知人と、仕事でいちばん困ることは何か? という話題になったとき、港湾関係の仕事している知人は「海に仏さんが浮かんでること」と答えていた。
海に水死体があることで警察を呼ばなければならず、待ち時間などで仕事ができなくなるのが困るそうだ。
このように、水に関するお仕事の方にとって困った存在である水死体だが、これを「土左衛門(どざえもん)」と呼ばれるのを耳にしたことがある人もいるかと思う。
某青い猫型ロボットを思い浮かべそうな呼び名であるが、「土左衛門」とは誰の名前なのか疑問に思ったことはないだろうか?
そこで今回の雑学では、「土左衛門」の由来について解説したいと思う。
【生活雑学】「土左衛門」の意味と由来とは?
【雑学解説】「土左衛門」の語源になった力士「成瀬川土左衛門」
いきなり答えからいってしまうと、水死体の「土左衛門」の由来となったのは、江戸時代の享保年間に活躍した力士・成瀬川土左衛門(なるせがわ どざえもん)のことである。
成瀬川土左衛門は、南部(現・宮城県加美郡加美町)出身の力士で、深川八幡社勧進相撲の番付は東前頭筆頭。そして、成瀬川土左衛門は色白であり丸々と太っている「あんこ型」の力士だった。
そして、水死体といえば、時間の経過とともに腐敗ガスが溜まって膨れ上がり、水を吸って白くなっているのが一般的な状態。
そのため、江戸で水死体を見た人が「まるで(成瀬川)土左衛門みたいだ」とふざけて言ったことから、水死体のことを「土左衛門」と呼ぶようになったのである。
ちなみに、当の本人である成瀬川土左衛門は、1748年(延享5年)に亡くなっているが、これは病が理由であって溺死ではないのが不幸中の幸い? である。
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【追加雑学①】水死体「土左衛門」は男女で浮かび方が違う?
世の中には「男性の水死体はうつ伏せで、女性の水死体は仰向けで浮かぶ」という噂があるらしい。この噂は、水死体を発見することが多い漁師などの証言が元になっているようだが、果たして本当なのだろうか?
この噂は、「男性は腕などに(比重が重い)筋肉が多い男性はうつ伏せになり、胸やお腹に(比重の軽い)脂肪が多い女性は仰向けになる」というのが根拠となっている。
しかし、太っている男性の水死体は仰向けになって浮かんでくることもあるらしく、絶対とはいえないようだ。
また、男性は下腹部にモノがついているため、うつ伏せになるという噂もあるが…。モノがそんなに大きい男性ばかりとも限らないので、それもゲスな噂話のような気もする。
【追加雑学②】超危険!クジラの水死体に近づいてはいけない理由
水死体が話題になるのは、何も人間ばかりではない。そのなかでも、クジラの死体が沿岸に漂着したというニュースを耳にしたことがある方も多いことだろう。
だが、もしアナタがクジラの死体を発見しても、決して近づいてはいけない。
先ほども説明したが、水死体には腐敗ガスが溜まり、体は膨張していく。それがクジラほどの巨体となれば、溜まっているガスはかなり大量であり、うかつに傷をつけたりすると「爆発」と呼ばれる破裂現象を起こすのだ!
爆発といっても燃焼するわけではない(火を近づければ別だが)ものの、皮膚や内臓などが飛び散り、ヒドイ汚れと臭いに悩まされるという。
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「土左衛門」の雑学まとめ
「土左衛門」についての雑学、いかがだっただろうか。
ふと耳にしただけでは可愛らしく聞こえなくもない「土左衛門」という呼び方だが、実際に浮かび上がる死体の姿は悲惨そのものである。
ガスで体が膨れ上がるだけでなく、魚や微生物に食べられてボロボロの状態になっているからだ。かなり閲覧注意なものなので、絶対に画像検索などはしないように。
アナタも「土左衛門」とならないよう、水辺にお出かけの際には細心の注意を払っていただきたい。そして、クジラの死体を見つけても近づかないことだ!