魚の名前は、見た目の特徴から付けられるものが多い。
たとえば青いスズメダイだったら、ソラスズメダイ、ルリスズメダイ、4本の線が入っているフエダイだからヨスジフエダイとか、だいたいそんな感じだ。
こういう名前ならまだいい。むしろカッコイイぐらいなんだが…。
見た目で決められたがゆえ、ちょっと残念な名前になってしまう魚もちらほらいる。
今回紹介するその魚には、とても立派なヒゲがある。そう…ヒゲがあるぐらいしか共通点はないのだが、その唯一の共通点で名前を付けられてしまった可哀想な魚の雑学を紹介しよう。
【面白い雑学】「オジサン」という名の魚がいる
【雑学解説】「オジサン」というヒメジの仲間の魚がいる
スズキ目ヒメジ科の魚の特徴は、口の下に長いヒゲがあることだ。このヒゲはエサを探すためのセンサーにあたり、彼らはいつも砂のなかにヒゲを差しながらエサを探している。
そう、ヒゲがトレードマークのヒメジはいろんな種類がいるのに、なぜか一匹だけ"オジサン"と名付けられてしまったヤツがいるのだ。
オジサンはヒメジの中でも静岡~沖縄まで広い地域で見られる魚で、140mまでのサンゴ礁域、砂底など浅場に多く生息している。
大きさは25~35cm。赤~紫のものが多いが、個体によって色もけっこう変わってくる。背中の黒い斑と、目を通る縦縞の一本線も特徴だ。
https://twitter.com/izunoumigasuki/status/1038927598305206274
他のヒメジのほとんどが〇〇ヒメジと呼ばれるところを、刺身にすると美味いとされる彼らだけが、親しみを込めてオジサンと呼ばれている。…ちなみにメスでもオジサンである。
以下の動画でオジサンが映されているぞ! 集団で砂のなかを探る様子がシュール…。
オジサンは食べるならもっぱら刺身! 煮魚などその他の調理法で食べるのもおいしいが、独特の柔らかさや旨味を活かすならやっぱり刺身だという。
さばき方は以下の動画を参考にどうぞ!
オジサンはヨーロッパではヤギ
オジサンなどのヒメジの仲間は英語で「goat fish」と呼ばれる。goatはヤギ。つまりヤギっぽい魚である。さんざん可哀想と言っておいてなんだが、やっぱりオジサンのほうがユーモアがあっていい。
ちなみに、動物の名前を使った魚の英名は他にもたくさんある。
・lionfish…ミノカサゴ
・seahorse…タツノオトシゴ
・frogfish…カエルアンコウ
【追加雑学①】「オバサン」という魚もいる
オジサンがいればオバサンもいる。…そしてこのオバサン、オジサンを捕食してしまいそうな勢いのオバサンである。
なんと千葉県ではメジロザメの仲間である「ヨシキリザメ」のことをオバサンと呼ぶ。体長2~3mとそこそこでかいサメで、普通に人も襲っちゃうヤツだ。
以下の動画でヨシキリザメが捉えられている。見た目がオバサンっぽいからオバサン呼ばわりらしいけど…そうか?
ちなみにオバサンからは高級食材、フカヒレが獲れる。フカヒレはおいしいけど…以下の雑学を見るとちょっと複雑な気持ちになる。
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【追加雑学②】「ババア」もいる…
いやいや…オジサン・オバサンなんてまだマシなほうだった。もっとひどい名前を付けられた魚もいたもんだ。
その名も…「ババア」。
寿司TDで知ったんやけどタナカゲンゲって魚がいるそうな、通称ババアとのことだがこのババアはあのババアなんかな。
教えてオウジュニキ pic.twitter.com/a1T1N0HVxh— Re:ыыエ⃠/リービット@アシュテ (@zazami444) April 7, 2020
ババアは北海道から中国地方の日本海側に主に生息している魚。ババアは正式名称ではなく、本来は「タナカゲンゲ」という。どっちかというとジジイ寄りの名前な気もする。
ババアと呼ばれるのは、鳥取県や島根県の山陰地方での地方名だ。この呼ばれ方にしても、やはりその見た目に由来している。
大きな顔にはシワが多く、たしかに魔女っぽい雰囲気がある。…間違っても可愛らしいおばあちゃんではない。
地方によって呼び方も多少変わるけど…。
「ババノロ」とか。
「ババダラ」とか。
どこへ行ってもことごとく悪口である。
しかし…見た目に反してババアは激ウマ食材だ。
旨み成分が多く、おいしい出汁がでるといい、鍋やみそ汁に入れると絶品。山陰地方ではスーパーでも売られている場合が多いので、旅行の際はぜひ、ババアをよろしく!
