ガラスのコップやメガネのレンズなど、透明なものを触ると指の跡がつくことがある。推理小説やドラマなどで、犯人の決め手となることも多い指紋。犯行現場にあった指紋と容疑者の指紋が一致すると、もはや言い逃れはできない。
しかし、世界人口が70億人を超える昨今、本当に同じ指紋を持つ人はいないのだろうか。双子とかなら同じ指紋の人もいるんじゃないのか…?
そこで今回は、指紋についての雑学をご紹介しよう!
【人体雑学】同じ指紋を持つ人がいる確率は?双子の指紋は同じ?
【雑学解説】双子でも指紋は違う
指先の汗腺の開口部が隆起して線になったものを、指紋という。汗腺から分泌される汗や皮脂によって、素手で触ったところに指紋の跡が残る。
指紋は、怪我ややけどで一時的に指紋が消えてしまっても、いずれ同じ指紋が再生する。また、人によって異なり、永久に変わらない。そのため、指紋が一致すれば個人を特定することができる。
2つの指紋が一致するためには、特徴点といわれるポイントが複数合致しなければならない。特徴点となるのは指紋の線の開始点や終止点・分岐点などで、12点が一致すると同一の指紋と断定できるとされている。
たしかに12点と聞くとすぐに一致してしまいそうな気もする。しかし、12点が一致する確率は1兆分の1だという! 世界人口は70億人程度なので、計算上は同じ指紋を持つ人は存在しないというわけだ。
そうなると、同一の遺伝子を有する一卵性の双子でも、指紋は違うということになる。なぜなら、指紋や血管のパターンは後天的なものだからだ。
成長の過程で出来上がるため、遺伝子が同じでも指紋は異なるものになるのである。ただし、指紋の模様自体は遺伝するため、似たような模様になる可能性は高い。
指先の汗腺から出る汗や皮脂が指紋の原因と聞いてもピンとこない方には、次の動画をご覧いただきたい。
指先の汗腺から汗や皮脂が分泌される様子がよくわかる。肉眼ではよくわからないが、自分の指先もこのようになっているかと思うと不思議な感じがする。
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【追加雑学①】生まれつき指紋がない人もいる
驚いたことに、生まれつき指紋がない人もいるという。先天性指紋欠如症といわれる症状で、きわめてまれだ。世界でも4家系しかいないという。
その他にもネーゲリ症候群や網状色素性皮膚症といった病気の一症状として、指紋が薄くなってしまうことがあるんだとか。
いずれも遺伝的な要因で起こる病気とのことなので、血縁に指紋が薄い人がいる場合は自分の指紋を確認してみよう。
【追加雑学②】日本人の拇印がきっかけで指紋を研究した人がいる
医療伝道教団の一員として来日したイギリス人医師であるヘンリー・フォールズは、患者の治療とともに日本人医学生の指導もしていた。
その際、日本人が拇印で個人を確認しているのを見て、指紋に興味をもったヘンリーは、数千の指紋を採取した。それらを比較対照し、同一のものがないこと・傷ついても再生されること・成長しても指紋は変わらないことを確かめたのである。
そして1880年、指紋を個人識別に用いることができることを書いた論文をネイチャーに発表したのだ。
その後、指紋が個人識別に有効であることが広く知られることとなり、日本でも1911年から警察による指紋データーベースが作られた。それにより、指紋から犯人を特定することができるようになったのである。
ただし、実際に採取される指紋は押圧で変形していることが多いため、テレビドラマのようにパソコン上で一致することはまれとのこと。最終的には人間が判断することが多いという。
雑学まとめ
漠然と同じ指紋が存在することはないのだろうと思ってきたが、一致する確率が1兆分の1とは驚いた。同じ指紋をもつ人がいないわけだ。
一方で、生まれつきない指紋をもたない人がいるというのも驚きである。身近で事件が起きたとき、指紋がないことであらぬ疑いをかけられそうで怖い…。
あるのが当たり前でふだんまじまじと見ることもない指紋だが、個人を識別する際に大きな力を発揮する。しかし、できれば指紋から個人を特定する必要があるような事態には巻き込まれたくないと思うのであった。