輸血は大丈夫か!?馬の血液型は3兆種類以上ある

人間の血液型は、ABO式で大きく分けると4種類。

さらに、これをRh式（抗原の有無）でRh+・Rh-などに細かく分類していくと、実に300種類を超える血液分類をもっているという。これでは4種類で分けただけの血液型占いなど、なんのあてにもならないじゃないか…。

しかし、これを大きく上回る血液分類をもつ動物いる。そう、馬である。馬の血液型は大きく分けて8種類（A・C・D・K・P・Q・T・U）あるのだが、さらに細分化していくと、その数は3兆種類を超えるという。

ブラッドスポーツ（血のスポーツ）といわれるほど、血液による配合を重要視する競馬界では、この3兆という数字を把握しているというのだろうか。また、輸血が必要となったときはどうしているのだろうか。今回は、そんな馬の血液型にまつわる雑学をご紹介していくぞ！

【動物雑学】馬の血液型は3兆種類以上ある

ライオンくん

血液型が3兆種類？！そんなに種類があったら、輸血とかに困りそうだよな…。同じ血液型じゃないとダメなんだろ？

ウサギちゃん

ライオンくん、それは大丈夫。馬の輸血に血液型は関係ないからね。

【雑学解説】馬の血液型の分類とは？

そもそも、血液型が違うと何が困るのか。最初に思いつくのは緊急時などの輸血だろう。人間の場合、違う型の血液を輸血すると、身体が拒否反応を起こし、血が固まってしまうなどの不具合を起こしてしまう。

そのため、300ということはないにせよ、4種類の血液分類は輸血をする際に注意しなければならないのである。

その点、馬はどうなのだろうか。まさか3兆種類からドナーを探すわけはないが、8種類の型くらいは合わせる必要があるのか。

結論からいうと、馬の場合、輸血のために血液型を合わせる必要はない。馬の血液を分類する目的は、輸血のためではなく、血統分析するためである。

馬は人間に比べて、血統がより顕著に子に引き継がれる。特に、競馬界で活躍するサラブレッド種は、血統がその馬の一生を左右するほど重要な要素となっている。

ライオンくん

血統？どういうことだ？

たとえば、長距離走が得意な親馬から生まれた仔馬は、親馬と同じように長距離走が得意になったり、短距離走で活躍した馬の子供が短距離のレースで活躍したりと、強い馬の子は強い馬になる適正をもって生まれてくる。この血統によって、仔馬の価値は各段に違ってくるのだ。

ウサギちゃん

人間でいうと、『家柄』みたいなものかな？

というわけで、馬の血液型は競馬界の血統分析のために、理論的には3兆種類も存在しているわけだ。

しかし、不適合な輸血を行えば馬にも拒否反応が起こるおそれはある。そのため、馬の世界にはドナー適正の高い、輸血提供専用馬「ユニバーサルドナー」と呼ばれる馬が存在するのだ。

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【追加雑学】輸血提供専用馬「ユニバーサルドナー」とは？

人間の場合、違う型の血液を混ぜると血は固まり、強い拒否反応を引き起こす。しかし、馬の血の場合は、違う型の血液を混ぜても血は固まらない。とはいえ、拒否反応を起こす危険性ももちろんある。馬の場合でも少なからず、輸血には適正が必要ということだ。

その適正をもつ馬が、「ユニバーサルドナー」と呼ばれる輸血提供専用馬だ。ユニバーサルドナーは、競走馬理化学研究所のユニバーサルドナー検査を受検し、血液検査の条件を満たした選ばれし馬である。

サラブレッド種では0.3％の馬しか条件を満たす馬が現れないという。では輸血専用の馬は貴重なのかというと、実はそうでもない。

馬の品種にハフリンガーという品種がいる。胴が太く、どちらかというとポニーに近い品種なのだが、なんとハフリンガー種は、その80％がユニバーサルドナーの条件を満たす。生まれながらにしてユニバーサルドナーとしての高い適正をもっている馬なのだ。

ウサギちゃん

ハフリンガー種は、19世紀終わりごろにオーストリア・イタリア北部で誕生した馬なんだよ。

馬の輸血は怪我や病気の手術時だけでなく、生まれたばかりの仔馬の治療などにも必要不可欠で、ハフリンガー種はそんな馬たちの命を救う重要な役割を担っているのだ。

ちなみに、人間にもユニバーサルドナーは存在する。人間の場合、O型の血液がこれに該当する。特にO型Rh-の血液は貴重で、この血液をもつ人間は全人口の約6%しか存在しない。

ライオンくん

全人口の10％にも満たないのか？！O型のRH-の人は、積極的に輸血に協力してほしいぜ。

「馬の血液型」の雑学まとめ

馬の血液型が3兆種類あるのも驚きではあるが、個人的には人間の血液型は300種類にもなることも驚きだ。今まで信じてきた血液型占いはなんだったんだ…？

それにしても、ユニバーサルドナーのなんと便利なことだろう。今まであまり目立つことのなかったハフリンガー種を、この雑学とともにぜひ覚えてもらいたい。

ライオンくん

人間って血液型で性格を判断しようとするんだから、変な生き物だよな。

ウサギちゃん

そうだよね。でもこれって、世界共通の考えじゃないらしいよ。特に日本で広がっているものみたい。