体の仕組み

羊の血を輸血→まさかの回復。世界初の輸血は1667年だった

雑学カンパニー編集部

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世界初の輸血は、羊の血を使ったという雑学

人間の体重の8%前後は血液だといわれており、そのうちの1/2~1/3が失われると、人は生命を維持できなくなってしまう。

しかし、手術や交通事故など、多量の出血が起こる場合もあるだろう。そんなとき、命を助けるために行うのが輸血である。献血によって事前に集めた血液を患者の体内に入れることで、失血死を防ぐことができるのだ。

この画期的な輸血という手法、現在では人間の血液が輸血されている。当たり前すぎる。まさか人間に動物の血液を輸血なんてするわけがない。誰もがそう思うだろう。

しかし、世界で初めての輸血には、なんと羊の血液が使われたというのである。そんなとんでもないことをしたのは一体誰なんだ? 今回はそんな、驚きの雑学に迫っていく!

【人体雑学】世界初の輸血は、羊の血を使った

ダヴィンチさん
1667年、フランス人医師・ドニが、子羊の血液を青年に輸血して回復させることに成功したんだよ。
科学者くん
えー、羊の血!?

【雑学解説】世界初の輸血が羊の血だったのはなぜ?

世界初の輸血が羊の血だったのはなぜ?というトリビア

1616年、ウイリアム・ハーベーが血液の体内循環論を発表すると、ビールや尿などを血管に注入する実験が行われるようになった。そして犬同士の輸血に成功したのだ。

そして1667年。ついに対人間の輸血が成功した。フランス人医師のドニは貧血と高熱で弱っている青年に、子羊の血液を半パイント(約225ミリリットル)輸血したのである。この青年は無事に回復し、ドニは世界で初めて人間への輸血に成功した人となった。

ここで気になるのは、なぜ人間の血液を使わなかったのかという点である。その理由は、当時人体が未解明であることにあった。血液を提供することで何が起こるか誰にもわからなかったのである。

そのため、1人の人間を治すために別の人間の命を危険にさらすのは野蛮であると思われていたのだ。医師であったドニも、人間の血液を使う方が確実であることはわかっていたかもしれない。

ダヴィンチさん
しかし、時代がそれを許さなかったんだ。
科学者くん
現代では信じられないような話ですね…

【追加雑学①】O型の血液はどの血液型にも輸血することができる

O型の血液はどの血液型にも輸血することができるというトリビア

そもそも、血液型がどのように決まっているか、みなさんはご存知だろうか。血液型は、赤血球上にある抗原(こうげん)と血しょう内にある抗体(こうたい)の種類によって決定されているのである。その種類は以下のとおり、

  • A型の人はA抗原と抗B抗体を持つ
  • B型の人はB抗原と抗A抗体を持つ
  • AB型の人はA・B両方の抗原を持ち、抗体はない
  • O型の人はA・Bの抗原はないが、両方の抗体を持つ

この「O型は抗原を持っていない」ことが、どの血液型にもO型の血液を輸血できる理由である。抗A抗体はA抗原に対して、抗B抗体はB抗原に対してのみ攻撃するため、どちらの抗原も持っていないO型の血液はまったく攻撃されないのだ。

一方で、抗体を持っていないAB型はどうか。抗体を持っていないということは、A・Bどちらの抗原が入ってきても攻撃しないということである。つまり、AB型の血液はどの血液型の血液を輸血されても受け入れることができるのである。

A型にはA型、B型にはB型を輸血するのが最善であるのは当然だ。しかし、血液のストックがないなどの緊急事態の場合には、安全な範囲で血液型違いの輸血措置がなされる場合もあることを知っておくといいだろう。

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【追加雑学②】大人になると血液型が変わることがある?

大人になると血液型が変わることがある?というトリビア

みなさんの身近に「子どもの頃はO型だったのに、大人になってA型になった」なんて言っている人はいないだろうか。

科学者くん
血液型って変わるんですか!?
ダヴィンチさん
結論からいうと、大人になってから血液型が変わることはないんだよ。

実は、子どもの頃に受けた血液検査の結果が間違いで、大人になってからの血液型が正しいのである。

昔は、出生時に血液型を検査するのが一般的であった。しかし、新生児の頃には血液型を決定する抗原や抗体の量が少ない。そのため、正しい判定が出ないことがあるのだ。

抗原の量が成人並みになるのは3歳くらいからということなので、子どもの血液型を調べたい場合にはそれ以降がいいだろう。

【追加雑学③】8/21は献血の日

1964年8月21日に、それまでの売血(ばいけつ)制度を廃止し、すべての輸血を献血のみで確保することが閣議決定された。それにより、8月21日は献血の日となったのだ。

かつて、日本では血を売ることができた。無償の血液提供を呼び掛けていた日赤血液銀行に対し、商業血液銀行と呼ばれるその他の血液銀行が、血液に対して報酬を支払ったのである。

しかし報酬を目当てに、短期間に何度も売血する売血常習者が現れるようになると、「黄色い血」と呼ばれる血球数の少ない血液が増加してしまった。

そこで売血制度を廃止し、献血のみで血液を確保する現在の制度へと移行することになったのである。

科学者くん
そんなことがあったんですね!

雑学まとめ

羊の血を輸血→まさかの回復。世界初の輸血は1667年だったというトリビアまとめ

今回の雑学はいかがだっただろうか。人間に羊の血液を輸血するという暴挙をし、しかも成功したというのだから驚きである。ちなみにドニはその後も数人に輸血をほどこし、4人目の患者が亡くなったことで殺人者として裁判を起こされている。無罪放免となったが、ヨーロッパではその後しばらく輸血が禁止されていた。

人間同士の輸血が初めて成功したのは1827年といわれているが、ABO式血液型が発見されたのは1900年である。つまり、当初の輸血の際にはA型にB型を輸血なんてこともあったと推測される。輸血が成功するか否かは運だったといっても過言ではないのだ。

ダヴィンチさん
それらの失敗を経てこそ、現代医学は今もなお発展し続けているといえるだろう。
科学者くん
医学の進歩にはこれからも期待しましょう!

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