筆者は、自分の上あごから生えている前歯が嫌いだ。なぜなら、バカに大きいからである。
立派に成長しすぎた前歯のせいで、行き場を失った両横の歯は後ろに押されている。あまりにも押されているので、写真を撮るとその部分がすきっ歯に見えるレベルである。
筆者にとっては憎き前歯だが、実は今回の雑学によれば神様の名前が付いているのだという。考え方を変えてみると、巨大な筆者の前歯は幸運を呼んでくれるラッキー前歯なのかもしれない…。
【人体雑学】2本の前歯には神様の名前がついている
【雑学解説】上部2本の前歯には七福神の名前がついている
前歯は、医学的には中切歯(ちゅうせっし)という。そして、上あご側から生えている前歯は、上顎中切歯(じょうがくちゅうせっし)と呼ばれている。
恋人とお好み焼きを食べているとき、相手の歯に青のりがついていることに気付く。指摘したいけれどいいづらい…。
そんなとき、「あ~上顎中切歯に青のりついているよぉ♪」となんていうと、双方気まずさを覚えることもなく、むしろ「お前~上顎中切歯って何だよ☆」みたいに会話が広がって楽しい…という妄想をしてみたが、いかがであろうか?
さて、この上顎中切歯には、さらに別名がある。それは、「恵比寿歯」と「大黒天歯」だ。正確にいうと、右側にある前歯は恵比寿歯、左側にある前歯は大黒天歯である。
どうして、七福神の中でもこの2神の名前が前歯に付けられたのか? これは、江戸時代に民間のあいだで広がっていた二福神信仰が由来となっている。
二福神とは、恵比寿様と大黒天様のことであり、商売繁盛をもたらす神様として七福神の中でも、とりわけ人気があった。この神様たちを祀るとき、右側に恵比寿様・左側に大黒天様を並べるというしきたりがある。
これに由来して、我々の上部の前歯も、この七福神たちの名前が付けられたのだ。これらの前歯が欠けてしまうと、お金がこぼれていってしまうというジンクスも存在している。
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【追加雑学】日本には歯の神様がいる
ところで、日本には歯の神様を祀っている神社が存在する。それは、「白山神社(はくさんじんじゃ)」という神社だ。ここに祀られている神様は、白山比咩神(しらやまひめのかみ)という名の女神である。
この白山神社というのは、全国にある。沖縄県以外の全国都道府県に存在するこの神社は、現在合わせて3000社ほどあるのだという。ちなみに、総本山は石川県白山市にある白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)だ。
さて、ではどうして白山神社が歯の神様として信仰されるようになったのか?
江戸時代、歯の治療をする医師は武士や上流階級のお抱えであった。しかし一方、庶民たちは、医師に診てもらえるお金がなく、歯に問題が生じたとしても民間療法や神頼みしかすがるものがなかったのである。
そんな当時の歯のトラブルは、歯槽膿漏が多かったといわれている。歯槽膿漏は進行すると、歯茎から血や膿が出て、口臭がひどくなる。
「俺、なんか歯臭い…はくさ…はくさん! もしかして、白山神社でお祈りすれば、歯の状態よくなるんじゃね?!」という発想から、白山信仰が生まれたのだという。もうやけっぱちというか、なんだか悲壮感が漂ってくるエピソードである。
雑学まとめ
今回の雑学でご紹介したとおり、上部の前歯2本には、右と左それぞれ「恵比寿歯」と「大黒天歯」という名前が付けられている。商売繁盛の神様の名をいただいているこの両方の歯、年をとっても抜けることがないように気を付けたいところである。
また、日本には「白山神社」という歯の神様を祀る神社が多数存在する。これは、医学が上流階級の特権であった江戸時代、神に願うしかすべのなかった庶民たちがひねり出したとんち(?)により生まれた信仰のようである。
一昔前に「芸能人は歯が命」なんてキャッチコピーがあったが、一般人だって歯は大事である。みなさんも、自身の歯を大切にしてほしい。
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