自分の体よりも大きなフンを、コロコロと転がすフンコロガシ。テレビでフンコロガシが紹介されると、必死にフンを転がす姿に感心して見ていたが…
そもそもフンコロガシは、なんのためにフンを転がしているのか…そして、そのフンをどこへ持って行こうとしているのか? このような疑問をもったことはないだろうか。このように突っ込みどころが多いフンコロガシ…。
というわけで今回の雑学では、フンコロガシがコロコロと頑張っている理由について調べてみたぞ!
【動物雑学】フンコロガシは、なぜフンを転がすのか
【雑学解説】フンコロガシは見つけたフンをひとりじめするために、別の場所へ転がして運ぶ
フンコロガシは動物のフンを食糧にしている昆虫である。
新鮮なフンのにおいをかぎつけ飛んできて、のこぎりのような前足で食べたい部分を切り取り、適当な大きさに丸めたフンを転がしながら移動するのだ。
「わざわざ移動しなくても、その場で食べればいいのに…」と思うが、フンを別の場所に運ぶことには理由がある。
そもそも、動物のフンは排泄物であり、栄養分はほとんど残っていない。このフンを食糧にしているフンコロガシは、大量のフンを食べなければならないのだ。(厳密にいうと、食べるというより、栄養分を吸う)
ゆっくり食べているヒマはない。フンを狙って群がってくるほかのフンコロガシはたくさんいて、横取りされるかもしれない。
そこでフンコロガシは考えた。とりあえず誰にもジャマされない場所まで運んで、ゆっくり食べよう…と。つまり、フンをひとりじめするために、フンを転がして運ぶのである。
せっせとフンを転がているのは、フンコロガシが生きるための必死な姿だったのだ。私たちの生活の中で、こんなに必死にならなければいけないことって、あるだろうか…。
スポンサーリンク
【追加雑学①】フンコロガシは、世界一力持ちの昆虫である
フンコロガシは、世界一力持ちの昆虫だといわれている。
どれぐらい力持ちかというと…なんと、なかには自分の体重の1100倍の重さのフンを転がすことができるものもいるという。そんなに大きなフンを転がそうとするヤツは、よほどの欲張りだと思うが…。
自分の1100倍の重さって、想像もつかない…。人間にたとえて考えると、体重70kgの人が2階建ての大型バスを6台積み上げて持ち上げる計算になるそうだ。
ありえない…。あの小さな体のどこにそんなパワーがあるのか。おそるべしフンコロガシ!
小さな体でスーパー力持ちのフンコロガシの姿をぜひ見てほしい! 思わず応援したくなる映像だ。
その坂道のぼるの? と心配になるが、あきらめずに何度もトライする必死な姿が、なんだか可愛くてほほえましい。
【追加雑学②】フンコロガシの幼虫は、フンの中で育つ
発情期のフンコロガシのオスは、ふだんよりももっと頑張ってフンを転がす。大きなフンを転がして、メスを誘うのだ。
カップルが成立すると、フンの上にメスを乗せて誰にもジャマされない2人だけの場所までフンを転がして移動し、交尾をおこなう。そして、メスはフンの中に卵を産みつけるのである。
フンの中で卵から孵化したフンコロガシの幼虫は、産まれてすぐに見るものはフンである。その自分を包んでいるフンを食べて成長し、1年後にフンの中から出て行く。
つまり、フンコロガシのオスは幼虫が1年間食べ続けるための大きなフンを、必死に転がて作るのである。小さな体で大きなフンを必死にころがすのは、産まれてくるわが子が食べ物に困らないようにという愛情でもあるのだ。
しかし、フンコロガシは、産まれた瞬間からフンまみれなのね…と変なところにおどろいてしまった。
雑学まとめ
今回は、フンコロガシがフンを転がす理由についての雑学を紹介した。
せかせかと動いてフンを転がす姿は、「早く運ばないと、横取りされる!」といった心境だったのだ。
フンコロガシは、オーストラリアの牧場では家畜のフンを始末してくれるお掃除屋さんとして、重宝されていたという話もある。そして掃除するだけではなく、動物のフンの中にまじっていた植物の種子が、フンコロガシによって運ばれ、分散して植物が発芽する利点もあるそうだ。
小さい体でフンを転がすフンコロガシだが、大きなパワーをもち、その行動で自然界の役にもたっている。そのようなすごいヤツなのだということを、ぜひ覚えておいてほしい。