魔法溢れるファンタジー世界を描いた、世界的に有名な児童小説「ハリー・ポッター」。その作者といえば、J・K・ローリングだ。
J・K・ローリングには、意外な過去がある。その過去を知ると、「ハリー・ポッター」シリーズの大ヒットは、まさにシンデレラストーリーといえるだろう。
今回は、「ハリー・ポッター」の生みの親にまつわる雑学を紹介する。
【サブカル雑学】「ハリー・ポッター」シリーズの作者J・K・ローリングは、生活保護を受けていた
【雑学解説】困窮した生活からの大逆転
今となっては世界的に有名な小説家となったJ・K・ローリングだが、それまでの人生は波乱に満ちたものだった。
1990年6月、ローリングはマンチェスターからロンドンへ向かう列車の中で、「賢者の石」のストーリーを思いついた。そこからハリー・ポッターの冒険物語の土台を書き続けるのだが、そこで不幸が起こる。
1990年の末に、母親が亡くなったのだ。母親の死はローリングにダメージを与え、執筆活動にも支障が出たほどだった。
翌年の1991年には、ポルトガルで英語教師をするようになり、現地で出会った男性と同棲の末に結婚。1993年には娘も生まれた。
しかし、結婚生活は長くは続かなかった…。娘が生まれた4か月後に、ローリングは離婚し、イギリスに戻ることになったのだ。
イギリスのエディンバラにいる妹のところに住むようになり、ローリングは生活保護や住宅手当を受けるようにもなった。この時の収入は69ポンド(当時の日本円で約1万円弱)。
それだけでは足りないので、友人から600ポンド(当時の日本円で約10万円ほど)も借りた。
生活保護や借金をしたとしても、生活は困窮する一方だった。ローリングはうつ病を患うようになり、何度も自殺を考えたが、1995年になるとやっと「賢者の石」の原稿ができた!
「賢者の石」の原稿完成もまだ続く道のり
しかし、そこからもまだまだ苦難の道だった。出版社が取り合ってくれなかったのだ。
当時のローリングは無名で、作家ですらなかった。さらに「賢者の石」は長編。そのこともあって、多くの出版社は取り合わなかった。
1年後の1996年…ある出版社がローリングと作品を受け入れた。それが、ブルームズベリー出版社だった。この出版社は、新人発掘に力を入れていたこともあるが、「賢者の石」の採用には1人の少女が関係していた。
「賢者の石」の原稿を受け取ったブルームズベリー出版社の編集長は、自分が読むよりも、まず当時8歳だった娘に読ませた。「賢者の石」は児童文学。子供に受けなければ意味がないのだ。
そして、娘が「賢者の石」を読み終えて言った一言が…
「パパ! これは他のどんな作品よりも素敵なものよ!」
こうして、1人の少女の太鼓判から、「ハリー・ポッターと賢者の石」は出版されることになったのだ。
うつ病を患い、生活保護を受けながらも困窮した生活を続けていたローリング。その苦労が報われたのだ! このあとは、あなたも知っているだろう。
小説は大ヒットし、映画化もされた。まさに、大逆転ストーリーである。
それまでの道のりでうつ病になり、自殺を考えることもあったが、彼女が人生を諦めなくて本当に良かったと思える。そのおかげで、私たちは名作を見ることができたのだから。
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【追加雑学】ペンネームは、女性作家と思わせないために付けた
作者の「J・K・ローリング」という名前は、ペンネームだ。彼女の本名は「ジョアン・ローリング」。
なぜ「J・K・ローリング」というペンネームを付けたのかというと、「女性作家と思わせないため」。
「ハリー・ポッター」シリーズの主なターゲットは、男の子。日本でもその傾向があるのだが、少年向けの作品に女性作家の名前があると、メイン読者の男の子は作品を避けてしまう傾向にある。
そのため、女性なのか男性なのか分からない「J・K・ローリング」というペンネームを作ったのだ。
作者の名前で作品を読むか否かが決められるのは少々複雑だが、中性的な名前にしたことも、「ハリー・ポッター」シリーズが売れた要因の1つだろう。
ちなみに、ローリングは「ロバート・ガルブレイス」という名前で探偵小説も書いている。
本名である「ジョアン・ローリング」か、女性的な名前で作品を書くことはないのだろうか?また、本名や女性的な名前で作品を作るとしたら、どのような作品になるのだろうか?
雑学まとめ
「ハリー・ポッター」の生みの親、J・K・ローリングについての雑学をご紹介してきたが、いかがだっただろうか。
今となっては、世界的に有名な小説家であるJ・K・ローリング。しかし、その人生は生活保護やうつ病といった、波乱に満ちたものだった。
だが、どれほど生活が困窮しようとも、くじけずに自分の心に正直に小説を書いた。その結果、努力が実を結んで、あの世界的人気シリーズが生まれたのだ。
「諦めずに頑張れば報われる」
そんなことを、人生を通して、ローリングは教えてくれているように感じられる。