ひょうたんは、絵本や時代劇などにしばしば水筒として登場するウリ科の植物である。
しかし実はひょうたんとは、食って良し・叩いて良し・お守りにして良しな超万能な植物だったのだ!
今回は人類の偉大な友人であるひょうたんの雑学について紹介する。
【自然雑学】人類が初めて栽培した植物はひょうたん
人類がウホウホしていた時代から人間と共にあった万能植物「ひょうたん」。実はそれは、人類が初めて栽培した植物である可能性があるのだ。
【雑学解説】世界中に広がったひょうたんの歴史
ひょうたんの原産国は、日本から遥か遠い南アフリカだ。そこからひょうたんを腰につけた人類が拡散、もしくは海水に強いひょうたんがドンブラコと大海原を越えて広がっていったのだ。
メキシコ・ペルーには紀元前6000年、フロリダには紀元前5300年、エジプトには紀元前3400年に伝わった記録がある。同じアフリカ大陸であるエジプトに伝わるのが遅かったのは意外である。
そして世界中に広がったひょうたんは当然日本にも伝わっていった。福井県若狭町に存在する竪穴式住居の遺跡からは、なんと紀元前6000年の層からひょうたんが出土されているのだ。世界的に見ても日本人はかなり早い時期からひょうたんと共にあったのだ。
こうして世界に広がっていったひょうたんだが、容器のほかにも食用や楽器としても使用可能だ。さらに日本では縁起物とされている。まさに一石四鳥の超エリート植物である!
古代人が大事にしていたのもうなずける。
【追加雑学①】楽器としてのひょうたん
ひょうたんを使った楽器は、世界におそろしいほどある。すべては紹介しきれないので、いくつか抜粋していこうと思う。
打楽器
・ウォータドラム
乾燥させた大きなひょうたんの殻を水に浮かべ、手で叩いて音を出す。グーで叩いたときの低音がとても心地良い。後半から増えたひょうたん達が流されないよう、必死に直そうとしているおじさんが非常にかわいい。
・ひょうたんドラム
地上版ウォータードラム。ふたりのおっさんがひょうたんを叩きながら交互に歌っていく。ウォータドラムとは違い低音の響きが少ない乾いた音になっている。その代わりに、左のおっさんがドラムを下の棒状の物にこすりつけて、「ゴー」という不思議な音を鳴らしている。おそらく水が貴重な地域ではこちらが主流だったと予想される。
弦楽器
・シタール
サムネのエキゾチック美人が弾いているのが、インド発祥の弦楽器シタールである。実はこの楽器にもひょうたんが使われており、美人が右腕を乗せている丸い部分がひょうたんでできている(動画では40秒くらいから楽器全体が映る)。この部分で音を反響させて響きを豊かにさせているのだ。
管楽器
・葫芦絲(フルス)
くるくるパーマがチャーミングな男性(女性?)が吹いているのが、葫芦絲(フルス)だ。中国・ミャンマー・タイなどで用いられている。優しい音色が心地良い。
ひょうたんだけで打楽器・弦楽器・管楽器までカバーできるのだ。すべての楽器にひょうたんが使われているバンドとか作ったらおもしろそうだ。題して「ひょうたんバンド」だ。
…まったく流行らなそう。
【追加雑学②】食用としてのひょうたん
主に容器として使われていたひょうたんだが、調理が簡単なため古代から食用とされていた可能性ももちろんある。
ひょうたんの味は同じウリ科のズッキーニに近く、主に炒め物として調理される。卵と和えたり、きのこやニンニクと炒めてもうまそうだ。沖縄にはゴーヤチャンプルならぬひょうたんチャンプルという料理が存在するらしい。
しかし、家庭で調理する際は食用かどうか十分注意すること。食用でないひょうたんにはククルビタシン(嘔吐・下痢を引き起こす)が含まれており、ご家庭のトイレ事情が悲惨なことになる。
食用ひょうたんはアマゾンで購入可能だ。あなたもひょうたんを食して古代のロマンを感じてみよう!
【追加雑学③】日本では縁起物として重宝されているひょうたん
古来から末広がりの形は、上から下へ(時代が下るにつれて)広がっていく(可能性や展望が開けていく)ことから縁起の良いものとされている。
ひょうたんも、末広がりな形状からとても縁起の良いものとされている。
ひょうたん(漢字で瓢箪) は、古来よりお守りや魔除けとして使われていた。語呂合わせとして、3つそろえば3拍子(3瓢子)で縁起が良いとされ(3は縁起の良い数字とされていた)、6つそろえば無病(六瓢)となり無病息災になるとされていた。
また、花言葉が「繁栄」「利得」「円満」のため、商人たちにも大変喜ばれた。
さらに七福神の一員である「寿老人」も、ひょうたんの中に不老不死の霊薬を詰めて持っている。
このようなことから、ひょうたんはこれでもかというほど幸運が詰め込まれたアイテムなのだ!
雑学まとめ
ひょうたんの素晴らしさについてご理解いただけただろうか?恥ずかしながら、私はひょうたんがこれほどまでに素晴らしい植物だとは今日まで思いもしなかった…。これからの人生は、ひょうたんに最大限の敬意を払いながら生きていこうと思う。
では、素晴らしきひょうたんのさらなる知名度上昇・地位向上を願って…
ひょうたん万歳!