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【追加雑学③】変な名前の魚【5選】
日本には、オジサンやオバサン、ババア以外にもけっこう変な名前の魚がいる。ここで、そんな変わり者たちを5つ厳選して紹介しよう!
ウッカリカサゴ
カサゴに見た目はそっくりで、生物学者が「"うっかり"してるとカサゴと同種にしてしまいそうだ!」と言って名付けた魚がウッカリカサゴである。コイツ自身は別にうっかりしていない。
本日は海のお魚ウッカリカサゴのご紹介
こいつはうっかりだは八兵衛さんですが、カサゴとうっかり間違えるようなお魚でして、由来も「うっかりするとカサゴと区別しないことになる」と1979年に阿部宗明氏が『新顔の魚』の中で「ウッカリカサゴ」という和名を命名しました比較的新種のお魚です
→ pic.twitter.com/oOF0uJFm5b— 朱麗子 (@Freshwaterfishl) June 7, 2020
鱗に少し違いはあるものの、よく見ないとカサゴとの違いは全然わからない。味も似ている。…もう、カサゴでいいじゃん。ちなみに煮つけや唐揚げにするとおいしいよ。
関東地方では、アンポンタンと呼ばれることもある。だから…コイツ自身はアンポンタンでもなければ、うっかりもしてないんだって!
ヨダレカケ
ヨダレカケは、日本では沖縄の岩場に生息している。水の中にほとんど入ることがない、とっても珍しい魚である。
別にヨダレだらだらとかそんなわけじゃなくて、岩に張り付くためのヒレのような吸盤が赤ちゃんのヨダレカケに似ているから、名前もヨダレカケだ。以下の動画でガラスに張り付く様子が見れるぞ!
おお! たしかにヨダレカケっぽい気がする!
スベスベカスベ
カスベは北海道地方でのエイの呼び名である。でもスベスベカスベって…名前をいじられて変なあだ名付けられたヤツ感がすごい。その名の通り、鱗のないエイなんだけどね。
変ななえ
「スベスベカスベ」
ウロコが無く、すべすべしているからこのような名前が付きました。スベスベ仲間↓
「スベスベマンジュウガニ」
「スベスベケブカガニ」
「スベスベエビ」
「スベスベサンゴヤドカリ」
「スベスベヤマキサゴ」 pic.twitter.com/93L4nLRc2c— ゆー (@bitaminbusoku_) July 22, 2018
たしかにスベスベしてそう…。ちょっと触ってみたい。
実はスベスベがつく生き物はけっこういる。スベスベマンジュウガニ・スベスベケブカガニ・スベスベエビ…などなど。
カラス
カラスは、トラフグやショウサイフグとともに、日本で食用されるフグの仲間。しかしたくさん食べられてしまったせいで、今は絶滅危惧種に指定されている。見た目は高級なトラフグとそっくりで、しっぽが黒いのが特徴である。
うん、マジで見分けつかんけど…。しっぽが黒いからカラス、ここまではいい。
でもカラスフグじゃないんだよ。正式名はカラスなんだ。
ヒゲソリダイ
似た種類がいると、〇〇モドキとかニセ○○という名前を付けられるヤツはよくいる。しかし…ヒゲダイに似ているけど、ヒゲがないからヒゲソリダイって…。別に剃ってませんよー!!
しかもヒゲソリダイは5mm位あごヒゲがある。ソリノコシダイ…いや、ごめん。なんでもない。
ヒゲは一応下あごにあるらしいが…うん、わからん。
「オジサンという魚」の雑学まとめ
今回はなんだか残念な気もするし、ちょっと可愛い気もするオジサン・オバサンという魚の雑学を紹介した。
しかし上には上がいるもんで、ババアなんて暴言に近い名前の魚までいるとは…。魚文化が根強い日本だからこそ、愛着の湧くような名前も付けられているのかもしれない。みんな食べたらおいしい魚ばかりだしね。
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