碁盤の上に白石と黒石を交互に並べ、陣地の広さを競うゲーム「囲碁」。7世紀に成立したといわれる風土記にも囲碁に関する記述があり、将棋と並ぶ日本の伝統的遊びといっても過言ではない。
今回の雑学は、碁石の大きさについてである。同じ大きさに見えるが、実は黒石の方が少し大きいというのだ。その理由について調べてみた。
【サブカル雑学】碁石の白石より黒石が少しだけ大きい理由
【雑学解説】黒石の方が0.3mm大きい
白が膨張色というのは聞いたことがある。そのため、体型を気にしている筆者は白い服を避けている。というのはさておき、白が膨張色であることが碁石にも影響を与えているとは思わなかった。
白石と黒石が同じ大きさだと、白がやや大きく見えてしまう。しかし、陣地の広さを競う碁において、白が大きく見えると公平性を欠く。そこで、白石21.9mmに対して黒石を22.2mmと、黒石を0.3mm大きくすることでバランスをとっているのだ。
ちなみに、碁石の厚みは号で表され、6mmから14mm程度まである。厚みがあるほど高級品とされるそう。
【追加雑学①】白石は石じゃなく貝
白石といわれているが、実は石ではなく貝からできている。ハマグリの貝殻を型抜きして磨いたものが白石となるのだ。白石は、碁「石」ではなく碁「貝」なのである。
一方黒石は、硯(すずり)などにも使われる那智黒石(なちぐろいし)からできている、れっきとした黒石だ。
貝からできている白石をなぜ碁「石」というのか。それは碁石の起源に関係している。囲碁が誕生した当初は、自然にある石を碁石として使用していたのである。そのため、貝殻から作られるようになった現在でも「碁石」なのだ。
聖武天皇愛用の品が収められている正倉院では、象牙を染めて花鳥の文様を掘りつけた碁石が発見されている。重要なのはサイズ感であり、何を材料としていても碁石は碁石ということのようだ。
スポンサーリンク
【追加雑学②】目に優しいグリーン碁石を考案したのは夏樹静子
夏樹静子(なつきしずこ)といえば、「Wの悲劇」や、テレビドラマにもなった「検事霞夕子シリーズ」などのヒット作を生んだ推理小説家である。
その夏樹静子がなぜグリーン碁石を開発することになったのか。きっかけは彼女のドライアイだった。
囲碁が趣味だった夏樹静子は、ドライアイに悩まされていた。そこで眼科へ行くと「碁石の白と黒のコントラストがドライアイによくない」と言われたのだそう。
それならば、と彼女が開発に乗り出したのがグリーン碁石である。黒石を濃いグリーン・白石を薄いグリーンの硬質ガラスで作られたグリーン碁石は、一般的な碁石よりも高価。それでも、目の負担を軽減したい人にはありがたい商品だろう。
思わぬ形で囲碁界に貢献した夏樹静子。その貢献を称えて、年に一度彼女の名を冠した「夏樹静子杯グリーン碁石囲碁大会」が開催されている。
【追加雑学③】囲碁用語では碁石を「子(もく)」と数える
碁石の個数は一般的に「個」で数える。しかし、碁を打っているときには「子(もく)」で数えるのだ。「もく」で数えることは知っていたが、「子」の字を当てることは知らなかった。
ただ、「もく」は「子」という字の本来の読み方ではない。そのため、最近では「子」と書いて「し」と読ませたり、「もく」に「目」の字を当てることの方が多いそう。
雑学まとめ
碁石の大きさを意識したことがなかったのだが、非常に緻密に計算されていると知って驚いた。白が膨張色であることを考慮した上で決定されているとは思いもしなかった。
グリーンの碁石があるというのも初めて知った。しかも発案したのは囲碁業界の人ではなく、推理小説家というのが意外である。眼科医の一言で碁石を開発するとは、相当碁が好きだったに違いない。
なんとなく難しそうな囲碁だが、この記事をきっかけに興味をもっていただければ幸いである。