絵の具をベタベタに塗りたくったような、独特のタッチと色彩が魅力の画家・ゴッホ。
27歳からデッサンの勉強を始め、生前に売れた絵はたった1枚だけ。狂気の耳切り事件…と逸話にも事欠かない不遇な遅咲きの天才である。
そんな彼の代表作「ひまわり」は複数存在し、そのうち1点は何と日本にあることをご存知だろうか?
今回は、ゴッホの「ひまわり」にまつわる雑学をご紹介しよう!
【歴史雑学】ゴッホの「ひまわり」は12点あり、1点は日本にある
【雑学解説】2種類あるゴッホの「ひまわり」シリーズ、日本にあるのは後期5作目
まずはゴッホの「ひまわり」シリーズについて簡単にご紹介! ゴッホはひまわりがお気に入りのモチーフだったらしく、パリ時代(1886-1888年)とアルル時代(1888-1889年)に合計12点の「ひまわり」を描き上げている。
前期に当たるパリ時代の「ひまわり」はひまわり数本の束を置いた構図で、後期に当たるアルル時代の「ひまわり」は花瓶に活けられた構図である。
実は後期シリーズは、友人の画家ゴーギャンとの共同アトリエを夢見るゴッホが、インテリアとして制作したもの。しかし、同居生活は仲たがいのため、わずか2ヶ月で解消!
ちなみにゴーギャン、前期シリーズの「ひまわり」を2点もっていたのだが、金に困って後年売り飛ばしているのだ! またもやゴッホの不憫さが極まるエピソードである…。
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日本にあるゴッホの「ひまわり」
まあそれはそれとして、ゴッホの「ひまわり」といえば、圧倒的に後期シリーズの方が有名である。東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館に所蔵されている「ひまわり」も後期のもので、5作目に当たる。
1987年、美術館の目玉にするべく、当時の代表取締役がおよそ58億円もの巨額を投じて購入! 一時は贋作説も囁かれたが、専門家の調査により、ちゃんと真筆のお墨付きをもらっているぞ!
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【追加雑学①】残りのゴッホの「ひまわり」はどこに所蔵されている?
それでは、「ひまわり」後期シリーズ7点のうち、残りの6点はどこに所蔵されているのか?
1作目は、アメリカ在住の個人が所有しているため非公開。2作目は戦災により焼失してしまったので、日本にある5作目を除くと、一般に公開されているのは4点!
3作目から順に、ミュンヘンのノイエ・ピナコテーク・ロンドンのナショナルギャラリー・アムステルダムのファン・ゴッホ美術館・フィラデルフィア美術館に所蔵されているぞ!
【追加雑学②】現存しないゴッホの「ひまわり」も実は日本にあった!
さて、戦災で焼失してしまった2作目だが、実はこの現存しない「ひまわり」も日本所蔵だったのだ!
1920年、白樺派美術館の設立を構想していた武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)の要請を受け、実業家の山本顧彌太(やまもとこやた)が、およそ2億円で購入! 美術館の設立は叶わなかったため、3回の展覧会を経た後は、山本の自宅に飾られていたのだが、1945年8月の阪神大空襲にて消失…。
しかし、落ち込む必要はないぞ! 徳島県の大塚国際美術館の尽力により、2014年に復元! 幻の「ひまわり」として展示されているのだ!
雑学まとめ
ゴッホの代表作「ひまわり」についての雑学、いかがだっただろうか。「ひまわり」が、何と12点もあるとは驚いた。芸術の才がない筆者は、同じモチーフを同じ構図で延々と描くなんて飽きないんだろうかと思ってしまうが、「ひまわり」はよっぽどゴッホにとって思い入れのあるモチーフだったのだろう。
それにしても、遠く海を越えた天才画家の作品が日本にあるとは、何だかちょっとお得な感じがする。機会があればぜひとも拝見してみたいものだ!