時代劇で登場人物が呑み食いをしているシーンがあるけど、団子とかお酒とか、現代だと一体いくらなんだろう? って思ったことはないだろうか?
そんな疑問に答えるため、ここではドラマの時代設定でもよく使われる、江戸のさまざまな物の値段を調べてみた。
「蕎麦(そば)一杯は今だといくら?」といった、今も存在する食品のことから、当時の娯楽にもスポットを当て、現代の値段に換算していこうと思う。
この雑学で現代と江戸の値段の違いを比べてみると、物によってはその価格の差に驚くことだろう。
【歴史雑学】江戸時代の物価はどのくらい?
【雑学解説】江戸時代の物価の計算方法
まずは、ここでの雑学は「現代ならだいたい○○円」という「目安」であることを理解してほしい。
なぜかというと、江戸時代は数百年あまりも続くため、時代の状況により、物の値段やお金の価値が必ずしも一定ではないからだ。
実際に、最小通貨の一文銭は江戸の初期だと25円だったのが、中期くらいには12円になっており、時代変化とともに通貨の価値も変わっている。
そこで江戸時代の物価の大まかな値を出すため、下の換算値で計算することにした。これは江戸を初期~後期までざっと通してみた場合の、通貨のおおよその平均だ。
金1両(小判1枚)=約6.6万円=銀60匁(もんめ)=銭4,000文(1文あたり約16.5円)
ここまでは大丈夫だろうか。もう少し説明が続くが、ちょっとだけ我慢してほしい。…といってもあとは値段を当てはめるだけだから、そんなに難しくならないことは保証しよう。
江戸時代の物価の計算してみると…?
はじめに書いた蕎麦の値段を、円換算で出してみよう! 江戸時代は蕎麦一杯16文が一般的。使う貨幣は最小通貨の一文銭で、あとは上の換算値を代入するだけだ。
一文銭1枚が平均16.5円ということは、換算すると16.5×16文=約264円になる。計算自体はとってもシンプルな掛け算だ。
こうして値段をあらためて見ると、蕎麦はなかなか安いのではないか?
【追加雑学①】江戸時代のお米はいくら?
次に、わたしたち日本人の主食、米の値段だ。米は武士の給料である禄高(ろくだか)として使われるほか、江戸の物価の基準にもなっていて、食べる目的以外にも重要な品物だった。
これが江戸時代での米のだいたいの価格だ。
米一升100文=1,650円
米一升は約1.8リットル、1.8リットルは約1.5キロくらいだ。現在だと米1.5キロは大体1,000~1,500円くらいになる。
当時もそこまで高級というわけではないのだろうが、少しだけ割高に感じる。飢饉(ききん)や不作のときはもっと高いのだろう。
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【追加雑学②】江戸時代の食品はいくら?
さて、他の食べ物や飲み物の値段はどのくらいだったのだろうか。
食品
- 団子一串(4文)=66円
- 寿司一貫(8文)=132円
- 酒一合(180ml)30文=485円
庶民の食べ物とお酒。
魚介類
- イワシ1尾(5文)=83円
- シジミ一升(10文)=165円
- マグロ1尾(200文)=3,300円
サイズにもよるが、マグロが破格の安値! ちなみに、初ガツオはマグロよりもはるかに高く、5200文=85,800円! …超高級品である。
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【追加雑学③】江戸時代の雑貨やサービスはいくら?
食べ物や飲み物の他に、雑貨やサービスなどの値段について調べてみた!
雑貨
- 歯磨き粉1袋(8文)=132円
- 手ぬぐい3尺(117文)=1,931円
歯磨き粉が安い。だが果たしてこの時代の成分効果に期待できるのかナゾだ。そして手ぬぐいが高い…製造機械がなく、すべて手作りだからか?
サービス
- 瓦版(新聞)1部(4文)=66円
- 銭湯大人(8文)・子供(6文)=それぞれ132円・99円
- 飛脚普通便書状一通(江戸〜大阪間25日・30文)=495円
銭湯入浴代は、現代なら大人400~500円くらいだ。それに比べてかなり安いが、江戸時代の大衆銭湯は汚かったらしく、衛生面はあまりよろしくないらしい…。
なお、飛脚に関しては特急便を使うと、同間およそ2〜3日で着くらしいが、書文一通(124文)=運賃2,046円へ一気に上がるようだ。
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【追加雑学④】江戸時代の娯楽はいくら?
江戸の娯楽は、まさにこの時代ならではの特別なサービス商品。以下が目安の値段だ。三つほど挙げるが、これまでと違い、文銭価格ではなく、値段もグーンと上がるぞ!
- 吉原の太夫(最上位の花魁)一回挙げ代(1両2分)=99,000~?円
- 歌舞伎の芝居・浅敷席(特等席)一席(銀164匁)=180,400円
- 富くじ(宝くじ)一枚(2分)=33,000円
※2分=二分金=33,000円
歌舞伎を見る場合、特等席の18万円は庶民におよそ手が届かないように感じてしまう。けれど安席の値段はそうでもない。一番安い立見席は、およそ16文=264円だ(蕎麦と一緒)。これなら庶民も芝居見物ができる。しかし、席の値段にここまで差があることに驚いただろう。
吉原の太夫と楽しいひと時を過ごすのも高い対価が必要で、上記で出した99,000円はあくまで一席辺りの目安の値段だ。しかも席代以外にもさらにいろいろとお金がかかるという話。太夫とムフフな関係までたどり着くには、実際、数百万円くらいかかるのかもしれない。
いずれにしろ、こんな高級サービスを楽しんでいるのは、○○屋の金持ち若旦那よろしく、一部のセレブだけであっただろう。
なお、富くじの当選金は一千両=6千6百万円だ! この時代でもやはり破格。千両って数字もキリがよく、江戸らしい。だが、くじ一枚が33,000円とは…。
江戸の物価を紹介している動画を発見!
動画では、この記事にない物の価格も出ているぞ! しかし…ゆで卵と豆腐の価格に正直ビビッてしまった。あと、日本刀ってやっぱり高かったんだな…どおりで上流階級の武士にしか帯刀が許されていないわけだ。
「江戸時代の物価」の雑学まとめ
江戸時代の物価に関する雑学を紹介したが、いかがだろうか。かつての江戸では、現代で高い物が安かったり、反対に安価なイメージの物が当時は高かったりと、逆転した値段にもなっていて、実にさまざまである。
もし筆者が江戸で暮らしていたら、やはり現代と同じように、少しでも安い店や、安い商品を探してまわりそうな気がしてくる。
そうなると歌舞伎の特等席や遊郭のような高価な娯楽は、手が伸びづらい。ただ、もしかすると歌舞伎に安席があるように、あまりお金のかからないで済む、庶民に身近な娯楽が江戸にはたくさんあったのかも知れない。
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