世界中には熱烈な切手コレクターが存在する。なかには約10億円近い高値で取引されるケースもあるほど、切手は奥が深い世界なのだ。
世界初の切手はイギリスで発行されている。「ペニー・ブラック」というビクトリア女王をモデルにした1ペニー(1ぺニーはイギリスの貨幣単位・ポンドの100分の1にあたる)切手だ。では、日本人で初めて外国の切手になった人物は誰だったのか?
それは室町時代の禅僧であり、水墨画家として活躍した雪舟である。この記事では、雪舟が外国で切手にされた経緯についての雑学をご紹介する。
【歴史雑学】初めて外国の切手になった日本人は、水墨画家の「雪舟」
【雑学解説】国内外で発売される日本にゆかりのある郵便切手
日本人で初めて外国の切手になったのは、室町時代に水墨画家として活躍した雪舟である。
1956年(昭和31年)、スウェーデンのストックホルムで開催された世界平和会議において、世界の文化に貢献した10人の人物が選ばれた。
オーストリアの音楽家・モーツァルトやロシアの作家・ドストエフスキーなど、そうそうたる世界の文化人に混じって、日本からは水墨画家の雪舟が選ばれている。
それを記念して、旧ソビエト連邦とルーマニアでは、雪舟をモデルとした切手が発売された。雪舟は外国の切手で描かれた最初の日本人だったのである。
日本人がモデルとなった切手は雪舟の他にも存在する。ルーマニアで切手となった葛飾北斎をはじめ、旧チェコスロバキアでは横山大観・エクアドルでは野口英世など、世界では日本人をモデルにした切手が発売されているのだ。
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【追加雑学①】世界中で大阪万博を記念した切手が発売された
1970年、「人類の進歩と調和」をテーマとして掲げ、世界の77ヵ国が参加した大阪世界万博博覧会。この大阪万博の開催を記念して、諸外国では記念切手が発売された。
西アフリカのリベリアでは、万博のテーマソングを歌った歌手の三波春夫とその歌詞の一部とが印刷された切手が、1セット6枚で発売された。これは、大阪万博の開催に湧く日本の切手ファンの需要を見込んで、発行されたものといわれる。
また、セネガルでは浮世絵の美人画を模した切手や、アラブ首長国連邦では太陽の塔をデザインした記念切手も発売された。現在でもネットオークションで出回っているので、気になる方はチェックしていただきたい。
【追加雑学②】日本で初めて発行されたアニメキャラの切手は鉄腕アトムだった
日本で初めて切手が発行されたアニメキャラをご存知だろうか。1952年、雑誌に掲載された漫画作品であり、テレビアニメにもなった、手塚治虫の「鉄腕アトム」である。
アトムの切手は、平成9年に郵政省が「戦後50年メモリアルシリーズ第5集」として発売したものである。戦後50年メモリアルシリーズ」とは、昭和20年から平成7年までの戦後50年間の出来事や人物などを題材にシリーズ化された切手のことだ。
シリーズ第5集の切手のモデルとなったのは、手塚治虫(鉄腕アトム)の他に、石原裕次郎・美空ひばりの3人になる。この3人が選ばれた理由は、「私が選んだ懐かしのスター」をテーマに、郵政省が平成7年に実施したアンケートの上位3人に選ばれたことにある。
平成9年に発行されたことから、読者のなかにはアトムの切手をもっている方もいるかもしれない。ただ、残念ながらネットで調べたかぎりでは、現在はそれほど高値では取引されていないようだ。
雑学まとめ
日本で初めて外国で切手になった日本人と、切手にまつわる雑学をご紹介してきた。オリンピックや万博などの大会が開催されると、世界中で記念切手や記念硬貨が発行される。
筆者はこれらを収集するコレクターではないが、切手マニアと称される人々のコレクションのなかには、その人なりの個性やこだわりもあらわれるのだろう。
一見すると素人には価値がないように思える物でも、あるジャンルに精通した人間が見ると、じつは驚くほど価値の高い物だったということがあるものだ。