。東京の降水量で考えると、1年のあいだで9月の降水量が丁度200mmぐらい。

このように年間で考えれば砂漠の降水量はめちゃくちゃ少ないが、砂漠の雨は東京のようにまばらに降るものではない。

数百mmになるものが、わずか数日のあいだに局所的に降るのだ。極端なたとえをすれば、東京の1ヶ月まるまるの降水量が、その一瞬に集中して降り注ぐわけだから、もうとてつもないスコールである。

そしてそれまで一切、雨が降っていない砂漠の地表は文字通りカラカラ。砂や土がギュッと固まった状態になっていて、水は簡単に染み込んでいかない。

そのため、降った雨は地面に吸収されずに地表を流れ、ものすごい勢いを伴った洪水となって人々を襲うのだ。

以下の動画で実際に砂漠で洪水が起こったときの模様が紹介されている。ラクダが…!!

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2009年・サウジアラビアでは106人が亡くなる洪水が発生

2009年11月25日、サウジアラビアのジッダという砂漠の街が洪水に襲われ、実際に多数の死者が出る事故へと発展した。冠水した道路から車が逃げられなくなり、乗っていた人が相次いで溺れてしまったのだという。

ワジの成り立ちを考えると、砂漠で洪水に襲われれば、ほかに逃げ場がない状況も想像がつく。上記のリンク先では死者が103人と報道されているが、最終的に106人が亡くなっている。

防災対策が不十分ということで、市当局に非難が集まったというが…やはり、砂漠の洪水はめったに起こらないことゆえ、市当局もどこか油断している部分があったのではないか。

さらに最近のものになると、2017年11月にもジッダの街で大規模な洪水が起きている。このときは2009年ほどでないものの、死者が3人。車が多数立往生し、周辺の大学も休講を余儀なくされる事態に至ったという。

やはり砂漠でもある程度、洪水に遭いやすい地域というのが決まっているようだ。以下がそのときの映像である。

まるで街そのものが川になってしまったかのようだ。ここが普段は砂漠の街だなんて、想像もできない状態である。

【追加雑学】砂漠の洪水はオアシスや住居地めがけて流れてくる

砂漠に雨が降ると洪水が起こり溺死してしまう

砂漠に雨が降ると…

砂漠で洪水が起こりやすいのは「ワジ」と呼ばれる交通路である。交通路といってはいるが、ワジとはもともとは川だった場所。日本語では「水無し川、涸れ谷」と訳される。

つまり、過去に洪水が起きたときに水が流れた場所のことで、谷のように周囲より低い場所にあり、乾季のときは平坦な道になる。このお堀のような通路が、砂漠の中にはたくさんあるのだ。

ワジは周囲より歩きやすいため、砂漠で生活する人たちは交通路として使用している。また、ワジの近くでは地下水脈が利用できるので、居住地やオアシスにされることも多い。

じいさん
もともと川だったということは…!

そう、雨季などに大雨が降った場合、水は地面に染み込まずワジに流れ込む。ワジの地面も当然乾ききっていて水を吸収しないので、水はお堀のようなワジを通って低地に向かって一気に流れる。この激流はかなり速く、人々は逃げることができずに水に飲まれ、溺死してしまうのだ。

砂漠の洪水は、よりによって人が住みやすいところを直撃するようになっているのである。

また、砂漠の雨は夕方に降ることが多い。夕方に降った雨がワジに流れ込むのは夜。そして水がワジを通って低地に流れて来るのは、低地に住む人々が眠りについたあとだ。

ただでさえものすごいスピードの洪水なのに、これでは逃げる余地などまったくない。静かに眠っている夜に、突然の轟音と激流…考えただけでも恐ろしい。

以下の動画は、イスラエルのネゲヴ砂漠で起こった洪水を撮影したもの。ワジを伝って水が流れ込んでくる様子がよくわかる。

ばあさん
ほとんど前触れなくやってくるのですね…これは恐ろしい…

雑学まとめ

今回の雑学では、砂漠の死因でもっとも多い溺死についての雑学を紹介した。

砂漠はめったに雨が降らないが、それゆえにひとたび雨が降ると、恐ろしい洪水に発展する。もはや危険に備えるもなにも…備えようがないといった感じだ。一年に何度もないとなれば、なおのこと油断してしまいそうである。

ある日突然、砂漠で暮らすことになったとしたら、洪水にはくれぐれも気を付けて…。

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